血清コリンエステラーゼ活性が低下するのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
有機リン化合物は、アセチルコリンエステラーゼおよび血清コリンエステラーゼ(別名:プソイドコリンエステラーゼ、ブチリルコリンエステラーゼ)を不可逆的に阻害します。血清コリンエステラーゼ活性の低下は、有機リン中毒の診断において重要な指標となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 鉛中毒では、血清コリンエステラーゼ活性の低下は一般的ではありません。主にヘム合成経路の酵素阻害や赤血球寿命の短縮が特徴です。正しくは:鉛中毒では、血清コリンエステラーゼ活性は通常、低下しません。選びやすい理由:様々な中毒が提示されているため、どれかがコリンエステラーゼに関与すると考えるかもしれませんが、鉛中毒は直接的な関連性が低いです。混同注意:他の重金属中毒と混同して、広範な酵素阻害作用があると誤解する可能性があります。
- 2. 水銀中毒は主に中枢神経系や腎臓に影響を与えますが、血清コリンエステラーゼ活性の顕著な低下を引き起こす主要な原因ではありません。重金属による酵素阻害は多岐にわたりますが、コリンエステラーゼに特異的ではありません。正しくは:水銀中毒では、血清コリンエステラーゼ活性は通常、低下しません。選びやすい理由:鉛と同様に重金属であり、一般的な酵素阻害作用を持つと誤解する可能性があります。混同注意:広範な酵素阻害作用を持つ重金属と有機リン酸エステルとの作用機序を混同しやすいです。
- 3. 青酸中毒は、ミトコンドリアのシトクロムc酸化酵素を阻害することで細胞呼吸を妨げ、致死的な影響を与えます。血清コリンエステラーゼ活性には直接的な影響を与えません。正しくは:青酸中毒では、血清コリンエステラーゼ活性は通常、低下しません。選びやすい理由:致死的な中毒であるため、全身の酵素活性に影響を与えると考えるかもしれませんが、作用機序は特異的です。混同注意:様々な酵素阻害作用を持つ毒物の中で、特異的な作用機序を持つものと混同しやすいです。
- 4. 正解。有機リン化合物は、アセチルコリンエステラーゼ(AChE)および血清コリンエステラーゼ(BuChE/PChE)を不可逆的に阻害する作用があります。これにより、血中のコリンエステラーゼ活性が著しく低下します。特に血清コリンエステラーゼは有機リン中毒の診断マーカーとして用いられます。
- 5. 一酸化炭素中毒は、ヘモグロビンと強く結合し、酸素運搬能力を阻害することで低酸素状態を引き起こします。血清コリンエステラーゼ活性には直接的な影響を与えません。正しくは:一酸化炭素中毒では、血清コリンエステラーゼ活性は通常、低下しません。選びやすい理由:こちらも全身症状を呈する中毒であり、広範な影響があると考えやすいです。混同注意:呼吸機能や酸素運搬に関わる中毒と、酵素活性阻害を起こす中毒を混同しやすいです。
国試ポイント
中毒と関連する生体内の酵素活性の変化を理解しているか。特に、有機リン中毒におけるコリンエステラーゼ活性の低下という典型的な病態生理を問う問題です。
混同注意
様々な中毒症状とその原因となる物質、およびそれらが影響を与える生体分子や酵素について、正確な知識が求められます。特に、重金属中毒や青酸中毒のような他の重篤な中毒と、有機リン中毒の作用機序(コリンエステラーゼ阻害)を混同しないことが重要です。
次に同じ論点が出たら
有機リン中毒に関する問題が出た場合、診断マーカーとしての血清コリンエステラーゼ活性だけでなく、その症状(ムスカリン様症状、ニコチン様症状、中枢神経症状)や治療法(アトロピン、PAM)についても問われる可能性が高いです。
関連知識
アセチルコリンエステラーゼと血清コリンエステラーゼ(ブチリルコリンエステラーゼ)の機能と分布、アセチルコリンの神経伝達における役割、有機リン化合物の作用機序(神経毒性)、中毒診断における生化学検査マーカーの意義。