一次救命措置において、胸骨圧迫前に行うべきこととして誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
一次救命処置(BLS)の基本的な流れは、「安全の確認」→「意識の確認」→「応援要請・119番通報・AEDの要請」→「呼吸の確認」→「胸骨圧迫の開始」です。対光反射の確認は、神経学的な評価項目であり、BLSの胸骨圧迫開始前の手順には含まれません。BLSは、一般市民でも迅速に実施できることを目的としているため、専門的な知識や器具を必要としない簡便な評価が中心となります。
選択肢ごとの解説
- 1. これは胸骨圧迫開始前に行うべき重要な行動です。傷病者の意識と呼吸の確認後、または応援を要請する際に、早期に救急隊の到着を促すために行われます。正しくは:意識・呼吸の確認後、胸骨圧迫を開始する前に救急要請を行うことは、BLSの基本的な手順に含まれます。選びやすい理由:胸骨圧迫と同時に行う、あるいは他者に依頼するイメージがあるため、自分自身が「胸骨圧迫前」に直接行うべきことではないと誤解する可能性がありますが、BLSプロトコル上は「胸骨圧迫を開始する前」のフェーズで実行されるべき行動です。混同注意:「胸骨圧迫と同時」や「AEDを準備する間」といった、時間的に非常に近い行動と混同されることがあります。
- 2. これは一次救命処置(BLS)において、倒れている人を発見した際に最初に行うべき最も重要な手順です。救助者自身の安全と、傷病者のさらなる危険を回避するために不可欠です。正しくは:BLSの最初のステップとして、必ず周囲の安全を確認します。選びやすい理由:あまりに基本的なことであるため、逆に重要視されないと考えてしまう可能性があります。混同注意:安全確認はBLSの全プロセスを通じて意識すべきことですが、特に最初のステップとして強調されます。他の具体的な処置と混同することはありません。
- 3. 安全確認の後、傷病者の肩を叩きながら大声で呼びかけるなどして、反応があるか否かを確認する重要な手順です。これにより、次の呼吸確認や応援要請の判断に繋がります。正しくは:安全確認後、速やかに傷病者の意識状態を確認します。選びやすい理由:「意識がない」と判断することが目的のため、この確認自体が目的ではないと考えてしまうかもしれませんが、胸骨圧迫の必要性を判断する上で不可欠です。混同注意:「意識の確認」と「脳機能の確認」を混同し、より専門的な神経学的評価(例:GCS)が必要だと考えてしまうことがありますが、BLSにおける意識確認は「呼びかけに反応するかどうか」という簡便なものです。
- 4. 意識がないと判断された場合、胸や腹部の動きを観察し、正常な呼吸があるかどうかを10秒以内で確認する手順です。これは、胸骨圧迫を開始するかどうかの判断に直結する非常に重要なステップです。正しくは:意識の確認後、速やかに正常な呼吸の有無を確認します。選びやすい理由:あえぎ呼吸(死戦期呼吸)を正常な呼吸と誤認しやすい点が注意点ですが、確認手順としては正しいです。混同注意:「脈拍の確認」と混同されることがありますが、一般市民によるBLSでは脈拍確認は推奨されておらず、正常な呼吸の有無で判断します。
- 5. 正解。対光反射の確認は、瞳孔の動きや光への反応を診る神経学的診察の一部であり、意識障害の原因や脳機能の評価に用いられます。しかし、一次救命処置(BLS)の胸骨圧迫を開始する前に行うべき手順には含まれません。BLSでは、呼吸の有無によって胸骨圧迫の開始を判断します。正しくは:BLSでは、気道の確保や人工呼吸(必要であれば)は胸骨圧迫前に検討されることがありますが、対光反射の確認は含まれません。選びやすい理由:「意識がない」状態の傷病者に対して、何らかの医学的評価が必要であるという感覚から、重要な診察項目である対光反射の確認が必要だと考えてしまうことがあります。混同注意:BLSで必要な「意識確認」や「呼吸確認」と、より専門的な医療処置における「神経学的評価」(例:脳死判定、頭部外傷時の評価)とを混同する可能性があります。BLSは迅速な心肺蘇生を目的とし、時間のかかる詳細な評価は行いません。
国試ポイント
この問題は、一次救命処置(BLS)における対応手順の基本的な知識と、緊急度に応じた優先順位を理解しているかを問うものです。特に、一般市民が行うBLSと、専門家による詳細な医療処置との違いを区別できるかがポイントとなります。胸骨圧迫開始前の必須ステップと、不要な評価を明確に区別することが求められます。
混同注意
「意識の確認」と「より詳細な神経学的評価(対光反射など)」の混同、また「BLS」と「二次救命処置(ALS)」や「専門的な初期診療」で必要となる検査項目との混同が生じやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、胸骨圧迫中の具体的な行動(例:圧迫の深さ、速さ、中断時間、AEDの装着タイミング)や、小児・乳児のBLSにおける手順の相違点について問われる可能性があります。
関連知識
一次救命処置の国際ガイドライン(JRC蘇生ガイドラインやAHAガイドラインなど)に沿った手順を理解することが重要です。特に、AEDの使用法、気道確保、人工呼吸の適切な方法、胸骨圧迫の質(深さ、速さ、中断を最小限に抑えること)についても関連知識として押さえておく必要があります。