末梢血検査で赤血球数300万/μL、ヘモグロビン6.0 g/dL、ヘマトクリット22.5%であった。診断に最も有用な血液検査項目はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
提示された末梢血検査データは、重度の貧血を示しており、特に赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの著しい低値は、最も頻度の高い貧血である鉄欠乏性貧血を強く示唆します。フェリチンは体内の鉄貯蔵量を反映する主要な指標であり、鉄欠乏性貧血の診断において不可欠な検査項目です。したがって、この状況で貧血の原因を診断するために最も有用なのはフェリチンです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。提示された患者の検査値(赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリットの著しい低下)は、最も一般的な貧血である鉄欠乏性貧血を強く示唆しています。フェリチンは体内の鉄貯蔵量を反映する主要な指標であり、鉄欠乏性貧血の診断において最も有用な検査の一つです。特にヘモグロビンが6.0g/dLという重度の貧血では、鉄欠乏がまず疑われます。
- 2. ビタミンB(主にB12または葉酸)は巨赤芽球性貧血の診断に用いられます。しかし、提示された情報だけでは巨赤芽球性貧血を示唆する所見(例えばMCV高値など)はなく、一般的に鉄欠乏性貧血の方が頻度が高いため、この状況で最初に選択する検査項目としては不適切です。正しくは:この貧血が巨赤芽球性貧血である場合に有用ですが、与えられた情報からは鉄欠乏性貧血が強く疑われます。選びやすい理由:貧血の鑑別診断の一つとしてビタミン欠乏性貧血を想起するかもしれませんが、巨赤芽球性貧血に特異的な所見が示されていないため、第一選択ではありません。混同注意:鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血(ビタミンB12/葉酸欠乏性貧血)の鑑別を混同しやすいです。
- 3. ハプトグロビンは溶血性貧血の診断に有用な指標です。提示された検査値から溶血性貧血を直接示唆する所見(黄疸、網状赤血球増多、LDH高値など)はないため、この状況で貧血の原因を診断する上で最も有用とは言えません。正しくは:溶血性貧血が疑われる場合に有用ですが、この症例の所見からは鉄欠乏性貧血が最も強く疑われます。選びやすい理由:貧血の鑑別診断として溶血性貧血を考慮する場合に選択肢に入るかもしれませんが、この患者のデータからは優先度が低いです。混同注意:鉄欠乏性貧血と溶血性貧血の鑑別を混同しやすいです。
- 4. エリスロポエチンは腎臓から分泌され、赤血球の産生を促進するホルモンです。貧血時には代償的に増加することが多いですが、その測定は主に腎性貧血の診断や治療効果のモニタリングに用いられます。一般的な貧血の原因を診断する目的においては、フェリチンほど広く第一選択として有用ではありません。正しくは:腎性貧血の診断や治療効果のモニタリングに有用ですが、一般的な貧血の原因診断としてはフェリチンの方が優先されます。選びやすい理由:貧血と赤血球産生の関係から、エリスロポエチンが関連すると考えるかもしれませんが、貧血の原因診断という点でより直接的な指標ではありません。混同注意:貧血の原因診断と、貧血に対する生体反応の指標としての役割を混同しやすいです。
- 5. セルロプラスミンは銅代謝に関連するタンパク質であり、ウィルソン病などの銅代謝異常症の診断に用いられます。これらの疾患は比較的稀であり、一般的な貧血の原因を診断する目的で第一に考慮される項目ではありません。正しくは:ウィルソン病など銅代謝異常の診断に用いられる項目であり、提示された症例の貧血の診断には直接的ではありません。選びやすい理由:非常に稀な貧血の原因を考える際に、関連知識として知っている場合に選ぶ可能性がゼロではありませんが、この症例の診断には適切ではありません。混同注意:一般的な貧血の鑑別診断と、稀な疾患に関連する特殊な検査項目を混同しやすいです。
国試ポイント
貧血患者の検査値から、最も疑われる貧血の種類(この場合は鉄欠乏性貧血)を特定し、その診断に最も有用な検査項目を選択する知識が問われています。特に、汎用される貧血の鑑別診断における各検査項目の意義を理解しているかが重要です。
混同注意
一般的な貧血(鉄欠乏性貧血、巨赤芽球性貧血、溶血性貧血、腎性貧血など)の鑑別診断における、各検査項目の役割と優先順位の理解が曖昧だと混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
貧血の検査値が提示されたら、まず貧血の程度と、もしMCVやMCHが分かれば形態学的分類を考えます。次に、最も頻度の高い貧血(鉄欠乏性貧血)から順に、関連する診断マーカー(フェリチン、血清鉄など)が適切かを判断します。溶血性貧血や巨赤芽球性貧血、腎性貧血なども鑑別に入れるものの、提示された情報から最も可能性の高い原因を絞り込む意識を持つことが重要です。
関連知識
貧血の分類(形態学的分類、病態生理学的分類)、MCV、MCH、MCHC、網状赤血球数、血清鉄、TIBC、UIBC、トランスフェリン飽和度、ビタミンB12、葉酸、間接ビリルビン、LDH、ハプトグロビン、クームス試験、エリスロポエチンなどの各検査項目が、どのような貧血で変動し、診断にどう用いられるかの知識が必要です。