尿試験紙による尿蛋白検査で正しいのはどれか。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
尿試験紙法は、タンパク質が特定のpH指示薬(ブロムフェノールブルーなど)の色調を変化させる「タンパク誤差」を利用しています。この指示薬は通常、pHが低いほど黄色く、pHが高いほど青くなります。尿中のタンパク質が存在すると、指示薬はあたかもpHが高いかのように反応し、青色に変化します。しかし、尿自体が強アルカリ性である場合、タンパク質が少量であっても指示薬がアルカリ側の色調を呈しやすくなるため、タンパク質が存在しない、あるいは少量であるにもかかわらず、陽性と判定されてしまう『偽陽性』を示すことがあります。
選択肢ごとの解説
- 1. 尿試験紙法(定性)の検出感度は通常10~30 mg/dL程度です。50~100 mg/dLでは感度が低すぎ、微量アルブミン尿などの早期発見には不向きです。正しくは:検出感度は10~30 mg/dL程度です。選びやすい理由:尿蛋白検査は基準範囲外の検出を目的としているため、ある程度の閾値が必要という感覚から、この範囲が妥当に思えるかもしれません。混同注意:試験紙法は定量検査ではなく定性検査であるため、詳細な数値は参考値に過ぎませんが、おおよその感度を覚えておく必要があります。
- 2. 尿試験紙を用いた尿蛋白検査は、原則としてアスコルビン酸の影響を受けません。アスコルビン酸は、試験紙法における潜血反応やブドウ糖反応では還元作用により偽陰性化させることが知られています。正しくは:アスコルビン酸の影響は受けません。選びやすい理由:他の尿試験紙項目(特に潜血やブドウ糖)ではアスコルビン酸の影響があるため、全般的に影響があると考えてしまいがちです。混同注意:アスコルビン酸の還元作用が関与する他の試験項目(ブドウ糖、潜血、亜硝酸塩など)への影響と混同しやすいです。
- 3. 正解。尿試験紙法は、pH指示薬(ブロムフェノールブルーなど)のタンパク誤差を利用しており、アルカリ側で青色に変化しやすくなります。そのため、pHが高い(強アルカリ性)尿では、たとえタンパク質が少量であっても指示薬がアルカリ側に傾き、偽陽性となることがあります。正しくは:正解のため修正不要です。選びやすい理由:尿pHは日常的に変動するため、pHと尿蛋白検査結果の関係性を見過ごしやすいかもしれません。混同注意:アルカリ性尿による偽陽性と、真のアルカリ性尿による蛋白尿(例: 腎尿細管性アシドーシスなど)との区別。
- 4. 尿試験紙法は主にアルブミンに高感度であり、グロブリンやムコタンパク質、ベンズ・ジョーンズ蛋白などへの反応性は低い(あるいはほとんど反応しない)という特徴があります。正しくは:タンパク質の種類によって反応性に差異があります。選びやすい理由:『尿蛋白』という一つの項目として認識しているため、その組成によって反応性が異なるという点を見落としがちです。混同注意:総蛋白量を検出するスルホサリチル酸法など他の検査法との混同。試験紙法は、すべてのタンパク質を均一に検出するわけではありません。
- 5. スルホサリチル酸法は、尿試験紙法よりも感度が高く、より広範囲のタンパク質(アルブミン、グロブリンなど)を検出できます。試験紙法が10~30mg/dL程度の感度であるのに対し、スルホサリチル酸法は5~10mg/dL程度の微量なタンパク質も検出可能です。正しくは:検出感度はスルホサリチル酸法よりも低いです。選びやすい理由:簡便な試験紙法はスクリーニングに適しているため、感度も高いと誤解しがちです。混同注意:定性検査としての簡便さと、検出感度の高さが必ずしも比例しない点を混同しやすいです。
国試ポイント
尿試験紙を用いた検査の原理、各項目への干渉物質、および偽陽性・偽陰性の原因について知識が問われます。特に、アスコルビン酸やpHの影響、検出感度、反応するタンパク質の種類については頻出です。
混同注意
尿試験紙法の検出感度と、検出できるタンパク質の種類(特にアルブミンへの特異性)、およびアスコルビン酸が影響を与える他の項目(潜血、ブドウ糖)との混同が多いです。また、スルホサリチル酸法との感度の比較もポイントとなります。
次に同じ論点が出たら
今後、同様の論点が出題された場合、尿試験紙の各項目の検出原理と、それに伴う特異的な干渉物質(偽陽性・偽陰性の原因)に注目してください。特に、pH、アスコルビン酸、比重、特定薬剤の影響は重要なポイントです。
関連知識
尿試験紙法は、主にアルブミンに高感度で反応します。このため、多発性骨髄腫などで増加するベンズ・ジョーンズ蛋白(免疫グロブリン軽鎖)は試験紙法では検出されにくく、スルホサリチル酸法などの別の検査法が必要です。また、生理的蛋白尿(運動後、起立性蛋白尿など)の鑑別や、尿路感染症に伴うアルカリ性尿の有無も偽陽性の原因として考慮されます。