神経筋接合部の伝達物質はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
神経筋接合部において、運動神経の軸索終末から放出され、筋細胞膜上のニコチン性アセチルコリン受容体に結合して脱分極を引き起こし、筋収縮を誘発する唯一の主要な伝達物質はアセチルコリンです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。神経筋接合部(運動神経終末と骨格筋細胞膜の間)における主要な興奮性神経伝達物質であり、運動神経からの信号を受けて筋収縮を引き起こす唯一の伝達物質です。アセチルコリンが放出されることで、筋細胞膜上のニコチン性アセチルコリン受容体が活性化され、脱分極が起こり、最終的に筋収縮へとつながります。
- 2. アドレナリン(エピネフリン)は、主に副腎髄質から分泌されるホルモンであり、交感神経系の神経伝達物質(ノルアドレナリン)と密接に関連しますが、神経筋接合部での直接的な伝達物質ではありません。主に心拍数増加、血管収縮、気管支拡張など、全身のストレス反応に関与します。正しくは:神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンです。アドレナリンは主に交感神経系やホルモンとして作用し、神経筋接合部では機能しません。選びやすい理由:ストレス反応や興奮時に重要な役割を果たすため、身体機能の調節に関わる物質として神経伝達物質全般の知識と混同して連想されやすいかもしれません。混同注意:ノルアドレナリン(交感神経の伝達物質)と混同しやすく、これらは自律神経系の伝達物質ですが、運動神経と骨格筋の直接の接合部とは異なります。
- 3. グルタミン酸は、中枢神経系(脳や脊髄)における主要な興奮性神経伝達物質であり、学習や記憶などの高次脳機能に深く関与しますが、神経筋接合部では伝達物質として機能しません。正しくは:神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンです。グルタミン酸は中枢神経系で重要な役割を担います。選びやすい理由:脳内で最も豊富な興奮性神経伝達物質であるため、一般的な神経伝達物質として思いつきやすいかもしれませんが、作用部位が異なります。混同注意:GABA(γ-アミノ酪酸)などの中枢神経系の他のアミノ酸系神経伝達物質と混同しやすいほか、末梢での作用を中枢での作用と混同しやすいです。
- 4. セロトニンは、気分、睡眠、食欲、痛みなど様々な生理機能に関わるモノアミン系神経伝達物質であり、主に中枢神経系や消化管に存在しますが、神経筋接合部には関与しません。正しくは:神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンです。セロトニンは主に中枢神経系で気分調節などに関わります。選びやすい理由:気分や精神機能に関連する有名な神経伝達物質であるため、広く身体機能に関わると誤解されやすいですが、作用部位は異なります。混同注意:ドパミンやノルアドレナリンなど、他のモノアミン系神経伝達物質と混同しやすいです。
- 5. ドパミンは、報酬系、運動制御、意欲などに関与するモノアミン系神経伝達物質であり、主に中枢神経系に作用します。神経筋接合部では伝達物質として機能しません。正しくは:神経筋接合部の伝達物質はアセチルコリンです。ドパミンは中枢神経系で運動制御や報酬系に関わります。選びやすい理由:パーキンソン病との関連などで有名であり、運動機能に関わる神経伝達物質として連想されやすいですが、直接神経筋接合部で働くわけではありません。混同注意:他のモノアミン系神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン)や、中枢神経系での運動制御に関わるアセチルコリンの作用と混同しやすいです。
国試ポイント
特定の生理学的部位(神経筋接合部)における特定の神経伝達物質の同定能力を問う問題です。主要な神経伝達物質とその作用部位の基本的な知識が求められます。特にアセチルコリンが運動神経終末と骨格筋の間の伝達物質であることを確実に理解しているかを確認します。
混同注意
中枢神経系で働く多数の神経伝達物質(グルタミン酸、GABA、モノアミン類など)と、末梢神経系特に神経筋接合部で働くアセチルコリンとの区別。また、アドレナリンとノルアドレナリンの違いや、それぞれの作用部位の違いが混同されやすい点です。
次に同じ論点が出たら
「〜接合部(または〜シナプス)の伝達物質はどれか」という形式の問題が出た場合、まずその接合部が中枢神経系か末梢神経系かを判断し、さらに運動系か自律神経系かなどで絞り込みます。神経筋接合部は運動神経による骨格筋収縮を制御する末梢神経系の部位であるため、アセチルコリンが適切であると判断できます。
関連知識
神経筋接合部の構造(運動神経終末、シナプス間隙、筋細胞膜)、アセチルコリンの合成・放出・分解(アセチルコリンエステラーゼの機能)、ニコチン性アセチルコリン受容体とムスカリン性アセチルコリン受容体の違い、重症筋無力症などの関連疾患、他の主要な神経伝達物質(モノアミン、アミノ酸系、ペプチドなど)の作用部位と機能。