末梢血のWright-Giemsa染色標本(別冊No. 12)を別に示す。考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
下に示す画像には、赤血球が不規則な形に断片化した「破砕赤血球(Schistocyte)」が多数認められます。この所見は、赤血球が細小血管内でフィブリン網などによって物理的に破壊される細血管障害性溶血性貧血に非常に特徴的です。その他の選択肢の疾患では、このような破砕赤血球が主たる所見として現れることはありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 赤芽球癆では赤血球系の前駆細胞が減少し、網状赤血球が著しく低下しますが、画像のような特徴的な破砕赤血球は通常見られません。正しくは:赤芽球癆は、赤血球系の造血不全を特徴とし、末梢血塗抹標本に破砕赤血球が出現することはありません。選びやすい理由:貧血を伴う疾患であるため、鑑別疾患の一つとして考慮する可能性はありますが、画像所見とは一致しません。混同注意:他の種類の貧血との混同。
- 2. サラセミアでは標的赤血球や小赤血球、低色素性赤血球が特徴的ですが、画像の破砕赤血球はサラセミアの主な所見ではありません。正しくは:サラセミアでは小球性低色素性貧血、標的赤血球、塩基性斑点などが主な所見であり、破砕赤血球は一般的ではありません。選びやすい理由:溶血性貧血の一種であり、赤血球の異常に関連するため、誤って選択する可能性があります。混同注意:遺伝性の溶血性貧血や他の形態異常を呈する貧血との混同。
- 3. 鉄芽球性貧血では環状鉄芽球が骨髄に見られますが、末梢血には大小不同や多染性赤血球、標的赤血球が見られることがありますが、画像のような破砕赤血球は特徴的ではありません。正しくは:鉄芽球性貧血の末梢血所見は、大小不同の赤血球や標的赤血球が主であり、破砕赤血球は通常見られません。選びやすい理由:貧血の一種であり、鉄代謝異常に関連するため、誤って選択する可能性があります。混同注意:他の鉄関連貧血や赤血球形態異常を伴う貧血との混同。
- 4. 再生不良性貧血では汎血球減少が特徴で、赤血球の形態に特異的な異常は通常見られず、特に破砕赤血球は観察されません。正しくは:再生不良性貧血では、末梢血に汎血球減少が見られますが、赤血球の形態異常として破砕赤血球は特徴的ではありません。選びやすい理由:重度の貧血を呈する疾患であるため、鑑別疾患の一つとして考慮する可能性はありますが、画像所見とは一致しません。混同注意:他の造血不全性貧血との混同。
- 5. 正解。細血管障害性溶血性貧血は、細小血管内で赤血球が物理的な損傷を受けることで溶血する病態です。このため、末梢血塗抹標本では赤血球が機械的に破壊された破砕赤血球(Schistocyte)が特徴的に多数出現します。提示された画像には、そのような破砕赤血球が明確に確認できるため、この診断が最も適切です。
国試ポイント
末梢血塗抹標本の所見、特に特徴的な赤血球形態(破砕赤血球、標的赤血球、有核赤血球など)から疾患を正確に診断できるかどうかが問われています。細血管障害性溶血性貧血における破砕赤血球は、特に重要な鑑別ポイントです。
混同注意
他の溶血性貧血(遺伝性球状赤血球症、自己免疫性溶血性貧血など)や、赤血球の形態異常を伴う他の貧血(サラセミア、鉄芽球性貧血など)との鑑別が難しい場合があります。それぞれの疾患の典型的な末梢血所見を正確に理解しておくことが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の問題が出た際には、まず末梢血塗抹標本の赤血球形態に異常がないかを確認します。特に破砕赤血球、標的赤血球、球状赤血球、涙滴赤血球、有核赤血球などの特徴的な形態異常に着目し、それぞれの形態異常が関連する疾患群を想起して診断を進める必要があります。
関連知識
細血管障害性溶血性貧血の原因疾患として、DIC(播種性血管内凝固症候群)、TTP(血栓性血小板減少性紫斑病)、HUS(溶血性尿毒症症候群)、悪性高血圧などが挙げられます。これらの疾患では、血管内の微小な血栓形成などにより赤血球が損傷を受けやすくなります。破砕赤血球の検出はこれらの疾患の診断に不可欠です。