真性赤血球増加症でみられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
真性赤血球増加症(Polycythemia Vera, PV)は、JAK2遺伝子変異によってエリスロポエチン(EPO)非依存性に骨髄での赤血球産生が過剰になる疾患です。約95%の患者でJAK2 V617F変異が認められ、残りの約5%ではJAK2 exon 12変異など他のJAK2変異が検出されます。このJAK2変異が、PVの診断基準の一つとなっています。したがって、JAK2変異の存在は真性赤血球増加症の極めて重要な特徴です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。真性赤血球増加症(PV)は骨髄増殖性腫瘍の一つであり、JAK2遺伝子(特にV617F変異)の変異が95%以上の症例で認められる特徴的な遺伝子異常です。この変異により、エリスロポエチン非依存性に赤血球産生が亢進します。
- 2. 破砕赤血球(Schistocyte)は、微小血管障害性溶血性貧血(DIC、TTP、HUSなど)や機械弁による溶血などで見られる所見であり、血管内で赤血球が物理的に破壊されることを示します。真性赤血球増加症では通常出現しません。正しくは:破砕赤血球の出現は微小血管障害性溶血性貧血でみられる。選びやすい理由:赤血球に関する異常なので関連があるように感じるかもしれないが、真性赤血球増加症は赤血球の増加であり、破壊ではない。混同注意:溶血性貧血における赤血球形態異常と混同しやすい。
- 3. ハプトグロビンは遊離ヘモグロビンと結合するタンパク質であり、溶血性疾患(血管内溶血)の際に遊離ヘモグロビンが増加するため、ハプトグロビンが消費され濃度が低下します。真性赤血球増加症では溶血は一般的ではなく、むしろ赤血球が増加します。正しくは:ハプトグロビン濃度の低下は溶血性貧血でみられる。選びやすい理由:貧血検査でよく測定される項目なので、赤血球疾患との関連を疑うかもしれない。混同注意:溶血性貧血の検査所見と混同しやすい。
- 4. 真性赤血球増加症はエリスロポエチン非依存性に赤血球が増加するため、負のフィードバックにより血中のエリスロポエチン濃度はむしろ低値を示すのが特徴です。二次性赤血球増加症(慢性低酸素血症など)で高値となります。正しくは:エリスロポエチン(EPO)濃度は低値となる。選びやすい理由:赤血球が増加しているのだから、それを促進するホルモンも増えると考えがちだが、真性赤血球増加症ではエリスロポエチン非依存性である。混同注意:二次性赤血球増加症におけるエリスロポエチン値と混同しやすい。
- 5. 真性赤血球増加症では、赤血球造血が亢進する過程で鉄が消費され、潜在的な鉄欠乏を来すことがあります。そのため、MCVは正常値か、むしろ低下傾向を示すことが多く、高値を示すことは一般的ではありません。高値は巨赤芽球性貧血などで見られます。正しくは:平均赤血球容積(MCV)は正常値か低下傾向を示す。選びやすい理由:赤血球数が多いのだから、個々の赤血球のサイズも大きくなると思い込む可能性がある。混同注意:巨赤芽球性貧血や再生不良性貧血などのMCV高値を示す貧血と混同しやすい。
国試ポイント
真性赤血球増加症の主要な遺伝子異常とその病態生理学的意義が問われています。骨髄増殖性腫瘍(MPN)における遺伝子変異の知識は必須です。各選択肢は、他の血液疾患(溶血性貧血、二次性赤血球増加症、貧血の種類など)の検査所見と対比させて理解することが求められます。
混同注意
真性赤血球増加症と二次性赤血球増加症の鑑別(特にEPO値)、溶血性貧血の検査所見(ハプトグロビン、破砕赤血球)、各種貧血におけるMCVの変化など。
次に同じ論点が出たら
真性赤血球増加症を診断する際に、どのような検査所見(血液学的所見、遺伝子検査、EPO値など)を総合的に評価するか。特に、赤血球増加の原因が原発性(真性赤血球増加症)か二次性(低酸素血症、腫瘍など)かを鑑別するポイントは何か。
関連知識
骨髄増殖性腫瘍(MPN)の分類と各疾患の診断基準(WHO分類)、JAK-STATシグナル伝達経路、エリスロポエチンの産生と調節、鉄代謝、溶血性貧血の病態と検査所見。