Addison病で高値を示すのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
Addison病は副腎皮質の機能が低下し、コルチゾールとアルドステロンの分泌が不足する疾患です。コルチゾールが不足すると、負のフィードバックにより下垂体からのACTH分泌が亢進するため、ACTHは高値を示します。また、アルドステロンの不足は腎臓におけるナトリウム再吸収とカリウム排泄の抑制につながるため、低ナトリウム血症と高カリウム血症をきたします。したがって、ACTHと血清カリウムが高値を示す項目となります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。Addison病は副腎皮質の機能低下によりコルチゾールやアルドステロンの分泌が低下する疾患です。血中のコルチゾール濃度が低下すると、負のフィードバック機構により、下垂体前葉からのACTH(副腎皮質刺激ホルモン)分泌が促進されるため、ACTH値は高値となります。
- 2. Addison病と血清リンの間に直接的な高値を示す関係は一般的に認められません。腎機能障害がある場合にリンは上昇することがありますが、Addison病の直接的な症状ではありません。正しくは:Addison病では血清リン値は通常、基準範囲内か、軽度低下することもあります。骨代謝や腎機能に関連する他の疾患で変動することが多いです。選びやすい理由:電解質の異常を伴う疾患のため、他の電解質(カリウム、ナトリウム)と同様にリンも変動すると誤解する可能性があります。混同注意:副甲状腺機能亢進症など、リン酸代謝に異常をきたす疾患と混同する可能性があります。
- 3. 正解。Addison病では副腎皮質からの鉱質コルチコイド(アルドステロン)の分泌が低下します。アルドステロンは腎臓でのカリウム排泄を促進するため、その作用が低下するとカリウムが体内に貯留し、血清カリウム値は高値となります(高カリウム血症)。
- 4. Addison病ではアルドステロン分泌低下により腎臓でのナトリウム再吸収が抑制され、ナトリウムが尿中に過剰に排泄されます。これにより血清ナトリウム値は低値となります(低ナトリウム血症)。正しくは:Addison病では血清ナトリウム値は低値(低ナトリウム血症)を示します。選びやすい理由:電解質異常が生じることは理解していても、具体的にどの方向(高値か低値か)に変動するかを混同しやすいです。混同注意:他の電解質異常を伴う疾患や、脱水などと混同する可能性があります。特に、カリウムが高値になるため、ナトリウムも高値になると誤解する可能性があります。
- 5. Addison病は副腎皮質の機能低下により、糖質コルチコイドであるコルチゾールの産生・分泌が低下する疾患です。そのため、血清コルチゾール値は低値を示します。正しくは:Addison病では血清コルチゾール値は低値を示します。選びやすい理由:疾患名から副腎皮質に関連することはわかるものの、コルチゾールが『不足する』ことが病態であり、その結果としてACTHが『高くなる』というフィードバック機構の理解が不十分だと、コルチゾールも高値になると誤解する可能性があります。混同注意:Cushing症候群のようにコルチゾールが過剰になる状態と混同する可能性があります。
国試ポイント
Addison病の病態生理と、それに伴う主要な検査値(特にホルモンと電解質)の変動方向を正確に理解しているかを問う問題です。負のフィードバック機構、鉱質コルチコイド(アルドステロン)と電解質の関係、および糖質コルチコイド(コルチゾール)の不足を明確に区別して理解することが重要です。
混同注意
Cushing症候群(コルチゾール過剰)の検査値と混同しやすい。また、SIADH(抗利尿ホルモン不適合分泌症候群)などの低ナトリウム血症を呈する他の病態と混同することもあります。電解質の変動方向(高値か低値か)を特に混同しやすいため、アルドステロンの生理作用をしっかりと理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まずAddison病が『副腎皮質機能低下症』であることを思い出し、コルチゾールとアルドステロンが『不足する』ことを確認します。次に、それぞれのホルモンの生理作用とフィードバック機構から、ACTHと電解質(Na, K)がそれぞれどのような変動を示すかを判断します。
関連知識
副腎皮質ホルモンの合成経路、視床下部-下垂体-副腎皮質系のフィードバック機構、アルドステロンの作用機序(Na再吸収、K排泄促進)、高カリウム血症および低ナトリウム血症の臨床症状と治療。