血液検体のフローサイトメトリで、ゲーティングした細胞集団の所見(別冊No. 8)を別に示す。この細胞集団はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
フローサイトメトリーの結果では、CD19、CD20、CD5、CD23が陽性であり、CD10、CD34、T細胞マーカー、NK細胞マーカーが陰性である。特にCD5とCD23の共発現は成熟Bリンパ球性腫瘍、特に慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫を示唆する特徴的な所見であるため、選択肢1が最も合致する。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。画像より、ゲーティングされた細胞集団はCD19陽性、CD20陽性、CD5陽性、CD23陽性、CD10陰性、CD34陰性、T細胞マーカー(CD3, CD4, CD7, CD8)陰性、NK細胞マーカー(CD16, CD56)陰性である。CD19とCD20の陽性からB細胞性細胞であることが示唆される。さらにCD5とCD23の共発現は成熟Bリンパ球性腫瘍、特に慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に特徴的な免疫表現型であるため、成熟Bリンパ球性腫瘍細胞と判断される。選びやすい理由:複数のB細胞マーカーとT細胞マーカー(CD5)が同時に陽性であるため、複合的な異常を疑う点で適切。混同注意:正常Bリンパ球や他のリンパ球性腫瘍。特にCD5陽性という点でT細胞性腫瘍と混同しやすいが、B細胞マーカーの強い陽性から鑑別できる。
- 2. Tリンパ球性腫瘍細胞であれば、CD3、CD7、CD4、CD8などのT細胞マーカーが陽性となるが、本結果ではこれらのマーカーは陰性である。また、CD19が陽性であることもT細胞性腫瘍と矛盾する。正しくは:T細胞性腫瘍であれば、CD3、CD7、CD4、CD8などのT細胞マーカーが陽性である。選びやすい理由:CD5が陽性であるため、T細胞性腫瘍を連想する可能性がある。混同注意:T細胞リンパ腫。CD5陽性という共通点があるため。
- 3. 急性リンパ性白血病(ALL)細胞は幼若なリンパ芽球であり、CD34やCD10などの幼若マーカーが陽性となることが多いが、本結果ではCD10、CD34は陰性である。また、成熟B細胞マーカーであるCD20やCD23が陽性であることもALLと矛盾する。正しくは:急性リンパ性白血病細胞であれば、CD34やCD10などの幼若マーカーが陽性である。選びやすい理由:「腫瘍細胞」という言葉から、急性白血病を疑う可能性がある。混同注意:急性骨髄性白血病(AML)やB細胞性急性リンパ性白血病(B-ALL)。しかし幼若マーカーの有無で鑑別できる。
- 4. 正常Bリンパ球はCD19、CD20が陽性であり、CD5陽性の場合もあるが、CD5とCD23の共発現は一部の正常B細胞(マントル細胞リンパ腫や慢性リンパ性白血病様の異常クローンなど)でみられることもあるが、この結果全体は腫瘍性の特徴を示している。特にCD5とCD23の共発現パターンは慢性リンパ性白血病に特徴的であり、正常B細胞のパターンとは異なる。正しくは:正常Bリンパ球であれば、CD5とCD23の共発現は限定的であり、多クローン性の特徴を示す。選びやすい理由:CD19とCD20が陽性であるため、正常Bリンパ球を連想しやすい。また、CD5陽性のB細胞も存在する。混同注意:正常Bリンパ球。しかし、腫瘍細胞では単クローン性の増殖が見られるのに対し、正常Bリンパ球は多クローン性である。
- 5. 正常Tリンパ球であれば、CD3、CD4、CD8などのT細胞マーカーが陽性となるが、本結果ではこれらのマーカーは陰性である。CD19が陽性であることもT細胞性細胞と矛盾する。正しくは:正常Tリンパ球であれば、CD3、CD4、CD8などのT細胞マーカーが陽性である。選びやすい理由:CD5が陽性であるため、Tリンパ球を連想する可能性がある。混同注意:正常Tリンパ球。CD5陽性という共通点があるため。
国試ポイント
リンパ球の成熟段階に応じた表面抗原の発現パターンと、主要なリンパ増殖性疾患における異常な免疫表現型を正確に理解する。
混同注意
正常Bリンパ球と成熟Bリンパ球性腫瘍細胞は、B細胞マーカーの発現で共通する部分があるが、CD5やCD23などの特定の共発現パターン、あるいは軽鎖制限性や表面免疫グロブリン発現異常の有無で鑑別する。
次に同じ論点が出たら
フローサイトメトリーの結果でB細胞マーカー(CD19、CD20)と同時に、T細胞マーカー(CD5)や特定の成熟B細胞マーカー(CD23)の共発現、あるいは幼若マーカー(CD10、CD34)の陰性を確認する。
関連知識
慢性リンパ性白血病(CLL)は、成熟Bリンパ球性腫瘍の代表疾患であり、CD5、CD19、CD20(弱陽性)、CD23陽性が特徴である。CD10陰性、CD34陰性も特徴的である。