尿路系の出血部位を推定できる尿検査はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
尿沈渣検査において、赤血球の形態を観察することは、尿路系出血の部位を推定する上で非常に重要です。糸球体からの出血では、赤血球が糸球体の狭い間隙を通過する際に機械的ストレスを受け、細胞膜が損傷し、形態が不均一で大小不同な「変形赤血球(異形赤血球)」として観察されます。これに対し、尿路下部(腎盂・尿管・膀胱・尿道など)からの出血では、赤血球は糸球体のような物理的ストレスを受けないため、比較的に均一で正常に近い形態の「正形赤血球(非変形赤血球)」として観察されることが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 潜血反応は尿中にヘモグロビンやミオグロビンなどの血液成分が存在するかを検出しますが、出血が尿路系のどこから来ているかを特定する情報を提供しません。正しくは:潜血反応は尿中の血液成分の有無を確認するが、出血部位の特定には不十分。選びやすい理由:尿中の出血を検出するという点では関連があるため、選択肢として魅力的。混同注意:尿中に出血があることと、その出血がどの部位から生じているかを区別できていない場合に選択しやすい。
- 2. ジアゾ反応は尿中のビリルビンを検出する検査であり、肝疾患や溶血性疾患の診断に用いられます。出血部位の推定には直接関係ありません。正しくは:ジアゾ反応はビリルビンの検出に用いられる。選びやすい理由:様々な尿検査の知識が混同されている場合に誤って選択される可能性がある。混同注意:ビリルビンなど他の尿中成分の検出反応と混同。
- 3. 塩化第二鉄反応は主に尿中のフェニルケトン酸などの異常代謝産物を検出する検査で、出血部位の推定とは無関係です。正しくは:塩化第二鉄反応はフェニルケトン酸などの代謝異常産物の検出に用いられる。選びやすい理由:珍しい検査反応として、知識があやふやな場合に選ばれる可能性。混同注意:特定の代謝異常を検出する反応と混同。
- 4. ミオグロビン測定は筋肉損傷の指標となり、血尿とは区別されるべきですが、尿路系の出血部位を特定する情報にはなりません。正しくは:ミオグロビン測定は筋肉損傷の指標であり、出血部位の特定には直接関係ない。選びやすい理由:血尿の原因の一つとして考えるかもしれないが、出血部位特定には使えない。混同注意:ヘモグロビン尿や血尿と原因や意義を混同。
- 5. 正解。尿沈渣で変形した赤血球(異形赤血球)が観察される場合、それは赤血球が糸球体を通過する際に物理的なストレスを受けて変形したことを示唆しており、腎臓(特に糸球体)からの出血である可能性が高いと推定できます。非変形赤血球が多い場合は、尿路下部からの出血が示唆されます。
国試ポイント
尿沈渣検査における赤血球の形態観察が、尿路系出血の部位診断にどのように役立つかという知識が問われています。特に、変形赤血球が糸球体出血を示唆するという核心的な理解が求められます。他の一般的な尿検査との鑑別も重要です。
混同注意
潜血反応が陽性であれば出血を疑いますが、その原因部位までは特定できません。変形赤血球の観察は、潜血陽性時のさらに詳細な鑑別診断に用いられるという点で区別が必要です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が出題された場合、変形赤血球の検出が「糸球体性血尿」を示唆するという点に加え、正形赤血球が「非糸球体性血尿(尿路下部出血)」を示唆する点も問われる可能性があります。また、赤血球以外の尿沈渣成分(円柱、上皮細胞など)と病態との関連も注意が必要です。
関連知識
・正形赤血球と変形赤血球の形態学的特徴とその臨床的意義。・尿路系の解剖と、各部位からの出血の特徴。・尿沈渣のその他の構成要素(白血球、上皮細胞、円柱など)とその臨床的意義。