ATP産生に関与しないのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
尿素回路は、アンモニアを解毒し尿素として排出する経路であり、この過程でATPを消費しますが、ATPを産生することはありません。他の選択肢の経路は、直接的または間接的にATPの産生に関与しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 解糖系では、グルコースがピルビン酸に分解される過程で、基質レベルリン酸化により少量のATPが生成されます。正しくは:解糖系はATPを産生する経路である。選びやすい理由:解糖系は細胞質で行われるため、ミトコンドリアで行われる経路と混同しがちだが、ATP産生能はある。混同注意:ミトコンドリア内の酸化的リン酸化と、細胞質での基質レベルリン酸化を混同しやすい。
- 2. β酸化自体は直接ATPを産生しませんが、その産物であるアセチルCoAはクエン酸回路へ、FADH2とNADHは電子伝達系へ送られ、結果として大量のATP産生に寄与します。正しくは:β酸化は間接的にATP産生に大きく寄与する。選びやすい理由:β酸化単体ではATPが産生されないため、直接ATP産生に関与しないと誤解しやすい。しかし、産物がその後のATP産生経路で利用されるため、全体としては非常に重要な役割を果たす。混同注意:直接的なATP産生と、間接的なATP産生への寄与を混同しやすい。
- 3. 正解。尿素回路は、アンモニアを毒性の低い尿素に変換して体外へ排出するための解毒経路であり、ATPを消費して進行しますが、ATPを産生することはありません。選びやすい理由:様々な代謝経路の中に紛れており、その機能がATP産生に直接関わらないことを認識しにくい。混同注意:他のエネルギー代謝経路と混同し、エネルギー産生に関わると思われがち。特に、ATPを消費する反応が多いことを逆手にとられやすい。
- 4. 電子伝達系は、NADHやFADH2から得られた電子のエネルギーを利用してプロトン勾配を形成し、その勾配を利用してATP合成酵素が大量のATPを合成する、主要なATP産生経路です。正しくは:電子伝達系はATPを大量に産生する経路である。選びやすい理由:複雑な経路であるため、全体像を把握しにくいと感じる学生がいるかもしれないが、ATP産生の主役である。混同注意:クエン酸回路や解糖系との連携を理解していないと、独立した経路として認識しにくい。
- 5. クエン酸回路では、直接的には基質レベルリン酸化により少量のGTP(ATPとほぼ同等)が生成されるほか、NADHとFADH2が大量に生成され、これらが電子伝達系で大量のATP産生に利用されます。正しくは:クエン酸回路はATP(GTP)を産生し、さらに間接的に大量のATP産生に寄与する。選びやすい理由:直接的なATP産生は少ないが、その後の電子伝達系への寄与が大きいことを忘れやすい。混同注意:基質レベルリン酸化によるGTP産生と、酸化的リン酸化(電子伝達系)によるATP産生への寄与を混同しやすい。
国試ポイント
生体内の主要な代謝経路(解糖系、クエン酸回路、電子伝達系、β酸化、尿素回路など)それぞれの主な機能と、ATP産生への関与の有無やその程度を理解しているかを問う問題です。特に、ATPを消費する経路と産生する経路を区別できるかが重要です。
混同注意
ATPを消費する経路と産生する経路の区別。特に、直接的なATP産生と、間接的にATP産生に寄与する(NADHやFADH2を生成する)経路との違い。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出た場合、各代謝経路の名称だけでなく、その経路の主要な生理的役割、主な場所、ATP収支(消費か産生か)を正確に把握しているかを確認する。
関連知識
各代謝経路の主な反応物と生成物、およびそれらが他の代謝経路とどのように連携しているか。特に、ミトコンドリア内で行われる経路と細胞質で行われる経路の区別。基質レベルリン酸化と酸化的リン酸化の違い。