A型患者の骨髄移植で、ドナー血液型と移植後1週間の輸血用血液製剤の血液型との組合せで正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
新鮮凍結血漿(FFP)の輸血では、レシピエントの赤血球に対する抗体が含まれない製剤を選択することが最も重要です。A型レシピエントはA抗原を持ち、抗B抗体を血漿中に持ちます。AB型血漿には抗A抗体も抗B抗体も含まれないため、A型レシピエントに輸血しても溶血反応を起こす心配がありません。したがって、ドナーの血液型に関わらず、A型レシピエントへの新鮮凍結血漿輸血はAB型が最も安全で適切です。
選択肢ごとの解説
- 1. ドナーがO型の場合、レシピエント(A型)にO型の赤血球を輸血すると、レシピエント血漿中の抗A抗体とO型赤血球表面のA抗原が反応し溶血を起こす可能性があります。骨髄移植後の輸血は、移植された骨髄(ドナー)の造血系が機能し始めるまでの間、レシピエントとドナーの両方に安全な血液型を選ぶ必要があります。移植後数週間はまだレシピエントの血液型が優位であるため、レシピエントであるA型に適合するA型またはO型赤血球が輸血されます。正しくは:ドナーがO型の場合、赤血球輸血はO型、またはA型(レシピエントに合わせて)選びやすい理由:レシピエントがA型なのでA型が適切だと考えてしまうかもしれませんが、ドナーの型が影響するため単純ではありません。混同注意:ドナーの血液型とレシピエントの血液型の影響を混同しやすいです。
- 2. 血小板輸血では、主に血小板表面のABO抗原と、輸血製剤中の血漿に含まれる抗体との反応を考慮します。ドナーO型の血小板製剤をA型レシピエントに輸血する場合、血小板自体はA抗原を持たないため問題ありませんが、O型製剤中の血漿には抗A抗体が含まれており、これがレシピエントの赤血球(A型)を溶血させる可能性があります。そのため、原則として血小板輸血はレシピエントに適合する型(この場合A型)を選びますが、O型ドナーの場合でも、輸血される血漿量を少なくしたABO不適合血小板を使用するか、より安全なA型またはAB型血小板が望ましいです。正しくは:ドナーがO型の場合、血小板輸血はA型、またはAB型選びやすい理由:ドナーの型に合わせるという考え方から選んでしまう可能性があります。混同注意:血小板製剤中の血漿に含まれる抗体の影響を忘れやすいです。
- 3. 新鮮凍結血漿(FFP)の輸血では、血漿中の抗体とレシピエントの赤血球表面抗原との適合性を最優先します。A型レシピエントにO型FFPを輸血すると、O型FFPには抗A抗体が含まれるため、レシピエントのA型赤血球を攻撃し溶血を起こす危険性があります。そのため、FFPの輸血はレシピエントの赤血球に反応しない抗体を持つFFP、すなわちAB型FFP(抗A、抗B抗体がない)が最も安全であり、次にA型FFPが考慮されます。正しくは:ドナーがB型の場合、新鮮凍結血漿輸血はAB型選びやすい理由:O型が万能型だと誤解している場合、選択しがちです。混同注意:赤血球輸血と血漿輸血におけるABO適合の原則を混同しやすいです。
- 4. 赤血球輸血では、輸血される赤血球の抗原とレシピエント血漿中の抗体との適合性を考慮します。A型レシピエントの血漿には抗B抗体が存在するため、B型やAB型の赤血球を輸血すると、抗B抗体と輸血された赤血球のB抗原が反応し、溶血反応を起こします。したがって、A型レシピエントにはA型またはO型の赤血球が輸血されます。正しくは:ドナーがB型の場合、赤血球輸血はA型、またはO型選びやすい理由:ドナーの型がB型で、AB型が幅広いという印象から選んでしまう可能性があります。混同注意:赤血球の抗原と血漿の抗体の適合関係を混同しやすいです。
- 5. 正解。新鮮凍結血漿(FFP)の輸血は、血漿中の抗体がレシピエントの赤血球を攻撃しないように選択することが重要です。A型レシピエントの赤血球にはA抗原があり、抗B抗体を持っています。AB型の血漿には抗A抗体も抗B抗体も含まれていないため、A型レシピエントにAB型FFPを輸血しても、レシピエントの赤血球を溶血させる心配がありません。これは、骨髄移植後の早期段階でも安全な選択肢となります。ドナーの血液型はFFP製剤中の抗体量と関連しますが、レシピエントへの安全性を最優先するため、AB型FFPが最も汎用的に選択されます。
国試ポイント
骨髄移植後の輸血管理における、ドナーとレシピエントの血液型が異なる場合の、各血液製剤(特に赤血球と血漿)の選択原則が問われています。特に、血漿輸血ではレシピエントの赤血球への影響を、赤血球輸血ではレシピエントの血漿抗体との反応を考慮する必要があります。
混同注意
赤血球輸血と血漿輸血におけるABO適合の原則を混同しやすい。特に、O型が赤血球輸血のユニバーサルドナーであることと、AB型が血漿輸血のユニバーサルドナーであることの違いを理解していないと誤答しやすい。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、まず「どの血液製剤か(赤血球、血小板、血漿)」を確認し、次に「レシピエントのABO型」を特定します。その上で、「レシピエントの持つ抗体と製剤の抗原」または「製剤の持つ抗体とレシピエントの抗原」が反応しない組み合わせを選択できるかを判断します。
関連知識
ABO血液型適合原則、不規則抗体、溶血反応の機序、骨髄移植後の血液型キメリズム、各血液製剤(赤血球、血小板、新鮮凍結血漿)の特性と輸血適応、少量血漿を含む製剤の取り扱い。