病院内において不適切な行為はどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
選択肢5は、電子カルテにおける情報セキュリティと医療従事者の責任原則に反する行為です。医療情報システムでは、誰がいつどのような操作を行ったか、その全ての履歴が個人に紐付けられて記録される必要があります。他人のIDとパスワードを使用することは、このトレーサビリティを損ない、医療安全や法的責任の所在を曖昧にするため、たとえ指示があったとしても許されません。他の選択肢は、現代の医療現場において一般的に適切とされる行為、あるいは医療安全や倫理的配慮に基づいた標準的な手順を表しています。
選択肢ごとの解説
- 1. 診療放射線技師は、医師の指示に基づき、画像診断の一環として超音波検査を行うことが可能です。これは適切な業務行為とされています。正しくは:適切。選びやすい理由:かつては医師や臨床検査技師が主に行う検査であったため、放射線技師が行うことに違和感を覚える可能性があります。混同注意:各医療職種の業務範囲に関する古い知識や、超音波検査が臨床検査技師の主要業務であるという認識と混同しやすいです。
- 2. 医療機関倫理委員会の承認が得られていれば、残余検体を医学研究に利用することは、研究の推進において適切な行為です。ただし、患者への十分な説明と同意(インフォームドコンセント)が原則です。正しくは:適切。選びやすい理由:検体利用に対する漠然とした倫理的な懸念から、不適切だと誤解する可能性があります。混同注意:患者の同意がない検体利用全般と混同しやすいですが、倫理委員会の承認という重要な条件が付いています。
- 3. 患者の安全を確保するため、氏名に加えて生年月日など複数の情報で本人確認を行うことは、医療現場における標準的な手順であり、非常に重要です。正しくは:適切。選びやすい理由:氏名だけで十分だと考える人もいるかもしれませんが、安全管理上は複数の情報での確認が推奨されます。混同注意:患者情報の過剰な確認やプライバシー侵害と誤解する可能性がありますが、これは医療安全の基本です。
- 4. ベッドサイドでの患者確認は医療安全の基本であり、そのための情報(プリントアウトを含む)の持参は適切な行為です。情報管理を徹底していれば問題ありません。正しくは:適切。選びやすい理由:個人情報漏洩のリスクを過度に意識し、不適切だと感じる可能性があります。混同注意:個人情報の不適切な取り扱い(放置、紛失など)と、確認のために携帯すること自体を混同しやすいです。
- 5. 正解。他の医療従事者のIDとパスワードを使用して電子カルテにログインし、操作することは、医療情報システムのセキュリティ、医療安全、および個人の責任範囲を逸脱する非常に不適切な行為です。全ての操作は、行った本人のIDで行われるべきであり、責任の所在を不明確にするため厳しく禁じられています。正しくは:医師は自身のIDでログインしてオーダーを入力するか、正規の代理入力システムを用いるべきであり、検査技師は自身のIDでログインし、自身の業務範囲内の操作を行うべきです。選びやすい理由:緊急時や業務効率を優先する状況で、「やむを得ない」と判断してしまう可能性があるほか、医師の指示を受けているため問題ないと誤解しやすいです。混同注意:医師の指示のもとで業務を行うこと自体は適切ですが、「医師のIDで」操作するという点が大きな問題であり、この点を看過しやすいです。
国試ポイント
医療安全と情報セキュリティ、特に電子カルテにおけるログイン管理と操作の責任原則、そして各医療職種の職務範囲に関する基本的な知識が問われています。
混同注意
各職種の業務範囲の曖昧な知識、緊急時の対応と正規手順の区別、個人情報保護と医療安全対策の混同などが、誤答につながる可能性があります。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出た場合、特に電子カルテや情報システムにおける「誰が」「どのような権限で」操作を行ったかのトレーサビリティと、それによる責任の所在に注目して判断する。また、各医療職種の業務範囲の最新の解釈も確認する必要がある。
関連知識
医療情報システムのセキュリティポリシーと個人認証の原則、医療安全管理における本人確認の重要性(二重確認など)、各医療職種の業務範囲と関連法規(医師法、臨床検査技師等に関する法律、診療放射線技師法など)、臨床研究における倫理指針と倫理委員会の役割。