生体物質の光学的特性について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
核酸のプリン・ピリミジン塩基やタンパク質のアミノ酸側鎖(トリプトファン、チロシン、フェニルアラニン)に存在する芳香環や共役二重結合が、それぞれ260nmと280nm付近の紫外線を強く吸収します。この特性は、核酸やタンパク質の定量分析に広く利用されています。
選択肢ごとの解説
- 1. 水は赤外線を強く吸収します。特に1450nm、1940nm、2950nm付近に強い吸収帯を持ち、これが赤外線領域での測定に影響を与えることがあります。正しくは:水は赤外線を強く吸収する。選びやすい理由:日常的に透明であることから光の吸収が少ないと思われがちですが、光の波長によって吸収特性は異なります。混同注意:可視光の吸収が少ないことと混同しやすい。
- 2. 硝子体は眼球内の透明な組織であり、可視光をほとんど吸収せず、透過させます。これにより光が網膜に到達します。正しくは:硝子体は可視光をほとんど吸収せず透過させる。選びやすい理由:眼球の構造の一部であるため、光の調節に関与していると誤解されがちですが、その主な機能は透過です。混同注意:虹彩や網膜など、光の吸収や感知に関わる他の眼組織と混同しやすい。
- 3. ヘモグロビン(特に脱酸素化ヘモグロビン)は近赤外線領域(約660nm~940nm)において、酸素化ヘモグロビンよりも吸収率が高いです。この特性はパルスオキシメトリーで利用されますが、両者ともに吸収はします。より正確には、還元型ヘモグロビンは近赤外線(例:940nm)の吸収が酸素化ヘモグロビンより高いですが、一般的に酸素化ヘモグロビンは赤色光(約660nm)を、還元型ヘモグロビンは近赤外光をよく吸収します。設問の「よく吸収する」という表現は曖昧ですが、一般的にヘモグロビンの可視光域での吸収スペクトルが強く、特にソレー帯(約415nm)やQ帯(約540nm、577nm)が特徴的です。近赤外線領域では可視光域に比べて吸収は相対的に低いです。正しくは:ヘモグロビンは可視光(特に青緑色光)を強く吸収する。または、酸素化ヘモグロビンは赤色光を、脱酸素化ヘモグロビンは近赤外線をより吸収する。選びやすい理由:パルスオキシメトリーで近赤外線が使われるため、ヘモグロビンがそれを「よく吸収する」という印象を受けるかもしれないが、あくまで酸素化/脱酸素化の区別のために利用されるもので、可視光域に比べれば吸収は強くない。混同注意:酸素化ヘモグロビンと脱酸素化ヘモグロビンの吸収特性の違いや、パルスオキシメトリーの原理と混同しやすい。
- 4. 正解。核酸(DNA/RNA)やタンパク質などの生体高分子には、共役二重結合や芳香環を持つ構造(例:DNAの塩基、タンパク質のアミノ酸残基であるトリプトファン、チロシン、フェニルアラニンなど)が含まれており、これらが260nmや280nm付近の紫外線を強く吸収します。これは分光光度計を用いた定量分析の基礎となります。選びやすい理由:この知識は基礎的な分析化学で頻出するため、正解しやすい選択肢です。混同注意:特にないが、具体的な吸収波長を覚える必要がある。
- 5. メラニンは広範囲の波長の光を吸収する特性を持ちますが、特に紫外線から短波長側の可視光(青色光など)を強く吸収します。これにより皮膚や毛髪の色が決まり、紫外線から生体を保護する役割を担っています。正しくは:メラニンは紫外線から短波長の可視光を強く吸収する。選びやすい理由:肌や髪の色が黒っぽいことから光をよく吸収するイメージは正しいが、吸収波長域の記述が不正確な点で誤りです。混同注意:光を吸収する機能は正しいが、吸収スペクトルの特性と混同しやすい。
国試ポイント
生体物質の基本的な光学的特性を理解しているか問う問題です。特に、分析法と関連付けて重要な吸収特性(例:核酸・タンパク質の紫外線吸収)を把握しているか確認されます。
混同注意
生体物質が特定の波長の光を吸収する現象は多く、それぞれの物質の吸収スペクトルの特徴を正確に覚える必要があります。特に、可視光、紫外線、赤外線の各領域における代表的な生体物質の吸収特性が混同されやすいです。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出た場合、各波長領域(紫外線、可視光、赤外線)で主要な生体物質(核酸、タンパク質、ヘモグロビン、水、メラニンなど)がどのような吸収特性を持つかを正確に判断できるかを確認します。
関連知識
吸光度測定の原理、Lambert-Beerの法則、パルスオキシメトリーの原理、光の波長とエネルギーの関係、生体色素の種類と役割(ヘモグロビン、メラニン、ビリルビンなど)。