喀痰細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 8)を別に示す。出現している細胞はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された画像では、細胞は全体的に小型で、核は濃染され、クロマチンが粗く増量しています。細胞質は乏しく、核小体は不明瞭です。細胞同士が密集して核のモルディング現象(核が互いに押し合って変形する)も見られます。これらの特徴は肺小細胞癌に典型的な所見です。
選択肢ごとの解説
- 1. 肺胞組織球は通常、明瞭な空胞や貪食像を持つマクロファージであり、本画像のような異型性や核の変化は示しません。正しくは:本画像は異型性の強い細胞を示しており、肺胞組織球ではありません。選びやすい理由:喀痰中には肺胞組織球がよく出現するため、その可能性を考えるかもしれませんが、形態が異なります。混同注意:炎症性細胞(肺胞組織球、マクロファージ)と悪性細胞の形態学的特徴の区別。
- 2. 気管支上皮細胞は通常、円柱状で核のクロマチンは均一です。本画像に見られるような核の大小不同やクロマチンの増量、核小体の明瞭化といった異型性はありません。正しくは:本画像は明らかな悪性所見を呈しており、良性の気管支上皮細胞ではありません。選びやすい理由:喀痰細胞診では気管支由来の細胞が観察されるため、選択肢として考慮されやすいですが、形態が悪性です。混同注意:良性上皮細胞と悪性上皮細胞の形態学的特徴の区別。
- 3. 腺癌細胞は通常、腺管構造や乳頭状配列を示したり、細胞質に粘液空胞を持つことがありますが、本画像に見られるような小型で核のクロマチンが密に凝集し、細胞質が乏しい特徴とは異なります。正しくは:腺癌細胞の形態学的特徴とは異なり、核の形態や細胞質の量から小細胞癌が疑われます。選びやすい理由:肺癌の一種であるため選択肢に入りやすいですが、細胞形態の細かな違いを見極める必要があります。混同注意:他の種類の肺癌細胞(腺癌、扁平上皮癌)との形態学的鑑別。
- 4. 正解。小細胞癌細胞は、小型で円形または卵円形の核を持ち、細胞質が非常に乏しく、核のクロマチンが細かく顆粒状に増量し、核小体が不明瞭なことが特徴です。また、核の圧潰やモルディング現象(核が互いに押し合って変形する現象)を呈することが多く、これらの所見は提示された画像と一致します。
- 5. 平上皮癌細胞は、細胞質が豊富で、角化傾向(オレンジG好性細胞質)や細胞間橋を示すことがありますが、本画像に見られるような小型で細胞質が乏しく、クロマチンが密に凝集した細胞とは形態が異なります。正しくは:平上皮癌細胞の形態学的特徴とは異なり、核の形態や細胞質の量から小細胞癌が疑われます。選びやすい理由:肺癌の一般的なタイプの一つであるため選択肢に入りやすいですが、細胞形態が異なります。混同注意:他の種類の肺癌細胞(腺癌、扁平上皮癌)との形態学的鑑別。
国試ポイント
喀痰細胞診において、肺癌の主要な組織型(小細胞癌、腺癌、扁平上皮癌)の細胞学的特徴を画像から正確に鑑別できるかどうかが問われる。特に小細胞癌の『小型で乏しい細胞質、濃染された核、モルディング現象』といった特徴は頻出である。
混同注意
小細胞癌の形態は、リンパ腫細胞や一部の腺癌(小細胞型)と混同される可能性があります。しかし、核のモルディングやクロマチンの特徴で鑑別します。また、良性のリンパ球集簇などとの区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
次回同様の画像問題が出題された際は、まず細胞の大きさ、核の形と大きさ、核のクロマチンパターン(濃染度、均一性、顆粒性)、核小体の有無と大きさ、細胞質の量と染色性を詳細に観察すること。特に核のモルディング現象は小細胞癌の重要な鑑別点となる。
関連知識
肺癌の主要組織型の細胞学的特徴、特に小細胞癌の『燕麦細胞(oat cell)』としての特徴。Papanicolaou染色の染色性(核のクロマチンパターン、細胞質の量と染色性)。喀痰細胞診の標本作製とスクリーニングの基本。