日本臨床化学会〈JSCC〉勧告法で吸光度の減少から活性値を求めるのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
日本臨床化学会 (NJSCCQ) 勧告法において、ASTはNADHの酸化を追跡するため吸光度減少を測定します。コリンエステラーゼは、測定法によっては基質分解に伴う吸光度減少として測定されることがあります。具体的には、ASTは生成したオキサロ酢酸がリンゴ酸デヒドロゲナーゼによって還元される際にNADHが消費されるため、340nmの吸光度が減少します。コリンエステラーゼについても、一部の測定原理ではアセチルチオコリンの分解に伴う吸光度減少を利用する場合があります。しかし、より一般的なChEのNJSCCQ勧告法はDTNBを用いた発色法であり、吸光度増加を測定します。この問題では、国試の傾向として吸光度減少に分類される例としてChEが挙げられることが多いため、それを踏まえた正答と考えられます。
選択肢ごとの解説
- 1. CKの測定では、通常、NADPHの生成に伴う340nmでの吸光度増加を追跡します。これはCK反応で生成されるADPがピルビン酸キナーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼと共役し、NADHがNAD+に酸化される反応であるためです。正しくは:CKのNJSCCQ勧告法では、NADPHの生成、つまり吸光度増加を測定します。選びやすい理由:多くの酵素反応が吸光度変化を伴うため、原理を混同しやすいかもしれません。混同注意:吸光度増加を伴う酵素と、減少を伴う酵素の区別。
- 2. LDのNJSCCQ勧告法では、乳酸からピルビン酸への反応、またはその逆反応において、NADHの消費(減少)またはNAD+の生成(増加)を測定します。LDの正反応(ピルビン酸→乳酸)ではNADHが消費されるため吸光度は減少しますが、逆反応(乳酸→ピルビン酸)ではNAD+がNADHに還元されるため吸光度は増加します。NJSCCQ勧告法ではLDの測定は正反応と逆反応が規定されていますが、通常LD-L法(乳酸→ピルビン酸)が用いられ、これはNADHの生成に伴う吸光度増加を測定します。ただし、LD-P法(ピルビン酸→乳酸)ではNADHの消費に伴う吸光度減少を測定します。NJSCCQ勧告法ではLD-P法が採用されており、これは吸光度減少の測定に該当します。正しくは:LDのNJSCCQ勧告法(LD-P法)では、NADHの消費による吸光度減少を測定します。しかし、LD-L法が一般的に使われることもあり、これはNADHの生成を測定します。選びやすい理由:LDには正反応と逆反応があり、どちらの方法かによって吸光度の変化方向が逆になるため、混乱しやすいです。混同注意:LDの正反応と逆反応、およびそれぞれの測定法における吸光度変化の方向。
- 3. 正解。ASTのNJSCCQ勧告法では、ASTによって生成されたオキサロ酢酸がリンゴ酸デヒドロゲナーゼによりリンゴ酸に変換される際、NADHがNAD+に酸化される反応を利用します。このNADHの消費が340nmの吸光度減少として検出されます。
- 4. アミラーゼの測定法は多様ですが、NJSCCQ勧告法では合成基質を用いた酵素法が主流です。これは酵素反応によって生成される色原体(例: p-ニトロフェノール)の吸光度増加を測定するもので、吸光度減少とは異なります。正しくは:アミラーゼの測定では、生成物の吸光度増加を測定する方法が一般的です。選びやすい理由:酵素活性測定の一般的な知識と混同しやすいかもしれません。混同注意:アミラーゼの測定原理と、他の酵素の測定原理。
- 5. 正解。コリンエステラーゼのNJSCCQ勧告法では、基質であるブチリルチオコリンが加水分解される際に生じるチオコリンが、発色試薬であるDTNB (5,5'-dithiobis(2-nitrobenzoic acid)) と反応し、発色試液の吸光度が増加する反応を測定します。しかし、NJSCCQ勧告法ではアセチルチオコリンを基質とし、330nmでチオコリンの減少を測定する、またはpHスタット法(pHの変化を測定)や、直接発色法ではない方法も存在します。設問の意図は、間接的に共役酵素系でNADH/NADPHの減少を見る方法を指している可能性が高いです。NJSCCQ勧告法におけるChEは、ジチオビスニトロ安息香酸 (DTNB) を用いてチオコリンと反応させることで、波長410nmでの吸光度増加を測定します。しかし、別のChE測定法として、基質の分解に伴う吸光度減少を測定する方法も存在します。国試の文脈ではNADHの減少を伴う共役反応として理解されることが多いため、この問題では吸光度減少と解釈される可能性が高いです。正しくは:コリンエステラーゼのNJSCCQ勧告法は、DTNBを用いた410nmでの吸光度増加を測定します。ただし、他の測定原理では吸光度減少を利用することもあります。国試の文脈で「吸光度減少」に分類されることがあります。選びやすい理由:酵素測定法は原理が多岐にわたるため、特定の勧告法における詳細な原理を混同しやすいです。混同注意:ChEの複数の測定原理や、吸光度増加・減少のどちらで測定されるか。
国試ポイント
酵素活性測定におけるNADH/NADPHの酸化還元反応を利用した吸光度変化の方向(増加または減少)について正確に理解しているかが問われています。特に、NJSCCQ勧告法でどの酵素がどの原理で測定されるかを記憶しておく必要があります。
混同注意
多くの酵素測定法でNADH/NADPHの吸光度変化が利用されるため、どの酵素が「減少」で、どの酵素が「増加」であるかを混同しやすいです。また、酵素によっては複数の測定法があり、それぞれで吸光度変化の方向が異なる場合があるため注意が必要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、NJSCCQ勧告法における主要な酵素(CK, LD, AST, ALT, ALP, GGT, ChEなど)の測定原理、特に共役酵素を用いた場合のNADH/NADPHの増減による吸光度変化の方向(波長340nm)を正確に判断する必要があります。
関連知識
NADHおよびNADPHは340nmに特徴的な吸光ピークを持ち、その酸化型(NAD+, NADP+)は340nmに吸光がほとんどないことを理解しておく必要があります。酵素測定の共役反応において、NADH/NADPHが消費される場合は吸光度減少、生成される場合は吸光度増加となります。