間質性肺炎のマーカーはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
間質性肺炎のマーカーとして、KL-6(Krebs von den Lungen-6)が広く知られています。KL-6は肺胞II型上皮細胞や気管支腺細胞から分泌される糖タンパク質で、間質性肺炎の活動性や病態把握に有用です。他の選択肢は、心筋障害(トロポニン、H-FABP)、腎機能(シスタチンC)、細菌感染症(プロカルシトニン)のマーカーであり、間質性肺炎の直接的なマーカーではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。KL-6(Krebs von den Lungen-6)は、肺胞II型上皮細胞や気管支腺細胞に多く発現する糖タンパク質で、間質性肺炎やその他の間質性肺疾患で血中濃度が上昇します。これは、肺の間質に炎症や線維化が生じると、これらの細胞が障害を受け、KL-6が血液中に漏出するためと考えられており、病態の活動性や予後の指標として用いられます。
- 2. トロポニン(T/I)は心筋細胞に特異的に存在するタンパク質で、心筋障害、特に急性冠症候群(心筋梗塞など)の診断マーカーとして広く用いられます。間質性肺炎とは直接的な関連はありません。正しくは:心筋障害のマーカーです。選びやすい理由:炎症反応が心臓に波及することがあるため、迷うかもしれませんが、トロポニンは肺疾患の特異的マーカーではありません。混同注意:CK-MBなど他の心筋逸脱酵素と混同しやすいですが、トロポニンはより心筋特異性が高いです。
- 3. シスタチンCは、血清クレアチニンよりも早期に腎機能低下を反映するマーカーとして知られています。全身の有核細胞で産生され、糸球体で自由にろ過され尿細管で再吸収・分解されるため、腎機能の指標となります。間質性肺炎の診断には用いられません。正しくは:腎機能のマーカーです。選びやすい理由:炎症性疾患で腎機能が影響を受ける可能性があるため、関連性を考えてしまうかもしれませんが、直接的な肺疾患マーカーではありません。混同注意:クレアチニンクリアランスなど、他の腎機能マーカーと混同しやすいです。
- 4. プロカルシトニンは、細菌感染症、特に敗血症などの重症細菌感染症の診断や病態把握、抗菌薬治療の効果判定に有用なマーカーです。ウイルス感染症や非感染性の炎症では通常上昇しません。間質性肺炎は基本的に非感染性(ウイルス性の場合もあるが、細菌性ではない)であり、主なマーカーとはなりません。正しくは:細菌感染症・敗血症のマーカーです。選びやすい理由:肺炎という言葉から感染症を連想し、プロカルシトニンを選ぶかもしれませんが、間質性肺炎は非感染性が多いこと、また細菌性肺炎とは区別が必要です。混同注意:CRP(C反応性蛋白)や白血球数など、他の炎症マーカーと混同しやすいです。プロカルシトニンは特に細菌感染症に特異性が高いとされます。
- 5. 心臓型脂肪酸結合蛋白(H-FABP)は、心筋細胞に多く存在するタンパク質で、心筋虚血により早期に血中に逸脱するため、急性心筋梗塞の超急性期診断マーカーとして用いられます。心筋障害の早期発見に有用ですが、間質性肺炎とは関連がありません。正しくは:心筋虚血の早期マーカーです。選びやすい理由:トロポニンと同様に、心臓関連のマーカーであるため、漠然と身体の炎症と結びつけるかもしれませんが、肺疾患の特異的マーカーではありません。混同注意:トロポニンやCK-MBなど、他の心筋逸脱酵素と混同しやすいです。H-FABPは特に発症早期に上昇しやすい特徴があります。
国試ポイント
本問は、間質性肺炎の主要な血中マーカーであるKL-6を知っているか、また他の一般的な臓器特異的マーカーとの区別ができるかを問う問題です。臨床検査技師として、各検査項目がどの疾患や病態と関連するかを正確に理解しておくことが求められます。
混同注意
各臓器特異的マーカー(心筋、腎、感染症など)が多数あるため、それぞれの特異性を混同しやすい。特に「肺炎」という言葉から、感染症マーカー(プロカルシトニンなど)と間違えやすいが、間質性肺炎の病態が異なることを理解しておく必要がある。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、主要な疾患ごとに代表的な診断マーカーを想起できるか、特に臓器特異性の高いマーカーを識別できるかがポイントとなります。さらに、疾患の病態生理とマーカーが上昇するメカニズムまで理解していると、応用問題にも対応できます。
関連知識
間質性肺炎の他の検査マーカーとして、SP-A(サーファクタントプロテインA)やSP-D(サーファクタントプロテインD)なども知られています。また、高分解能CT(HRCT)による画像診断も重要です。病理組織学的には、UIP(通常型間質性肺炎)パターンなどが診断の鍵となります。