バクテリオファージが起こす現象はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
バクテリオファージが細菌のDNAを媒介して別の細菌へ遺伝子を運ぶ現象は「形質導入」と呼ばれます。これは細菌の遺伝子水平伝播の重要なメカニズムの一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 形質転換は、細菌が周囲の環境から裸のDNAを取り込み、自身のゲノムに組み込む現象です。バクテリオファージは関与しません。正しくは:形質転換は、細菌が外部DNAを直接取り込む現象である。選びやすい理由:遺伝子の変化や伝達に関わる現象として、用語が似ているため混同しやすいかもしれません。混同注意:形質導入(ファージによる遺伝子伝達)と混同しやすい。
- 2. 正解。形質導入は、バクテリオファージ(細菌に感染するウイルス)が細菌の遺伝子を別の細菌へ運搬する現象です。ファージが細菌のDNAを取り込み、それを別の細菌に注入することで遺伝子が伝達されます。
- 3. 接合伝達(接合)は、細菌同士が直接物理的に接触し、ピルスと呼ばれる構造を介してプラスミドなどの遺伝子を伝達する現象です。バクテリオファージは関与しません。正しくは:接合伝達は、細菌が直接接触してプラスミドなどを移動させる現象である。選びやすい理由:これも細菌の遺伝子伝達に関わる現象であるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:形質導入や形質転換といった他の遺伝子伝達様式と混同しやすい。
- 4. 突然変異は、DNAの塩基配列が変化することであり、遺伝子の伝達様式そのものではありません。バクテリオファージが感染することで変異が誘発される可能性はありますが、突然変異自体がファージが起こす直接的な伝達現象ではありません。正しくは:突然変異は、DNAの塩基配列の変化そのものである。選びやすい理由:バクテリオファージの感染が細菌の遺伝子に影響を与えることは事実ですが、それが「現象」として直接「遺伝子伝達」を指すわけではない点で誤解しやすいかもしれません。混同注意:遺伝子伝達のメカニズムと、遺伝子の変化のイベントとを混同しやすい。
- 5. DNA修復は、損傷したDNAを元に戻すための細胞内のメカニズムです。遺伝子の伝達とは直接関係ありません。バクテリオファージがDNA修復酵素を持っている場合もありますが、ファージが「起こす現象」としてDNA修復を挙げると、その主体や文脈が異なります。正しくは:DNA修復は、細胞がDNAの損傷を元に戻すプロセスである。選びやすい理由:ファージの遺伝子が宿主のDNA修復系に影響を与える可能性はありますが、「ファージが起こす現象」としてDNA修復を直接指すのは不適切です。混同注意:ファージの機能の一部と、ファージが媒介する主要な遺伝子伝達現象とを混同しやすい。
国試ポイント
細菌における遺伝子伝達の主要な3つのメカニズム(形質転換、形質導入、接合)と、それぞれに関与する要素(裸のDNA、バクテリオファージ、プラスミドとピルス)を正確に理解しているかを問う問題です。特に、バクテリオファージが関与する現象を特定できることが重要です。
混同注意
形質転換(裸のDNAの取り込み)、接合伝達(細菌間の直接接触によるプラスミド伝達)と形質導入(ファージ媒介)は、いずれも細菌の遺伝子伝達に関わるため混同しやすい。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、各遺伝子伝達様式の定義、関与する要素(DNA断片、ファージ、プラスミド/ピルス)、そしてそれぞれの現象によって何が伝達されるか(ゲノムDNAの一部、プラスミド全体など)を確認するようにしましょう。
関連知識
細菌の遺伝子伝達には、形質転換(Transformaiton)、形質導入(Transduction)、接合(Conjugation)の3つの主要な様式が存在します。形質導入には、一般的な形質導入と特殊な形質導入があります。