悪性貧血の原因となるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
悪性貧血は、ビタミンB12の吸収障害によって引き起こされる巨赤芽球性貧血の一種です。この吸収障害の主な原因は、胃の壁細胞から分泌される糖タンパク質である「内因子」に対する自己抗体の存在です。自己抗体が内因子に結合したり、内因子-ビタミンB12複合体に結合したりすることで、ビタミンB12が小腸(特に回腸末端)で吸収されなくなり、ビタミンB12欠乏症に至ります。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃からの出血は鉄欠乏性貧血の原因となりますが、悪性貧血の原因ではありません。悪性貧血はビタミンB12の吸収障害によって起こります。正しくは:胃からの出血は鉄欠乏性貧血の原因となります。選びやすい理由:貧血の原因として胃の病変を連想させるため、選択肢として魅力的かもしれません。混同注意:鉄欠乏性貧血と悪性貧血(巨赤芽球性貧血の一種)の混同。
- 2. 胃の全摘出術自体は、内因子欠乏によるビタミンB12吸収障害を引き起こし、結果的に悪性貧血の原因となります。しかし、設問は「原因となるのはどれか」と尋ねており、選択肢5(内因子に対する自己抗体)が悪性貧血の『直接的な病態生理学的メカニズム』を示すため、より適切な選択肢です。胃全摘は『外的な要因』です。正しくは:胃の全摘出術は内因子の産生場所を失うため、悪性貧血の原因となりえます。選びやすい理由:胃の全摘が悪性貧血の原因となることは事実であり、学生はこれを正解と考えがちです。しかし、この問題では「病態生理学的メカニズム」を問うていると解釈できます。混同注意:悪性貧血の原因となる『外的要因』と『直接的な病態生理学的機序』の混同。
- 3. エリスロポエチンの生成量減少は腎性貧血の原因となりますが、悪性貧血の原因ではありません。悪性貧血はビタミンB12の吸収障害に起因します。正しくは:エリスロポエチンの生成量減少は腎性貧血の原因となります。選びやすい理由:貧血の原因の一つとして知られているため、一般的な知識から選びやすいかもしれません。混同注意:腎性貧血と悪性貧血の混同。
- 4. 鉄の利用障害は、鉄芽球性貧血などの原因となりますが、悪性貧血の原因ではありません。悪性貧血はビタミンB12の吸収障害が原因です。正しくは:鉄の利用障害は鉄芽球性貧血などの原因となります。選びやすい理由:鉄は貧血と密接に関連するため、鉄に関する選択肢は選びやすいです。混同注意:鉄欠乏性貧血や鉄芽球性貧血と悪性貧血の混同。
- 5. 正解。悪性貧血は、胃の壁細胞から分泌される内因子に対する自己抗体が存在することで、内因子とビタミンB12の結合が阻害され、結果として回腸からのビタミンB12吸収障害が起こり発症します。これが悪性貧血の主要な病態生理学的メカニズムです。
国試ポイント
悪性貧血の直接的な病態生理学的メカニズムを理解しているかを問う問題です。貧血の種類ごとの原因(特に巨赤芽球性貧血である悪性貧血の特異的な原因)を正確に把握している必要があります。似たような症状や関連する要因(胃全摘など)と、最も直接的な原因を区別する能力が求められます。
混同注意
胃の全摘手術(内因子欠乏の原因ではあるが、より直接的な原因ではない)、鉄欠乏性貧血、腎性貧血など、他の貧血の原因。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出た場合、悪性貧血の定義、症状、診断マーカー(血清ビタミンB12、メチルマロン酸、ホモシステインなど)、治療法についても知識が問われる可能性があります。
関連知識
ビタミンB12の吸収経路(内因子との結合、回腸末端での吸収)、葉酸欠乏性貧血との鑑別、自己免疫疾患との関連。