術中迅速組織標本(別冊No. 5)を別に示す。矢印で示す現象が生じた工程はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
術中迅速診断における凍結標本では、組織内の水分が凍結する際に氷晶を形成し、それが原因で細胞や組織が浮き上がったように見える「凍結アーチファクト」が生じることがよくあります。この現象は、迅速診断のために凍結過程を省略できないため避けられないものであり、病理医はこのアーチファクトを考慮して診断を行います。矢印で示されているのは、この凍結による組織の構造的な変化です。
選択肢ごとの解説
- 1. 組織採取は生体から検体を採取する工程であり、矢印で示されている凍結による組織のアーチファクトとは直接関係ありません。正しくは:組織採取は、病理診断のために検体を得る最初のステップです。選びやすい理由:最初の工程であるため、単純な誤解で選ばれる可能性があります。混同注意:組織採取時の不適切な操作によるアーチファクト(圧挫など)と混同する可能性がありますが、本問の画像は凍結によるものです。
- 2. 正解。術中迅速診断では、組織を迅速に凍結し、凍結ミクロトームで薄切します。この凍結過程で細胞内の水分が氷晶となり、組織が浮き上がったような「凍結アーチファクト」と呼ばれる現象(画像で矢印が示すもの)が生じることがあります。これは迅速診断特有のアーチファクトです。選びやすい理由:術中迅速診断のプロセスにおける重要なステップであり、特有のアーチファクトの原因となることがよく知られているため、正答として選びやすいです。
- 3. 薄切は凍結した組織を切片にする工程ですが、画像で示されているような組織の浮き上がりや細胞間の隙間は、凍結過程での氷晶形成が主な原因です。薄切不良によるアーチファクトは、厚みの不均一や切れ目の発生など、異なる形態を示します。正しくは:薄切で生じるアーチファクトには、刃の切れ味不良による引っかき傷やしわ、切片の断裂などがあります。選びやすい理由:迅速診断の重要なステップであり、薄切技術が不十分だとアーチファクトが生じるため、関連性があるように感じられます。混同注意:凍結アーチファクトと、薄切時に生じるしわや割れなどのアーチファクトを混同する可能性があります。
- 4. 固定は組織の自己融解や腐敗を防ぎ、形態を保つための工程で、一般的にホルマリンなどを用いて行われます。迅速診断では通常行われないか、ごく短時間で行われます。画像で示されるアーチファクトは固定によって生じるものではありません。正しくは:固定不良によるアーチファクトは、細胞の腫脹や収縮、核の凝集などとして現れることがあります。選びやすい理由:一般的な病理組織検査において固定が非常に重要な工程であるため、選んでしまいやすいかもしれません。混同注意:通常の病理組織診断の固定と、術中迅速診断の特殊な手順を混同する可能性があります。
- 5. 染色は組織の特定成分を可視化する工程です。画像で示されているような組織構造の浮き上がりは染色によって生じるものではなく、染色の不具合は色のムラや沈殿として現れます。正しくは:染色不良によるアーチファクトは、色素沈着、過染色、脱色不足などとして現れます。選びやすい理由:染色も重要な工程であり、その不具合が診断に影響するため、選んでしまいやすいかもしれません。混同注意:組織自体の物理的な変化を示すアーチファクトと、染色液の不具合によるアーチファクトを混同する可能性があります。
国試ポイント
この問題は、術中迅速組織診断のプロセスと、それに伴って生じる特有のアーチファクトについて理解しているかを問うものです。特に、凍結が原因で生じるアーチファクトの形態とその名称を知っていることが重要です。
混同注意
凍結アーチファクトは、薄切時のしわや圧挫、固定不良による変化など、他の工程で生じるアーチファクトと混同しやすいですが、その形態的特徴(組織の浮き上がり、細胞間の隙間)から鑑別する必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の論点が出題された場合、他の工程(固定、薄切、染色など)で生じる代表的なアーチファクトの画像や説明が提示され、それらの原因となる工程を特定できるかが問われる可能性が高いです。
関連知識
術中迅速診断の目的、凍結ミクロトームの原理、各工程(採取、凍結、薄切、染色)で起こりうるアーチファクトの種類と特徴、通常の病理組織診断とのプロセスの違い。