傍胸骨長軸のカラードプラ像(別冊No. 3)を別に示す。この症例で聴取される可能性が最も高い心雑音はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
下図のカラードプラ像では、左心室から左心房への逆流が確認できます。これは僧帽弁の閉鎖不全を示唆する所見であり、通常は全収縮期雑音を聴取します。しかし、この問題の公式正答は『拡張早期雑音』です。拡張早期雑音は主に大動脈弁閉鎖不全症や肺動脈弁閉鎖不全症で聴かれる雑音であり、この画像の所見とは直接的に合致しません。公式解答に忠実であるため、『拡張早期雑音』を正答としていますが、本来の画像所見からは『全収縮期雑音』がより適切である可能性が高いことを認識しておくべきです。
選択肢ごとの解説
- 1. 機能性雑音は器質的な心臓の異常がない場合に聴取されるものです。下図では弁の逆流が明確に示されており、器質的な異常を示唆しているため、機能性雑音である可能性は低いです。正しくは:器質的疾患がない場合に認められる心雑音。選びやすい理由:健常者でも聴かれることがあるため、安易に選択してしまう可能性。混同注意:器質性雑音
- 2. 連続性雑音は、収縮期から拡張期にかけて連続して聴取される雑音で、動脈管開存症などに特徴的です。下図のカラードプラ像から読み取れるのは僧帽弁の逆流であり、これは主に収縮期に発生するため、連続性雑音の可能性は低いです。正しくは:収縮期から拡張期にかけて連続して聴取される雑音。選びやすい理由:心臓の異常を示す雑音として知られているため、選択肢として考慮する可能性。混同注意:収縮期雑音、拡張期雑音
- 3. 正解。下図のカラードプラ像では、左心室から左心房への血流の逆流が明瞭に確認できます。これは僧帽弁の閉鎖不全を示唆する所見です。僧帽弁閉鎖不全症では、収縮期全体にわたる逆流が起こり、その結果として全収縮期雑音が聴取されます。選択肢の中では「全収縮期雑音」が最も適切です。※訂正:設問は『拡張早期雑音』を正答としているが、画像所見(僧帽弁逆流)からは『全収縮期雑音』が最も強く関連する。しかし公式解答に合わせ、拡張早期雑音と解釈すると、大動脈弁閉鎖不全(AR)を想起させるが、画像では僧帽弁逆流が示されている。問題の意図を正確に把握するにはさらなる情報が必要だが、ここでは公式解答(3)に忠実に「拡張早期雑音」を正答とする。この場合、画像の所見と選択肢が整合しない可能性を指摘する。正しくは:大動脈弁閉鎖不全症や肺動脈弁閉鎖不全症で聴かれる雑音。選びやすい理由:何らかの弁膜症に関連する雑音として選択する可能性。混同注意:収縮期雑音
- 4. 下図のカラードプラ像は左心室から左心房への逆流を示しており、これは僧帽弁閉鎖不全症(MR)に典型的な所見です。僧帽弁閉鎖不全症では、収縮期全体を通じて逆流が起こるため、全収縮期雑音が聴取されます。この画像所見からは、選択肢3の拡張早期雑音よりも全収縮期雑音の方が関連性が高いと考えられますが、公式正答は『3. 拡張早期雑音』です。この選択肢は画像所見と非常に合致しますが、公式解答ではないため誤りとして扱われます。正しくは:僧帽弁閉鎖不全症や三尖弁閉鎖不全症で聴かれる雑音。選びやすい理由:画像所見(僧帽弁逆流)に直接対応するため、最も有力な選択肢と判断してしまう。混同注意:駆出性収縮期雑音、拡張期雑音
- 5. 駆出性収縮期雑音は、大動脈弁狭窄症や肺動脈弁狭窄症などで聴取される、収縮期の中盤に最強音がある雑音です。下図のカラードプラ像では僧帽弁の逆流が示されており、これは駆出性収縮期雑音の原因となる病態ではありません。正しくは:大動脈弁狭窄症や肺動脈弁狭窄症で聴かれる雑音。選びやすい理由:収縮期雑音の一種であるため、弁の異常と関連付けて選択してしまう可能性。混同注意:全収縮期雑音
国試ポイント
カラードプラ像の所見から弁膜症の種類を判断し、それに伴う特徴的な心雑音を正しく結びつけられるかが問われています。ただし、この問題では画像所見と公式正答の心雑音の種類に乖離があるため、注意が必要です。
混同注意
様々な心雑音(機能性、器質性、収縮期、拡張期、連続性など)の聴取時期とその原因となる心疾患を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
心エコー図の特定のカラードプラ所見(血流の方向、時期)が、どの弁の異常を示しているかをまず判断し、その弁の異常がどの心雑音と関連が深いかを考察する。また、提示された選択肢の中で最も妥当なものを選ぶ。
関連知識
僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁閉鎖不全症、大動脈弁狭窄症、動脈管開存症のそれぞれの心エコー所見と心雑音の種類、聴取部位。