病理解剖中の術者の結核感染防止に有効なのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
結核菌は飛沫核感染(空気感染)によって伝播します。病理解剖中に結核患者の肺組織を扱う際には、飛沫核が空気中に拡散し、術者が吸入するリスクがあります。微粒子用マスク(N95マスクなど)は、微細な粒子を効果的に捕捉し、術者の気道への病原体の侵入を防ぐため、結核感染防止に最も有効な個人防護具です。
選択肢ごとの解説
- 1. 手指消毒は接触感染対策には有効ですが、結核菌の主な感染経路である空気感染(飛沫核感染)に対しては直接的な予防効果が低いとされています。正しくは:手指消毒は、接触感染予防に効果的です。結核の空気感染には、微粒子用マスクなどの呼吸器保護具が必要です。選びやすい理由:一般的な感染対策として重要であるため、正しい選択肢に見えるかもしれません。しかし、結核の主要な感染経路に対する最も効果的な対策ではありません。混同注意:手指衛生と呼吸器保護具の役割が混同されやすいです。
- 2. 陽圧式空調は、室内の空気が外部に漏れるのを防ぎ、清潔区域を保つことを目的としています。感染症対策としては、汚染された空気の拡散を防ぐために、陰圧式空調が適切です。正しくは:感染性病原体の拡散を防ぐには、部屋の空気を外に出さず、ろ過して排出する陰圧式空調が適切です。選びやすい理由:空調システムが感染対策に重要であるという知識から、正しい選択肢に見えるかもしれません。しかし、陽圧と陰圧の区別が重要です。混同注意:陽圧室と陰圧室の機能、およびそれぞれの適用状況が混同されやすいです。
- 3. 一般的な空気清浄機は、浮遊する微粒子やほこり、アレルゲンなどを除去しますが、結核菌のような微細な飛沫核を効率的に除去し、感染リスクを大幅に低減するほどの性能を持つものは限られています。また、室内の空気循環だけで十分な感染対策とは言えません。正しくは:高性能フィルター(HEPAフィルターなど)を搭載した空気清浄機は有効な場合がありますが、単体での使用では不十分であり、換気システムと組み合わせて使用することが望ましいです。選びやすい理由:空気中の病原体を除去するという点で、正しい選択肢に見えるかもしれません。しかし、結核菌の飛沫核に対する除去効率や、十分な空気感染対策としての役割は限定的です。混同注意:一般的な空気清浄機の性能と、医療現場で求められる高度な空気感染対策の性能が混同されやすいです。
- 4. 正解。結核菌は空気感染(飛沫核感染)によって伝播します。微粒子用マスク(N95、DS2などの規格)は、空気中に浮遊する0.3μm程度の微粒子を95%以上捕集できる性能を持ち、術者の呼吸器への病原体の侵入を効果的に防ぐため、結核感染防止に非常に有効です。混同注意:通常のサージカルマスクと微粒子用マスクの性能の違いが混同されやすいです。
- 5. ホルマリン固定は、組織中の微生物を不活化し、形態を保つために行われます。これは感染性病原体の活動を停止させる効果がありますが、解剖作業中にすでに空気中に飛散した結核菌の飛沫核による感染を防ぐものではありません。病変組織からの菌の飛散リスクを軽減する効果はありますが、術者への感染防止策としては直接的ではありません。正しくは:ホルマリン固定は、病変組織からの病原体拡散リスクを低減する効果がありますが、解剖作業中の術者への空気感染対策としては、微粒子用マスク着用が優先されます。選びやすい理由:ホルマリンが殺菌作用を持つこと、および病理解剖で用いられることから、正しい選択肢に見えるかもしれません。しかし、これは環境汚染対策の一部であり、術者の呼吸器保護とは直接関係ありません。混同注意:組織固定の目的(保存・殺菌)と、術者の個人防護具の目的が混同されやすいです。
国試ポイント
病原体の感染経路(空気感染、飛沫感染、接触感染など)に応じた適切な感染対策に関する知識が問われています。特に、結核菌のような空気感染を起こす病原体に対する具体的な防護策(個人防護具や環境整備)の理解が重要です。
混同注意
一般的なサージカルマスクと微粒子用マスク(N95など)の性能差、陽圧換気と陰圧換気の違い、およびそれぞれの適用目的。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出た場合、まず病原体の主な感染経路を特定し、その経路に対する最も直接的で効果的な対策(個人防護具、換気システム、環境整備など)は何かを判断します。
関連知識
空気感染を起こす他の病原体(麻疹ウイルス、水痘ウイルスなど)とその対策。標準予防策と感染経路別予防策(空気感染予防策、飛沫感染予防策、接触感染予防策)。個人防護具(PPE)の種類とその適切な使用方法。