クロールについて正しいのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3・5番
解説
選択肢3について、胃液には塩酸(HCl)が多く含まれるため、嘔吐によりHClが体外に失われると、体内のクロール濃度が低下します。これは代謝性アルカローシスを引き起こす一因にもなります。選択肢5について、アニオンギャップは、血清中の主要な陽イオン(Na+)と主要な陰イオン(Cl-とHCO3-)の差として算出され、測定不能な陰イオンの増加を評価する指標です。計算式にクロールは必須です。
選択肢ごとの解説
- 1. クロールは主に細胞外液に存在する主要な陰イオンです。細胞内にはわずかしか存在しません。正しくは:クロールはその約90%が細胞外に存在しています。選びやすい理由:細胞内液と細胞外液のイオンバランスに関する知識が不確かな場合、細胞内が多いと誤解する可能性があります。混同注意:カリウムイオン(K+)が細胞内液の主要陽イオンであることと混同しやすいです。
- 2. クロールは生体内では主に遊離イオンとして存在し、蛋白質とはほとんど結合しません。正しくは:クロールは蛋白質とはほとんど結合せず、遊離イオンとして存在します。選びやすい理由:カルシウムなど他のイオンが蛋白質結合型を持つことから、クロールも同様に結合型が存在すると誤解する可能性があります。混同注意:カルシウム(Ca2+)やマグネシウム(Mg2+)などの一部の陽イオンが血中蛋白質と結合するのと混同しやすいです。
- 3. 正解。胃液には多量の塩酸(HCl)が含まれており、激しい嘔吐により胃液が体外に排出されると、クロール(Cl-)も失われ、結果として血中クロール濃度が低下します。これは代謝性アルカローシスの原因ともなります。
- 4. α-アミラーゼの活性にはカルシウムイオン(Ca2+)が必須ですが、クロール(Cl-)は必須ではありません。ただし、クロールはα-アミラーゼの酵素活性を促進するアロステリック効果を持つことが知られています。正しくは:α-アミラーゼの酵素活性にはカルシウムイオンが必須の成分です。選びやすい理由:クロールがα-アミラーゼの活性を促進するという知識があれば、必須成分と誤解する可能性があります。混同注意:必須成分であるCa2+と、活性化因子であるCl-の役割を混同しやすいです。
- 5. 正解。アニオンギャップ(AG)は、血漿中の測定可能な陽イオン(主にNa+)と測定可能な陰イオン(主にCl-とHCO3-)の差から、測定不能な陰イオンの量を推定する指標であり、計算式には必ずクロール濃度が含まれます。AG = Na+ - (Cl- + HCO3-)。
国試ポイント
クロールの生体内における基本的な分布、機能、代謝、臨床的意義(特に電解質バランスの指標としての役割)を問う問題です。各選択肢は、クロールに関する具体的な知識を正しく理解しているかを試しています。
混同注意
クロール(Cl-)と他の電解質(特にNa+, K+, Ca2+, HCO3-)の生体内分布、機能、および臨床的関連性(例: 嘔吐による電解質異常、酵素活性化因子)を混同しやすいです。
次に同じ論点が出たら
次に同様の問題が出た場合、クロールの主要な細胞外液イオンとしての役割、酸塩基平衡への関与、そしてアニオンギャップ算出における重要性を確実に確認すること。
関連知識
主要電解質の体内分布、酸塩基平衡、アニオンギャップの意義と計算式、各種酵素の活性に必要な因子。