急性単純性尿路感染症の原因菌で最も頻度が高く検出されるのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
急性単純性尿路感染症の主要な起因菌は、約8割を占める大腸菌(Escherichia coli)です。これは女性に多く見られる膀胱炎などの形で発症し、多くの場合、腸管内の常在菌が尿道から上行感染することで引き起こされます。その他の選択肢に挙げられた菌も尿路感染症の原因となることがありますが、頻度は大腸菌に大きく劣ります。
選択肢ごとの解説
- 1. 腸球菌の一種で、尿路感染症の原因となることはありますが、大腸菌ほど頻繁ではありません。特に、カテーテル関連尿路感染症や基礎疾患のある患者の尿路感染症で問題となることが多いです。正しくは:大腸菌に次いで、あるいは特定の条件下(院内感染、基礎疾患ありなど)で原因菌となることがあります。選びやすい理由:グラム陽性球菌であり、腸内細菌叢の一部であるため、尿路感染症の原因になりうると考える学生がいるかもしれません。混同注意:他のグラム陽性菌、特にブドウ球菌(Staphylococcus saprophyticusなど)と混同しやすいです。
- 2. 正解。急性単純性尿路感染症の約80%以上を占める最も主要な原因菌です。主に女性に多く見られる膀胱炎などの原因となります。
- 3. 肺炎桿菌として知られ、尿路感染症の原因となることもありますが、主に院内感染や免疫不全患者で頻度が高く、単純性尿路感染症では大腸菌ほど一般的ではありません。正しくは:尿路感染症の比較的頻度の高い原因菌の一つではあるが、最もではありません。選びやすい理由:腸内細菌科の一員であり、グラム陰性桿菌であるため、尿路感染症の主要な原因菌群と認識されているため、選びやすいかもしれません。混同注意:他の腸内細菌科細菌、特に大腸菌と混同しやすいです。
- 4. 尿路感染症の原因菌となりますが、特に尿路結石の形成に関与することが特徴的です(ウレアーゼ産生)。単純性尿路感染症において大腸菌ほどの頻度はありません。正しくは:尿路結石を伴う複雑性尿路感染症などで原因菌となる頻度が高いです。選びやすい理由:尿路感染症でよく耳にする細菌であり、ウレアーゼ産生という特徴が知られているため、主要な菌として選びがちです。混同注意:ウレアーゼ産生菌として他の細菌と混同しやすいです。
- 5. 表皮ブドウ球菌として知られ、常在菌ですが、通常は検体汚染菌とされることが多いです。尿路感染症の真の原因菌となることは稀で、カテーテル関連感染症や人工物感染症で問題となることが多いです。単純性尿路感染症ではほとんど考慮されません。正しくは:検体汚染菌またはカテーテル関連尿路感染症の原因菌となることがあります。選びやすい理由:ブドウ球菌属であるため、尿路感染症の原因菌(Staphylococcus saprophyticusなど)と混同し、選択肢としてあり得ると考えてしまう可能性があります。混同注意:Staphylococcus saprophyticus(若年女性の急性膀胱炎の原因菌の一つ)と混同しやすいです。
国試ポイント
臨床検査技師として、尿路感染症の診断において最も重要な起因菌を正確に識別できる知識が問われています。特に、頻度の高い疾患における主要な原因菌を把握していることは必須です。単純性か複雑性か、基礎疾患の有無、院内感染か市中感染かによって原因菌の頻度が異なる点も重要です。
混同注意
単純性尿路感染症と複雑性尿路感染症、あるいは院内感染と市中感染では、原因菌の頻度や種類が大きく異なります。Staphylococcus saprophyticusが若年女性の急性膀胱炎の原因菌として大腸菌に次いで多いことも混同しやすい点です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、急性単純性尿路感染症における大腸菌の圧倒的な頻度をまず確認します。さらに、複雑性尿路感染症や院内感染の場合、あるいは特定の基礎疾患を持つ患者の場合に、どの菌が優位になるか(例:緑膿菌、腸球菌、特定のグラム陰性桿菌など)を問われる可能性も考慮しておきましょう。Staphylococcus saprophyticusの特殊な位置づけも押さえておくべきです。
関連知識
尿路感染症の主な原因菌は、グラム陰性桿菌である腸内細菌科細菌(大腸菌、肺炎桿菌、プロテウス・ミラビリスなど)が中心です。その他、グラム陽性菌として腸球菌(Enterococcus faecalis)や、若年女性の急性膀胱炎におけるStaphylococcus saprophyticusなどが挙げられます。抗菌薬の選択においても、これらの起因菌の頻度と感受性が考慮されます。