脂質代謝で誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
ケトン体は脂肪酸のβ酸化によって生じるアセチルCoAを原料に肝臓で合成されるエネルギー源であり、胆汁酸の原料ではありません。胆汁酸の原料はコレステロールです。したがって、「ケトン体は胆汁酸の生成材料となる」という記述は誤っています。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ケトン体は主にアセチルCoAから肝臓で合成されるエネルギー源であり、飢餓時や糖尿病時などに利用されます。一方、胆汁酸の主要な生合成原料となるのはコレステロールです。したがって、この記述は誤っています。正しくは:コレステロールは胆汁酸の生成材料となる。選びやすい理由:ケトン体も脂質代謝に関連する物質であるため、何らかの生合成に関与していると誤解しやすいかもしれません。特に、脂肪酸の分解産物であることから、他の脂質関連物質の前駆体であると漠然と考えてしまう可能性があります。混同注意:ケトン体とコレステロールの生合成経路や役割(エネルギー源 vs. 生体構成成分・前駆体)を混同している可能性があります。
- 2. リン脂質は、親水性の頭部と疎水性の尾部を持つ両親媒性の性質から、生体膜(細胞膜、細胞内小器官膜など)において脂質二重層を形成し、その構造的基盤となる主要な構成成分です。この記述は正しいです。
- 3. 血漿中に存在するコレステロールは、その大部分(約70~80%)がコレステロールエステルとして存在し、残りの約20~30%が遊離コレステロールとして存在しています。これはリポタンパク質によって運搬される形態です。この記述は正しいです。
- 4. 遊離脂肪酸(FFA)は水に溶けにくい性質を持つため、血漿中では主に血漿タンパク質であるアルブミンと結合することで、血液中を効率的に運搬されます。この記述は正しいです。
- 5. カイロミクロンは、食事から摂取された脂質(特にトリグリセライド)を小腸から肝臓や末梢組織へと運搬する大型のリポタンパク質です。その構成成分の約90%がトリグリセライドで占められており、カイロミクロンの主要な脂質です。この記述は正しいです。
国試ポイント
脂質代謝における主要な分子(コレステロール、リン脂質、トリグリセライド、遊離脂肪酸、ケトン体)の役割、生合成経路、および輸送形態に関する基本的な知識が問われています。特に、各物質の「原料」や「主要な成分」といった関係性を正確に理解しているかが試されます。
混同注意
ケトン体とコレステロールの生合成経路、およびそれぞれの生体内での主要な役割(エネルギー源、構造成分、前駆体)が混同されやすい点です。特に、胆汁酸の原料がコレステロールであることは基本的な知識として重要です。
次に同じ論点が出たら
この論点に関連して次に問われる可能性があるのは、各リポタンパク質の詳細な機能(例:LDLはコレステロールを末梢組織へ運搬する、HDLはコレステロールを末梢組織から肝臓へ回収する)、特定の酵素(例:リポタンパクリパーゼ、コレステロールエステラーゼ)の役割、あるいは脂質異常症の原因と検査値に関する問題です。
関連知識
脂質の分類(単純脂質、複合脂質、誘導脂質)、各種リポタンパク質(カイロミクロン、VLDL、LDL、HDL)の構成と機能、脂肪酸のβ酸化とケトン体生成、コレステロールの生合成と利用(ステロイドホルモン、ビタミンD、胆汁酸)、膜脂質としてのリン脂質の役割。