生化学自動分析装置の終点分析法における2ポイント法で、影響を回避できるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
2ポイント法は、反応開始前の吸光度と反応終了後の吸光度を測定し、その差を求めることで目的物質の濃度を算出する分析法です。この方法の最大の利点は、検体自身の初期の色調や濁りなど、反応とは無関係に存在するバックグラウンドの吸光度成分を相殺できる点にあります。これにより、検体固有の干渉物質による影響を排除し、より正確な測定値を得ることが可能となります。他の選択肢に挙げられている項目は、2ポイント法では回避できない、または対処が困難な誤差要因です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。2ポイント法では、反応開始前と反応終了後の2点の吸光度を測定し、その差から目的成分の濃度を算出します。検体自身の初期の色調や濁りによる吸光度は、両方の測定点に同様に影響するため、その差を取ることで相殺され、結果的に影響を回避できます。
- 2. 校正のずれは、装置全体の測定系に系統的な誤差として影響します。2ポイント法は検体自身のブランク補正には有効ですが、装置の校正値がずれていれば、そのずれは測定結果にそのまま反映されるため回避できません。正しくは:正しい校正曲線が作成されるよう、定期的に校正作業を行い、標準液の管理を徹底する。選びやすい理由:測定法で多くの誤差が回避できると勘違いしやすい。混同注意:個々の検体の初期吸光度補正と、装置全体の測定系における校正を混同。
- 3. 第2試薬の着色は、反応液に添加された時点で吸光度に影響を及ぼします。これは反応による吸光度変化とは異なるバックグラウンド成分ですが、2ポイント法では通常、試薬自体の初期吸光度を完全に除去することは困難です。特に、第2試薬添加後にのみ影響する場合は、補正が難しいです。正しくは:着色のない試薬を使用するか、試薬ブランク測定によって補正する。選びやすい理由:検体の色調と同様に、試薬由来の吸光度もブランクとして補正できると誤解する。混同注意:検体固有の初期吸光度と、試薬に由来する吸光度を混同。
- 4. 光源ランプの劣化は、吸光度測定における光量に影響を与えるため、すべての吸光度測定値に影響を及ぼします。ランプの劣化による吸光度の変化は、測定原理で補正できるものではなく、装置自体の安定性に関わる問題です。正しくは:ランプを定期的に交換するか、光源の安定性を確保するためのメンテナンスを行う。選びやすい理由:装置の不安定性の一部を測定法でカバーできると期待してしまう。混同注意:測定の原理と装置のハードウェアの維持管理を混同。
- 5. 第1試薬の分注量不足は、反応液の総量や試薬濃度、あるいは反応に必要な酵素量などに直接影響を与え、結果として反応速度や生成物の量に直接影響を及ぼします。これにより、最終的な吸光度の変化量も不正確になるため、2ポイント法ではこの根本的な誤差を回避することはできません。正しくは:分注部の精度を定期的に点検・調整し、正確な試薬量を分注できるようにする。選びやすい理由:測定系の誤差がすべて測定法で対応できると誤解する。混同注意:試薬量の変動が、単なるブランク補正で対処できると誤解。
国試ポイント
生化学自動分析装置における様々な測定原理(終点法、反応速度法など)とそのバリエーション(1ポイント法、2ポイント法、多点法など)の基本的な特徴と、それぞれがどのような干渉物質や誤差要因に対して有効であるかを理解しているかが問われます。特に、ブランク補正の概念とそれがどの誤差に適用されるかが重要です。
混同注意
2ポイント法と1ポイント法(ブランク補正なしの終点法)、または多点法におけるブランク補正の考え方。検体ブランクと試薬ブランクの違い。装置のハードウェア由来の誤差(光源劣化、分注不良など)と、検体や試薬由来の化学的干渉の違い。
次に同じ論点が出たら
別の分析法(例:反応速度法、免疫測定法)ではどのような誤差を回避できるか。2ポイント法で回避できない誤差(例:試薬ロット差、温度変動、反応時間のずれ)にはどのように対処するか。生化学検査における主な干渉物質(例:ヘモグロビン、ビリルビン、脂質)が、それぞれの分析法にどのように影響するか。自動分析装置の各モジュール(分注部、反応部、測光部)で発生しうる誤差とその対策。
関連知識
1ポイント法:反応終了後の吸光度のみを測定し、濃度を算出する。ブランク補正がないと、検体や試薬の初期吸光度の影響を直接受ける。多点法(反応速度法):一定時間内の吸光度変化率から酵素活性などを測定する。連続的に吸光度を測定することで、リニアリティの確認や基質枯渇、酵素失活などの異常を検知できる。検体ブランク:検体自身が持つ吸光度や濁度を補正するための測定。試薬ブランク:試薬自体が持つ吸光度や反応による吸光度変化を補正するための測定。キャリブレーション(校正):既知濃度の標準液を用いて、測定値と濃度の関係を定めること。QC(品質管理):日常的に既知濃度の管理試料を測定し、測定系の精度と正確性を維持すること。