異常プリオン蛋白によって起こるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第64回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
クロイツフェルト・ヤコブ病は、異常な立体構造を持つプリオン蛋白(PrPSc)が脳内に蓄積し、正常なプリオン蛋白(PrPC)を異常化させることで病態が進行する、進行性の致死的な神経変性疾患です。これはプリオン病の代表的な疾患であり、伝達性海綿状脳症(TSE)の一種に分類されます。他の選択肢の疾患は、それぞれ異なる原因によって引き起こされるため、異常プリオン蛋白が直接の原因となるものはありません。
選択肢ごとの解説
- 1. アルツハイマー病の主な原因は、アミロイドβタンパク質の蓄積による老人斑と、タウタンパク質の異常リン酸化による神経原線維変化と考えられています。プリオン蛋白は関与しません。正しくは:アミロイドβとタウタンパク質の異常蓄積によって引き起こされます。選びやすい理由:神経変性疾患であるため、誤って選択する可能性があります。混同注意:他の神経変性疾患の原因となる異常タンパク質(アミロイドβ、タウ、α-シヌクレインなど)とプリオン蛋白を混同しやすいです。
- 2. 正解。クロイツフェルト・ヤコブ病は、異常な構造を持つプリオン蛋白(PrPSc)が脳内に蓄積し、神経細胞の変性や空胞変性を引き起こすことで発症する進行性の神経変性疾患です。伝達性海綿状脳症の一つとして知られています。
- 3. 進行性多巣性白質脳症(PML)は、JCウイルス(John Cunningham virus)の再活性化によって引き起こされる脱髄性疾患です。免疫不全患者に多く見られます。プリオン蛋白は関与しません。正しくは:JCウイルスの再活性化によって引き起こされます。選びやすい理由:中枢神経系の疾患であるため、誤って選択する可能性があります。混同注意:ウイルス感染による中枢神経疾患とプリオン病を混同する可能性があります。
- 4. 筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、運動ニューロンが選択的に変性・脱落する疾患です。原因は多岐にわたりますが、SOD1、TDP-43、FUS、C9orf72などの遺伝子変異やタンパク質凝集が知られており、プリオン蛋白は原因ではありません。正しくは:運動ニューロンの変性・脱落によって引き起こされ、SOD1などの遺伝子変異やタンパク質凝集が関与します。選びやすい理由:神経変性疾患であるため、誤って選択する可能性があります。混同注意:他の神経変性疾患の原因となる異常タンパク質(SOD1、TDP-43など)とプリオン蛋白を混同しやすいです。
- 5. ギラン・バレー症候群は、急性発症の自己免疫性末梢神経疾患であり、感染症(カンピロバクターなど)をきっかけに免疫系が誤って自身の末梢神経を攻撃することで発症します。プリオン蛋白は全く関係ありません。正しくは:先行感染を契機とした自己免疫反応により末梢神経が障害される疾患です。選びやすい理由:神経系の疾患であるため、誤って選択する可能性があります。特に、急性の神経症状を呈するため、他の神経変性疾患と混同する可能性があります。混同注意:自己免疫性疾患と、感染性または遺伝性の異常タンパク質による疾患を混同する可能性があります。
国試ポイント
神経変性疾患における異常タンパク質の関与を理解しているかが問われています。特に、プリオン病の病態生理と代表的な疾患名(クロイツフェルト・ヤコブ病)を正確に結びつけられることが重要です。他の主要な神経変性疾患の原因タンパク質についても知識が必要です。
混同注意
アルツハイマー病(アミロイドβ、タウ)、パーキンソン病(α-シヌクレイン)、ハンチントン病(ハンチンチン)、筋萎縮性側索硬化症(SOD1、TDP-43)など、他の神経変性疾患とそれに特有の異常タンパク質を混同しやすいです。また、ウイルス感染症(進行性多巣性白質脳症)や自己免疫疾患(ギラン・バレー症候群)といった中枢神経系を侵す他の疾患とプリオン病を区別できる必要があります。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各神経変性疾患の主要な原因タンパク質を問う問題や、それぞれの病態生理を比較させる問題、あるいはプリオン病の診断方法や治療に関する問題が出題される可能性があります。特に、プリオン病の伝達性や感染性、そして特定困難な潜伏期間に関する知識も重要です。
関連知識
プリオン病には、クロイツフェルト・ヤコブ病の他にクールー、ゲルストマン・ストロイスラー・シャインカー症候群(GSS)、致死性家族性不眠症(FFI)などがあります。プリオン蛋白は正常な状態では神経細胞に存在し、生理的機能を持つと考えられています。その異常化が疾病につながります。プリオン病は遺伝性、散発性、感染性(医原性、変異型など)の形態をとることが特徴です。