1回呼吸法による肺拡散能力測定で濃度を測定するのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
肺拡散能力(DLco)測定のシングルブレス法では、一酸化炭素(CO)とヘリウム(He)が吸入ガスとして用いられ、それぞれの濃度が測定されます。COは肺胞から血液への拡散能力の指標となり、Heは血液に吸収されないため、吸入ガスの希釈度から肺胞容積を正確に測定するための指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。CO(一酸化炭素)は、肺胞から血液中のヘモグロビンへの拡散能力を評価するために使用されます。ヘモグロビンとの親和性が非常に高いため、少量でも肺の拡散機能を敏感に反映します。
- 2. CO₂(二酸化炭素)は、肺拡散能力の測定には通常直接用いられません。呼吸機能の評価や酸塩基平衡の指標として用いられることはありますが、DLcoの測定ガスとは異なります。正しくは:肺拡散能力測定では、CO₂ではなくCO(一酸化炭素)が拡散の指標として用いられます。選びやすい理由:呼吸ガスとして重要であるため、肺機能検査全般に関連すると誤解しやすいです。混同注意:呼吸ガスであるCO₂と、DLco測定に特異的に用いられるCOを混同しやすいです。
- 3. 正解。He(ヘリウム)は、血液中にほとんど吸収されない不活性ガスであり、肺胞容積(VA)を測定するために使用されます。吸入したガスの希釈度から肺胞内の容積を正確に算出するのに役立ちます。
- 4. N₂(窒素)は空気の大部分を占めますが、肺拡散能力の測定ガスとしては直接濃度を測定しません。一部の肺機能検査(窒素洗い出し法など)で換気分布の評価に用いられることがありますが、DLcoの主要な測定ガスではありません。正しくは:肺拡散能力測定では、N₂ではなくCOやHeが用いられます。選びやすい理由:大気中に最も多く含まれるガスであり、他の肺機能検査で使用される場面があるため、選択肢として選んでしまう可能性があります。混同注意:DLco測定における特定のガスの役割と、窒素洗い出し法などの他の肺機能検査での窒素の役割を混同しやすいです。
- 5. O₂(酸素)は呼吸に不可欠なガスですが、肺拡散能力の「測定ガス」としてCOのように直接濃度変化を評価する目的では用いられません。DLco測定の吸入ガスには通常含まれていますが、測定対象ガスではありません。正しくは:肺拡散能力測定では、O₂ではなくCOが拡散能力を評価する主たる測定ガスです。選びやすい理由:呼吸の最も重要なガスであるため、肺機能検査全般に必須と誤解しやすいです。混同注意:呼吸においてO₂の取り込みが重要であることと、肺拡散能力を定量的に測定する際の特定のガス使用の区別がついていないと混同します。
国試ポイント
臨床検査技師国家試験において、肺機能検査の中でも肺拡散能力測定(DLco)の原理と、それに使用される特定ガスの役割を理解しているかが問われます。特に、COが拡散能力の指標、Heが肺胞容積の指標であることを正確に把握している必要があります。
混同注意
COとCO₂、またはN₂やO₂といった他の主要な呼吸関連ガスとの混同、あるいはDLco測定における各ガスの役割(COは拡散、Heは肺胞容積)の混同が起こりやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、DLcoの基準値や、異常値を示す具体的な疾患(例:肺線維症で低下、肺気腫で低下など)を問う問題、あるいはDLcoの計算式に含まれる因子(肺胞容積など)に関する知識が問われる可能性があります。
関連知識
肺機能検査の他の項目(スパイロメトリー、フローボリューム曲線、残気量測定など)、ガスの拡散の法則(フィックの法則)、ヘモグロビンとガスの結合(特にCOとO₂の親和性の違い)、DLcoの計算式、DLcoに影響を与える病態(貧血、肺線維症、肺気腫など)が関連知識として重要です。