免疫寛容の破綻が発症原因となる疾患はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
免疫寛容とは、自己の成分に対して免疫系が反応しない状態を指します。この寛容が何らかの原因で破綻すると、自己の組織を攻撃する自己免疫疾患が発症します。関節リウマチは、自己の関節組織が自己免疫によって攻撃される代表的な自己免疫疾患であり、免疫寛容の破綻がその発症機序の中心です。
選択肢ごとの解説
- 1. 花粉症はIgE抗体が関与するI型アレルギー反応であり、免疫寛容の破綻ではなく、特定の抗原(花粉)に対する過剰な免疫応答が原因です。正しくは:I型アレルギー反応であり、特定の抗原に対する過剰な免疫応答が原因です。選びやすい理由:アレルギー疾患も免疫システムの異常であるため、混同しやすいかもしれません。混同注意:自己免疫疾患とアレルギー疾患の病態機序の違い。
- 2. 正解。関節リウマチは自己の組織(関節滑膜など)を攻撃する自己抗体や自己反応性T細胞が産生される自己免疫疾患であり、これは自己抗原に対する免疫寛容が破綻した結果として発症します。
- 3. 接触性皮膚炎は、特定の物質(ハプテン)が皮膚に接触することで誘導されるIV型遅延型過敏症です。これは感作されたT細胞による過剰な免疫応答であり、免疫寛容の破綻とは異なります。正しくは:IV型遅延型過敏症であり、感作されたT細胞による過剰な免疫応答が原因です。選びやすい理由:アレルギー反応の一種であり、免疫システムの異常と捉えられやすいですが、自己免疫疾患とは機序が異なります。混同注意:自己免疫疾患とT細胞性アレルギー反応の病態機序の違い。
- 4. 移植片対宿主病は、移植されたドナー由来の免疫細胞がレシピエントの組織を異物と認識して攻撃することで起こります。これはドナーの免疫細胞がレシピエントの抗原に対する寛容を欠いている状態であり、レシピエント自身の免疫寛容の破綻ではありません。正しくは:移植されたドナー由来の免疫細胞がレシピエントの組織を攻撃することで起こります。選びやすい理由:免疫系の異常が関与しているため、選択肢として魅力的ですが、自己の免疫寛容の破綻とはメカニズムが異なります。混同注意:自己免疫疾患と移植免疫反応の違い。
- 5. 血液型不適合妊娠は、母体が胎児の赤血球抗原(Rh抗原など)に対して抗体を産生し、それが胎児の赤血球を破壊することで起こります。これは異物である胎児抗原に対する免疫応答であり、母体自身の免疫寛容の破綻による自己攻撃ではありません。正しくは:異物である胎児抗原に対する母体の免疫応答が原因です。選びやすい理由:母体の免疫システムが関与する問題であるため、誤って選びやすいかもしれません。混同注意:自己免疫疾患と異物に対する免疫応答の違い。
国試ポイント
免疫寛容の概念と、それが破綻することによって引き起こされる自己免疫疾患についての理解を問う問題です。アレルギーや移植免疫など、他の免疫関連疾患との鑑別が重要となります。
混同注意
アレルギー疾患(花粉症、接触性皮膚炎)や移植免疫(GVHD)、異物に対する免疫応答(血液型不適合妊娠)など、免疫が関与する様々な疾患と自己免疫疾患の病態機序を混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
この論点が出たら、まず『自己免疫疾患』であるかどうかを確認し、その病態が『自己抗原に対する免疫寛容の破綻』に基づいているかを見極める。
関連知識
自己免疫疾患の分類(臓器特異的、全身性)、自己抗体の種類、免疫寛容のメカニズム(中枢性寛容、末梢性寛容)、T細胞・B細胞の関与。アレルギーの分類(I〜IV型)、移植免疫(拒絶反応、GVHD)のメカニズム。