尿潜血試験紙法で偽陰性の原因となるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・5番
解説
尿潜血試験紙法では、ヘモグロジンのペルオキシダーゼ様作用を利用して、発色指示薬の酸化反応を検出します。亜硝酸塩は、特に高濃度で存在する場合にこの反応を阻害し、偽陰性を示す可能性があります。また、アスコルビン酸(ビタミンC)は強力な還元剤であり、発色指示薬の酸化を妨げるため、真の潜血があっても偽陰性となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。亜硝酸塩は尿中のヘモグロビン反応を阻害する直接的なメカニズムは強くないとされていますが、細菌感染などで同時に存在する場合、pHの変化や他の代謝産物と複合的に作用し、試験紙の感度を低下させる可能性が示唆されています。特に高濃度の場合は影響が指摘されることがあります。選びやすい理由:尿路感染症の際に検出されることが多いため、何らかの影響があるのではと考える学生がいるかもしれません。通常、亜硝酸塩は細菌感染の指標であり、潜血とは異なる項目として評価されます。混同注意:尿路感染症で陽性となる他の項目(例:白血球エステラーゼ)との関連で、潜血試験への影響を混同しやすいです。
- 2. サラシ粉(主成分:次亜塩素酸カルシウム)は酸化作用が強いため、尿潜血試験紙法では偽陽性の原因となる可能性があります。正しくは:偽陽性の原因となる選びやすい理由:酸化作用がある物質全般が試験紙に影響を与える、という点は正しいのですが、偽陽性か偽陰性かの区別がつきにくいと誤答しやすいです。混同注意:酸化剤が必ずしも偽陽性になるとは限らないという点で混同しやすいですが、試験紙法はヘモグロジンのペルオキシダーゼ様作用を利用しており、強い酸化剤は試薬を直接酸化して色調変化を起こすため、偽陽性となります。
- 3. 過酸化水素は、尿潜血試験紙の反応原理であるペルオキシダーゼ様作用に必要な基質の一つです。過酸化水素自体が偽陰性や偽陽性の直接的な原因となることは通常ありません。反応に必要な成分として試薬中に含まれています。正しくは:反応に必要な成分である選びやすい理由:反応に関わる物質なので、その濃度が影響するのではと考える学生がいるかもしれませんが、通常は試験紙に適切な濃度で添加されています。混同注意:ペルオキシダーゼ反応の基質であることと、外因性の影響物質であることを混同しやすいです。
- 4. 次亜塩素酸塩(例:漂白剤)は強い酸化剤であり、尿潜血試験紙法では偽陽性の原因となります。ヘモグロビンが存在しなくても、試薬の酸化反応を促進させるためです。正しくは:偽陽性の原因となる選びやすい理由:強い酸化剤は試験紙に影響を与えることは理解できるが、偽陽性と偽陰性のどちらに作用するかを間違えやすいです。混同注意:アスコルビン酸のような還元剤とは逆の効果を持つことを混同しやすいです。
- 5. 正解。アスコルビン酸(ビタミンC)は強力な還元剤であり、尿潜血試験紙の反応(ヘモグロビンによる過酸化水素からの酸素遊離と発色剤の酸化)を阻害するため、偽陰性の原因となります。高濃度のアスコルビン酸が存在すると、たとえ尿中に多量のヘモグロビンが存在していても陰性を示すことがあります。選びやすい理由:ビタミンCは一般的に良いものというイメージがあるため、検査結果に悪い影響を与えるとは考えにくいかもしれませんが、化学反応においては阻害因子となり得ます。混同注意:他の還元性物質との区別や、酸化性物質(偽陽性原因)との効果の違いを混同しやすいです。
国試ポイント
尿潜血試験紙法における偽陽性および偽陰性の原因物質を正確に理解しているかが問われています。特に、アスコルビン酸は偽陰性の代表的な原因として頻出です。また、酸化剤と還元剤がそれぞれどのような影響を与えるかを区別できる知識も重要です。
混同注意
偽陽性の原因となる酸化剤(例:次亜塩素酸塩、過酸化水素(高濃度)、細菌由来のペルオキシダーゼ)と、偽陰性の原因となる還元剤(例:アスコルビン酸)や反応阻害物質の区別。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た際には、まず「潜血反応の原理」を思い出し、その反応を「促進(偽陽性)」させる物質と「阻害(偽陰性)」させる物質を明確に区別できるかをチェックします。特に、アスコルビン酸の偽陰性作用と、次亜塩素酸塩などの酸化剤の偽陽性作用は確実に押さえるべき点です。
関連知識
尿試験紙法の原理(ペルオキシダーゼ様作用)、各種尿検査項目とそれに影響を与える因子、薬物や食事(ビタミンC摂取など)が検査結果に与える影響。