腫瘍と免疫組織化学的マーカーの組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
選択肢3の「消化管間質腫瘍(GIST) - c-kit(CD117)」は正しい組み合わせです。GISTは、消化管壁に発生する間葉系腫瘍であり、KIT遺伝子(c-kit)の変異がその発生に深く関与しています。そのため、免疫組織化学染色でc-kit(CD117)が陽性であることはGISTの診断において極めて重要です。他の選択肢は、腫瘍とマーカーの組み合わせが誤っています。ERは乳癌、AFPは肝細胞癌、PSAは前立腺癌、CEAは大腸癌などの腺癌で主に用いられるマーカーです。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺癌の診断において、エストロゲン受容体(ER)は主要な免疫組織化学マーカーではありません。ERは主に乳癌のホルモン療法適応の評価に用いられます。正しくは:乳癌 - エストロゲン受容体(ER)選びやすい理由:ERが癌のマーカーであることは知っているため、結びつけやすいかもしれません。混同注意:特定の癌種と特定のマーカーの関連性について混乱している可能性があります。
- 2. AFPは主に肝細胞癌や卵黄嚢腫瘍、胎児性癌などの胚細胞腫瘍の腫瘍マーカーとして知られており、乳癌の診断マーカーとしては適切ではありません。正しくは:肝細胞癌 - AFP(α-フェトプロテイン)選びやすい理由:AFPが代表的な腫瘍マーカーの一つであるため、知識の曖昧さから選んでしまうかもしれません。混同注意:AFPが肝細胞癌だけでなく、消化器系の腫瘍全般に関わると誤解しているかもしれません。
- 3. 正解。消化管間質腫瘍(GIST)は、その約95%でc-kit(CD117)遺伝子の変異が認められ、c-kitはGISTの診断において非常に特異的かつ重要な免疫組織化学マーカーです。陽性であればGISTの診断を強く支持し、治療薬であるイマチニブの感受性予測にも関連します。
- 4. PSAは前立腺癌に特異的な腫瘍マーカーであり、大腸癌の診断には使用されません。大腸癌のマーカーとしてはCEAなどが一般的です。正しくは:前立腺癌 - PSA(前立腺特異抗原)選びやすい理由:PSAが一般的な腫瘍マーカーとして広く知られているため、他の癌種と結びつけてしまいやすいかもしれません。混同注意:PSAが男性の泌尿器系以外の癌にも関連すると誤解している可能性があります。
- 5. CEAは主に大腸癌、胃癌、肺癌などの腺癌で高値を示す腫瘍マーカーであり、リンパ腫の診断には通常用いられません。B細胞リンパ腫のマーカーとしてはCD20などが用いられます。正しくは:大腸癌 - CEA(癌胎児性抗原)選びやすい理由:CEAが消化器系の代表的な腫瘍マーカーであるため、リンパ腫のような固形腫瘍以外の癌にも関連すると考えてしまうかもしれません。混同注意:CEAとリンパ球系腫瘍マーカー(CD抗原など)を混同している可能性があります。
国試ポイント
本問題は、主要な腫瘍とそれに特異的な免疫組織化学的マーカー(または血清腫瘍マーカー)の正しい組み合わせを問うものです。各マーカーの特異性と臨床的意義を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
各腫瘍マーカーがどの臓器や細胞系譜の腫瘍に特異的であるか、また免疫組織化学染色と血清腫瘍マーカーの違いについて混乱しやすいです。特に、有名なマーカー(AFP, CEA, PSAなど)が広範な癌種に適用されると誤解しやすい点に注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず『特定の腫瘍に極めて特異的かつ診断価値の高いマーカー』を正確に覚えているかを確認する。次に、『複数の腫瘍で上昇する一般的なマーカー』と『特定の腫瘍でのみ高値を示す特異的なマーカー』の区別を意識して選択肢を評価する。
関連知識
免疫組織化学染色でよく用いられるマーカー(例: GISTのc-kit, リンパ腫のCDマーカー, 上皮性腫瘍のサイトケラチン, 間葉系腫瘍のビメンチンなど)、および血清腫瘍マーカー(例: AFP, CEA, PSA, CA19-9, CA125など)の正常値、病態との関連、診断・予後評価における利用法について。特に、特異性の高いマーカーを覚えることが重要です。