電子顕微鏡による検索が有用なのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
電子顕微鏡は、光学顕微鏡では観察できない細胞内の微細構造や、より詳細な組織変化を観察するのに有用です。2. 糸球体腎炎の分類では、糸球体基底膜の変化や免疫複合体の沈着様式など、非常に微細な病変の観察が不可欠であり、電子顕微鏡が重要な役割を果たします。4. 神経内分泌顆粒は、神経内分泌細胞に特有の非常に小さな分泌顆粒であり、光学顕微鏡では識別が困難なため、電子顕微鏡によってその形態を確認することが診断に役立ちます。
選択肢ごとの解説
- 1. 癌の深達度判定は主に光学顕微鏡による組織学的検査で行われます。電子顕微鏡は通常用いられません。正しくは:癌の深達度判定は光学顕微鏡による組織診で評価されます。選びやすい理由:癌の診断は重要であり、高度な検査が使われるイメージがあるため。混同注意:癌の微細構造解析(細胞小器官など)と、病変の巨視的な広がりや組織浸潤の評価を混同している可能性があります。
- 2. 正解。糸球体腎炎の分類には、糸球体の基底膜の肥厚、メサンギウム細胞の増殖、免疫複合体の沈着部位や形態など、光学顕微鏡では判別しにくい微細構造の変化を電子顕微鏡で観察することが不可欠です。これにより、正確な病型の診断が可能となります。選びやすい理由:腎臓疾患の診断は複雑であり、高度な観察が必要であることが直感的に理解しやすいため。混同注意:糸球体腎炎の分類と、一般的な腎臓病の病理診断を混同するかもしれません。特に電子顕微鏡が重要なのは微細構造による分類です。
- 3. 癌の脈管侵襲の有無は、通常、光学顕微鏡を用いてヘマトキシリン・エオジン染色標本や免疫組織化学染色標本で確認されます。電子顕微鏡は通常、この目的では用いられません。正しくは:癌の脈管侵襲は主に光学顕微鏡による組織診で評価されます。選びやすい理由:癌の診断における詳細な検査というイメージから選ばれやすいかもしれませんが、脈管侵襲は組織レベルでの判断です。混同注意:微小な脈管侵襲の有無と、細胞レベルでの微細構造観察を混同している可能性があります。
- 4. 正解。神経内分泌細胞に特有な分泌顆粒(神経内分泌顆粒)は非常に小さく、光学顕微鏡では通常識別できません。電子顕微鏡を用いることで、これらの顆粒の形態、大きさ、細胞内分布を詳細に観察し、神経内分泌腫瘍の診断や分類に役立てることができます。選びやすい理由:特定の細胞内構造の確認は、電子顕微鏡の得意分野であると理解しやすいです。混同注意:免疫組織化学染色による神経内分泌マーカーの検出と、電子顕微鏡による顆粒の形態学的確認を混同するかもしれません。
- 5. 細菌性肺炎の原因菌の同定は、主に喀痰培養や血液培養、PCRなどの微生物学的検査で行われます。電子顕微鏡は、細菌の種類を特定する一般的な手段ではありません。正しくは:細菌性肺炎の原因菌同定は、主に培養検査やPCRなどの微生物学的手法で行われます。選びやすい理由:病原体の詳細な観察には電子顕微鏡が有効だと思われがちですが、細菌の同定は形態だけでなく遺伝情報や培養特性が重要です。混同注意:ウイルスの観察(電子顕微鏡が有用)と、細菌の同定(培養・遺伝子検査が主流)を混同している可能性があります。
国試ポイント
電子顕微鏡が臨床検査において、どのような診断目的で利用されるかを問う問題です。特に、光学顕微鏡では限界がある微細構造の観察や、病因・病態の特定に不可欠な場面を理解しているかが重要です。
混同注意
光学顕微鏡で可能な検査と電子顕微鏡でしか見られないもの、あるいは電子顕微鏡以外の方法でより効率的に診断できるものとの区別が曖昧だと混乱しやすいです。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、光学顕微鏡で見えるレベル(組織構造、細胞配列など)か、それとも光学顕微鏡では困難な細胞内小器官や分子レベルの観察(ウイルス、特定の顆粒、膜構造の変化など)が必要かを判断する視点を持つと良いでしょう。
関連知識
光学顕微鏡の種類と特徴、免疫組織化学染色、各種培養検査、PCR法など、他の診断技術の適用範囲と電子顕微鏡の役割の比較。