喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 7)を別に示す。出現している細胞はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
下に示す画像は、喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本であり、細胞質が豊富で類円形から不正形、細胞質内に多数の黒色顆粒(炭粉)を貪食している大型の細胞が観察されます。これは肺胞組織球(肺胞マクロファージ)の典型的な特徴です。肺胞組織球は、肺胞内に存在するマクロファージで、塵や異物を貪食する役割を担っています。特に、喫煙者や大気汚染に曝露された人、塵肺患者の喀痰でよく見られます。
選択肢ごとの解説
- 1. リンパ球は核が大きく、細胞質がほとんど見られない小型の細胞であり、画像に見られるような豊かな細胞質と貪食像は示しません。正しくは:画像に見られる細胞は、豊富な細胞質と貪食像を示す大型の細胞です。選びやすい理由:炎症性病変の背景にリンパ球が出現することはありますが、画像の細胞の形態とは異なります。混同注意:形質細胞やマクロファージといった他の炎症性細胞と混同する可能性がありますが、それぞれの細胞には特徴的な形態があります。
- 2. 正解。画像には、類円形から不正形を示し、豊富な細胞質内に炭粉などの貪食顆粒を持つ大型の細胞が認められます。これは肺胞組織球(肺胞マクロファージ)の典型的な特徴です。喀痰中に一般的に観察される細胞であり、特に塵肺患者や喫煙者で多く見られます。
- 3. 小細胞癌細胞は、核が大きく、細胞質が極めて乏しく、核小体が不明瞭で、核のクロマチンが顆粒状を呈する小型の悪性細胞です。画像に見られる細胞のような豊かな細胞質や明瞭な貪食像は通常見られません。正しくは:画像に見られる細胞は、豊富な細胞質と貪食像を持つ良性細胞の形態です。選びやすい理由:肺疾患の検体であるため悪性細胞を疑うかもしれませんが、形態学的に異なります。混同注意:リンパ球や基底細胞など、他の小型の細胞と形態的に混同する可能性がありますが、それぞれ特徴的なクロマチンパターンや細胞質を有します。
- 4. 気管支上皮細胞は円柱状または立方体状で、核が基底側に偏在し、線毛を持つことがあります。画像に見られるようなアメーバ状の形態や、炭粉を貪食した像は通常示しません。正しくは:画像に見られる細胞は、アメーバ状の形態と貪食像を持つ肺胞組織球の形態です。選びやすい理由:喀痰検体なので気管支由来の細胞を考えるかもしれませんが、形態が異なります。混同注意:他の上皮細胞や、変性した炎症性細胞と混同する可能性があります。
- 5. 扁平上皮癌細胞は、細胞質が好酸性(オレンジG好性)に染まり、核の濃染・大小不同やN/C比の増大などの悪性所見を示します。標本の細胞は豊富な細胞質に炭粉を貪食した良性の組織球の特徴を示しています。正しくは:画像に見られる細胞は、悪性所見がなく、炭粉を貪食した良性細胞の形態です。選びやすい理由:肺癌で最も頻度の高い組織型の一つであるため選択肢に入りやすいですが、形態的に悪性所見は認められません。混同注意:異型性の強い扁平上皮細胞や、角化を伴う癌細胞と混同する可能性がありますが、画像の細胞には角化や重度の異型性はありません。
国試ポイント
喀痰細胞診における主要な細胞成分の形態的特徴を識別できるかどうかが問われています。特に、肺胞組織球(肺胞マクロファージ)が持つ、豊富な細胞質と貪食像(炭粉など)という特徴を理解しているかが重要です。
混同注意
肺胞組織球は、その豊富な細胞質と貪食像から識別しやすい細胞ですが、多核巨細胞や異型性の弱い変性細胞と混同しないよう注意が必要です。しかし、通常は形態的特徴が明確であるため、他の選択肢にある癌細胞やリンパ球、正常上皮細胞とは容易に区別できます。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、細胞の大きさ、核/細胞質比、細胞質の性状(豊富な細胞質、貪食像の有無、顆粒の有無)、核の形態(クロマチンパターン、核小体の有無)といった項目を詳細に観察し、各選択肢の細胞の典型的な形態学的特徴と照合して判断します。
関連知識
肺胞組織球は、肺の免疫応答に関与する重要な細胞です。Papanicolaou染色では、細胞質が淡青色から淡灰色に染まり、貪食された物質によって色調が異なることがあります。特に炭粉を貪食している場合は、黒色の顆粒として細胞質内に認められます。喀痰検体においては、肺胞組織球の有無や量、含まれる物質などが、肺の健康状態や環境曝露の指標となることがあります。