疾患とホルモン異常の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
尿崩症は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の作用異常によるものであり、オキシトシンとは関連性がありません。オキシトシンは子宮収縮や乳汁射出に関わるホルモンです。他の選択肢は、それぞれの疾患と関連するホルモン異常の組み合わせとして適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。尿崩症は抗利尿ホルモン(バソプレシン)の分泌異常または腎臓での作用不全によって引き起こされる疾患であり、オキシトシンとは直接的な関連性はありません。オキシトシンは子宮収縮や乳汁分泌に関わるホルモンです。正しくは:「尿崩症 抗利尿ホルモン(バソプレシン)」であれば適切な組み合わせです。選びやすい理由:尿崩症と抗利尿ホルモンは下垂体後葉から分泌されるホルモンであるため、同じく下垂体後葉から分泌されるオキシトシンと混同しやすいかもしれませんが、機能は全く異なります。混同注意:抗利尿ホルモン(バソプレシン)と混同しやすいです。
- 2. 橋本病(慢性甲状腺炎)は甲状腺の自己免疫疾患であり、甲状腺機能低下症をきたすことが多いため、甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)の分泌が低下します。したがって、関連性があります。正しくは:なし。この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:橋本病が甲状腺ホルモンが「低下する」病気であるため、異常(低下)として関連づけられます。混同注意:甲状腺機能亢進症(バセドウ病)と混同しないように注意が必要です。
- 3. 褐色細胞腫は副腎髄質などに発生する腫瘍で、カテコールアミンであるノルアドレナリンやアドレナリンを過剰に分泌し、高血圧などの症状を引き起こします。したがって、関連性があります。正しくは:なし。この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:高血圧の原因として、カテコールアミンの過剰分泌は重要な要因であり、この病態の典型的な特徴として認識されています。混同注意:アドレナリンとの分泌比率や、メタネフリン・ノルメタネフリンといった代謝産物の測定意義と混同しないように。
- 4. 慢性腎不全の患者さんでは、腎臓での活性型ビタミンDの産生が低下し、またリンの排泄が滞るため、低カルシウム血症と高リン血症が生じます。これにより、副甲状腺が刺激されて副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰に分泌される二次性副甲状腺機能亢進症がよく見られます。したがって、関連性があります。正しくは:なし。この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:慢性腎不全の合併症として、PTHの異常は非常に重要な項目であるため、関連づけやすいです。混同注意:副甲状腺機能低下症と混同しないように。また、一次性副甲状腺機能亢進症との鑑別も重要です。
- 5. 腎血管性高血圧症は、腎動脈の狭窄などにより腎臓への血流が低下することで、腎臓がレニンを過剰に分泌し、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が活性化されて血圧が上昇する病態です。したがって、関連性があります。正しくは:なし。この組み合わせは正しいです。選びやすい理由:レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系の主要な疾患として、この病態はよく知られているため、関連づけやすいです。混同注意:原発性アルドステロン症や本態性高血圧との病態生理学的な違いを理解しておく必要があります。
国試ポイント
内分泌疾患の基本的な病態生理と、関連する主要なホルモンの種類を正しく理解しているかを問う問題です。特に、下垂体後葉ホルモン(抗利尿ホルモンとオキシトシン)の区別、甲状腺ホルモン、カテコールアミン、副甲状腺ホルモン、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系に関する知識が求められます。
混同注意
尿崩症の原因ホルモン(抗利尿ホルモン/バソプレシン)と、同じ下垂体後葉から分泌されるオキシトシンを混同する点が挙げられます。また、甲状腺機能低下症(橋本病)と亢進症(バセドウ病)で異常となるホルモンとその方向性を混同する点、各ホルモンの分泌臓器や作用機序に関する基本的な知識の曖昧さも混同の原因となり得ます。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される場合は、各疾患の診断基準、治療薬の作用機序、あるいは関連する検査値(例:ADH値、サイロキシン・TSH値、カテコールアミン代謝産物、PTH・Ca・P値、レニン活性・アルドステロン値など)との組み合わせで問われる可能性があります。また、稀なホルモン関連疾患や、より詳細なホルモンの作用機序に関する知識が問われることも考えられます。
関連知識
尿崩症: 中枢性尿崩症(ADH分泌不全)と腎性尿崩症(ADH作用不全)があり、多飲、多尿が主症状です。抗利尿ホルモン(バソプレシン)は腎臓の集合管に作用し、水の再吸収を促進する下垂体後葉ホルモンです。オキシトシンは子宮平滑筋収縮や乳汁射出作用を持つ下垂体後葉ホルモンです。橋本病は自己免疫疾患による慢性甲状腺炎で、甲状腺機能低下症をきたし、サイロキシン(T4)やトリヨードサイロニン(T3)が低下します。褐色細胞腫はカテコールアミン(ノルアドレナリン、アドレナリン)を過剰産生する腫瘍で、発作性高血圧、動悸、頭痛、発汗などが特徴です。慢性腎不全では、腎臓での活性型ビタミンD産生低下やリン排泄障害により低Ca血症、高P血症となり、二次性副甲状腺機能亢進症を引き起こします。腎血管性高血圧症は、腎動脈狭窄などによる腎血流低下が原因で、傍糸球体装置からレニンが過剰に分泌され、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が活性化されて血圧が上昇する病態です。