血糖調節機構の組合せで誤っているのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
グルカゴンは低血糖時に分泌され、肝臓におけるグリコーゲン分解を促進して血糖値を上昇させるホルモンです。選択肢3では「グリコーゲン分解抑制」と記述されており、これはグルカゴンの作用とは逆であるため誤りです。インスリンとグルカゴンは血糖調節において拮抗する関係にあり、それぞれの作用を正確に理解することが重要です。
選択肢ごとの解説
- 1. インスリンは血糖値が高いときに分泌され、細胞へのブドウ糖取り込みを促進し、ブドウ糖をエネルギーとして利用する解糖系を活性化させます。これにより血糖値を低下させます。正しくは:インスリンは解糖系を促進し、血糖値を下げる方向に作用します。選びやすい理由:インスリンが血糖値を下げるホルモンであることは知られているため、その作用機序として解糖系促進が正しいと認識されやすい。混同注意:インスリンの作用は多岐にわたるため、他の代謝経路(例: 糖新生抑制、グリコーゲン合成促進)と混同することはないが、解糖系促進は血糖低下作用に直結するため、誤りとして選びにくい。
- 2. 肝臓は血糖値が高い場合にインスリンの作用を受けて、余分なブドウ糖をグリコーゲンとして貯蔵(合成)します。これにより血糖値を低下させます。正しくは:肝臓はインスリンの作用でグリコーゲンを合成し、血糖値を下げます。選びやすい理由:肝臓が血糖調節の中心的な臓器であり、グリコーゲンの貯蔵・放出に関わることは基本的な知識であるため、正しいと判断されやすい。混同注意:グリコーゲン分解とグリコーゲン合成は逆の作用であり、それぞれ異なるホルモン(グルカゴン、インスリン)によって制御される。肝臓は両方の反応に関与するため、混同の余地はあるが、合成はインスリンの作用であるため、誤りとはなりにくい。
- 3. 正解。グルカゴンは血糖値が低いときに分泌され、血糖値を上昇させるホルモンです。肝臓でのグリコーゲン分解を促進し、ブドウ糖を血液中に放出することで血糖値を上げます。したがって、グリコーゲン分解を「抑制」するというのは誤りです。正しくは:グルカゴンはグリコーゲン分解を促進し、血糖値を上昇させます。選びやすい理由:グルカゴンが血糖調節ホルモンであることは正しいため、その作用として何らかのグリコーゲン代謝に関わると誤認されやすい。また、インスリンとグルカゴンが拮抗する関係にあるため、インスリンの作用(グリコーゲン合成促進)と混同して、抑制作用があると思いこむ可能性もある。混同注意:インスリン(グリコーゲン合成促進、グリコーゲン分解抑制)とグルカゴン(グリコーゲン分解促進、グリコーゲン合成抑制)の作用が混同されやすい。グルカゴンの主な作用はグリコーゲン分解促進と糖新生促進である。
- 4. インスリンは血糖値が高い場合に、余剰のブドウ糖を中性脂肪(トリグリセリド)として脂肪組織に貯蔵するのを促進します。これは血糖低下作用の一つです。正しくは:脂肪組織はインスリンの作用でトリグリセリドを合成し、血糖値が高いときのエネルギー貯蔵に貢献します。選びやすい理由:インスリンによる脂肪合成促進は広く知られているため、正しいと判断されやすい。混同注意:脂肪の分解(リパーゼによる)と合成(インスリンによる)は逆の作用であり、それぞれ異なるホルモンによって制御される。脂肪分解はカテコールアミンや成長ホルモンによって促進されるが、インスリンによるトリグリセリド合成は血糖値調節において重要な役割を果たすため、誤りとして選びにくい。
- 5. 腎臓は肝臓に次いで重要な糖新生の臓器です。特に飢餓時やアシドーシス時など、血糖値が低下した際にアミノ酸などからブドウ糖を新生し、血糖値を維持する役割を担います。正しくは:腎臓は糖新生を行い、血糖値の維持に寄与します。選びやすい理由:肝臓での糖新生は有名だが、腎臓でも糖新生が行われることを知っていると、正しいと判断されやすい。腎臓の役割として排出が主であるというイメージから、糖新生を行うことが誤りではないかと誤解する可能性もある。混同注意:糖新生の主要臓器は肝臓であるため、腎臓での糖新生は軽視されがちだが、飢餓時などには重要な役割を果たす。腎臓の他の機能(老廃物排出、内分泌など)と混同することはないが、糖新生の臓器としての重要性を理解しているかどうかが問われる。
国試ポイント
本問題は、血糖値の調節に関わる主要なホルモン(インスリン、グルカゴン)とその主要な標的臓器(肝臓、脂肪組織、腎臓)における代謝経路(解糖系、グリコーゲン合成・分解、糖新生、トリグリセリド合成)の基礎知識を問うものです。特に、各ホルモンがどの代謝経路を促進または抑制するのかを正確に把握しているかがポイントとなります。
混同注意
インスリンとグルカゴンの作用が混同されやすい。両者は互いに拮抗する作用を持ち、血糖調節の中心的役割を担うため、それぞれの働き(特にグリコーゲン代謝や糖新生への影響)を正確に理解しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、インスリンとグルカゴン以外の血糖調節に関わるホルモン(例: アドレナリン、コルチゾール)の作用機序や、それぞれのホルモンが標的臓器にどのような影響を与えるかを問う問題が予想される。
関連知識
血糖調節に関わる他のホルモン(アドレナリン、コルチゾール、成長ホルモンなど)や、糖尿病の種類とその病態生理、血糖測定法の原理と臨床的意義。