骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色標本(別冊No. 10)を別に示す。診断にあたり、ペルオキシダーゼ染色と合わせて必要となるのはどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
骨髄穿刺液のMay-Giemsa染色では、骨髄芽球と単球系細胞の形態学的鑑別が困難な場合がある。このような時に急性骨髄性白血病(AML)のFAB分類(現在はWHO分類が主流だが、国家試験ではFAB分類の知識も問われる)に基づいて細胞系統を同定するため、特殊染色が用いられる。ペルオキシダーゼ染色(MPO)は骨髄芽球と一部の単球系細胞で陽性となるが、リンパ系細胞では陰性である。エステラーゼ染色(特に非特異的エステラーゼ:NSE)は単球系細胞で強く陽性を示すため、ペルオキシダーゼ染色と組み合わせることで、骨髄芽球(MPO陽性/NSE陰性または弱陽性)と単球系細胞(MPO陽性/NSE陽性)を明確に鑑別することが可能となる。
選択肢ごとの解説
- 1. 鉄染色は赤芽球の鉄利用異常(例: 鉄芽球性貧血)や、ヘモジデリン顆粒の検出に用いられますが、骨髄性白血病の分類においてペルオキシダーゼ染色と組み合わせて鑑別に必須となる主要な染色ではありません。正しくは:急性白血病のM0~M7の分類において、特に骨髄芽球と単球系の鑑別には、エステラーゼ染色が重要となります。選びやすい理由:鉄は造血機能評価の重要な指標であるため、鑑別診断の一環として頭に浮かびやすいかもしれません。混同注意:PAS染色、アルカリホスファターゼ染色など、他の特殊染色との役割が混同されやすいです。
- 2. PAS(過ヨウ素酸シッフ)染色は、リンパ芽球性白血病(ALL)や赤白血病(M6)の赤芽球において顆粒状またはブロック状の陽性像を示すことで知られていますが、骨髄性白血病のM0~M7の分類、特に骨髄芽球と単球系の鑑別においてペルオキシダーゼ染色と組み合わせて必須となるのはエステラーゼ染色です。正しくは:急性白血病のM0~M7の分類において、特に骨髄芽球と単球系の鑑別には、エステラーゼ染色が重要となります。選びやすい理由:リンパ性白血病の診断で重要なので、急性白血病の鑑別診断全体で必要と誤解されやすいです。混同注意:急性骨髄性白血病の分類におけるエステラーゼ染色との役割が混同されやすいです。
- 3. 正解。May-Giemsa染色で骨髄芽球と単球の鑑別が困難な場合、骨髄性白血病(AML)の分類において、ペルオキシダーゼ染色とエステラーゼ染色を組み合わせることが非常に重要です。特にエステラーゼ染色は、非特異的エステラーゼ(NSE)が単球系細胞で陽性となるため、骨髄芽球(ペルオキシダーゼ陽性)と単球系細胞(ペルオキシダーゼ陽性かつNSE陽性)の鑑別に必須です。正しくは:この選択肢は正しい記述です。
- 4. 酸ホスファターゼ染色は、主に有毛細胞白血病の診断(TRAP染色)やT細胞性急性リンパ性白血病で陽性を示すことがありますが、骨髄性白血病のM0~M7分類において、ペルオキシダーゼ染色と組み合わせて骨髄芽球と単球系の鑑別に必須となる主要な染色ではありません。正しくは:急性白血病のM0~M7の分類において、特に骨髄芽球と単球系の鑑別には、エステラーゼ染色が重要となります。選びやすい理由:特殊な白血病の鑑別に用いられるため、選択肢として考慮されやすいかもしれません。混同注意:有毛細胞白血病のTRAP(酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ)染色と混同されやすいです。
- 5. アルカリホスファターゼ染色は、好中球アルカリホスファターゼ(NAP)スコアとして慢性骨髄性白血病(CML)と類白血病反応の鑑別などに用いられます。急性白血病の細胞形態学的分類、特に骨髄芽球と単球系の鑑別においてペルオキシダーゼ染色と組み合わせて必須となる染色ではありません。正しくは:急性白血病のM0~M7の分類において、特に骨髄芽球と単球系の鑑別には、エステラーゼ染色が重要となります。選びやすい理由:慢性骨髄性白血病の診断で重要なため、白血病全般の鑑別に必要と誤解されやすいです。混同注意:急性白血病の鑑別における他の特殊染色(PAS染色、エステラーゼ染色など)の役割と混同されやすいです。
国試ポイント
急性白血病の形態学的分類における特殊染色の役割と組み合わせを理解しているか。特に、May-Giemsa染色、ペルオキシダーゼ染色、エステラーゼ染色のそれぞれの意義と、骨髄芽球と単球系の鑑別における組み合わせの重要性が問われている。
混同注意
各特殊染色の陽性細胞と、どの白血病の診断に有用かという点が混同されやすい(例: PAS染色=ALL、酸ホスファターゼ染色=有毛細胞白血病、アルカリホスファターゼ染色=CML)。骨髄性白血病のM0-M7分類における各染色の役割を正確に覚える必要がある。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず問題が急性白血病(特にAML)の診断を意図しているかを確認し、次に与えられている情報(May-Giemsa染色、ペルオキシダーゼ染色など)から、鑑別が必要な細胞系列(骨髄芽球、単球系、リンパ芽球など)を特定する。その上で、各特殊染色の陽性細胞と診断上の意義を想起し、最も適切な組み合わせを選択する。
関連知識
FAB分類とWHO分類の概要、急性骨髄性白血病(AML)の各病型(M0~M7)の主な特徴と関連する特殊染色、急性リンパ性白血病(ALL)の形態学的特徴と特殊染色(PAS染色)。