動脈血液ガス分析で、pH 7.48、PaO2 98 Torr、PaCO2 30 Torr、HCO3-22 mmol/Lであった。考えられるのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第66回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は4番
解説
提示された血液ガス分析の結果は、pHが基準範囲上限を超えており(アルカローシス)、PaCO₂が基準範囲下限を下回っていることから、呼吸性アルカローシスを示しています。HCO₃⁻は基準範囲内であり、急性期の呼吸性アルカローシスと考えられます。過換気症候群は、精神的ストレスなどにより過呼吸となり、CO₂が過剰に排出されることで呼吸性アルカローシスを引き起こす代表的な病態です。
選択肢ごとの解説
- 1. 胃液吸引は、胃酸の喪失により代謝性アルカローシスを引き起こす可能性があります。本症例のpH高値とPaCO₂低値は呼吸性アルカローシスを示唆しており、代謝性アルカローシスとは異なります。正しくは:胃液吸引では、代謝性アルカローシスとしてpH高値、PaCO₂正常~高値、HCO₃⁻高値となります。選びやすい理由:pHが高値である点は共通しますが、原因と他の血液ガスデータが異なります。混同注意:呼吸性アルカローシスと代謝性アルカローシスの鑑別。
- 2. 急性膵炎では、病態によってはアシドーシス(代謝性アシドーシスが多い)や、呼吸不全による呼吸性アシドーシスが見られることがありますが、アルカローシスは一般的ではありません。正しくは:急性膵炎の重症例では、乳酸アシドーシスや腎不全による代謝性アシドーシス、またはARDSを合併した場合は呼吸性アシドーシスを呈することがあります。選びやすい理由:重篤な病態であるため、血液ガス異常を伴う可能性が高いとは考えられますが、本症例のデータとは一致しません。混同注意:重症病態と血液ガス異常の関連性。
- 3. 慢性肺気腫は、COPDの一種であり、慢性的な肺機能障害によりPaCO₂の上昇(高炭酸ガス血症)と、それに伴うpHの低下(呼吸性アシドーシス)を特徴とします。本症例のPaCO₂低値とpH高値とは逆のデータを示しています。正しくは:慢性肺気腫では、呼吸性アシドーシスとしてpH低値、PaCO₂高値となります。慢性代償があればHCO₃⁻も高値を示します。選びやすい理由:肺に関連する疾患であるため、血液ガス異常と関連づけやすいですが、その内容が逆です。混同注意:呼吸性アルカローシスと呼吸性アシドーシスの鑑別。
- 4. 正解。過換気症候群は、精神的ストレスなどにより呼吸が速く深くなることで、体内の二酸化炭素が過度に排出され、PaCO₂が低下(低炭酸ガス血症)し、その結果pHが上昇する(呼吸性アルカローシス)病態です。本症例のpH高値(7.48)、PaCO₂低値(30 Torr)、PaO₂正常(98 Torr)、HCO₃⁻正常(22 mmol/L)というデータは、呼吸性アルカローシス、特に急性期の過換気症候群と合致します。正しくは:過換気症候群では、呼吸性アルカローシスとしてpH高値、PaCO₂低値、HCO₃⁻は代償が起こる前であれば正常範囲内(またはわずかに低下)です。選びやすい理由:血液ガスデータと症状が直接的に結びつくため、正しい選択肢として選びやすいです。混同注意:様々なアシドーシス/アルカローシスの原因と血液ガス所見。
- 5. 原発性アルドステロン症は、アルドステロンの過剰分泌により、高血圧、低カリウム血症、および代謝性アルカローシスを引き起こします。本症例のpH高値はアルカローシスを示唆しますが、PaCO₂の低下ではなく、HCO₃⁻の上昇が主な要因となる代謝性アルカローシスが典型的です。正しくは:原発性アルドステロン症では、代謝性アルカローシスとしてpH高値、HCO₃⁻高値、PaCO₂は代償性に上昇するか正常範囲内です。選びやすい理由:アルカローシスという点で共通しますが、それが呼吸性か代謝性かを見極める必要があります。混同注意:呼吸性アルカローシスと代謝性アルカローシスの鑑別。
国試ポイント
動脈血液ガス分析の基礎的な解釈能力(pH、PaCO₂、HCO₃⁻の関係からアシドーシス/アルカローシス、呼吸性/代謝性を判別する能力)と、それらの異常をきたす代表的な疾患との関連性を問う問題です。特に、pHとPaCO₂の変動方向から呼吸性アルカローシスを識別できるかがポイントとなります。
混同注意
アシドーシスとアルカローシス、呼吸性と代謝性の鑑別が最も混同しやすい点です。特に、pH、PaCO₂、HCO₃⁻それぞれの基準値と、その変動がアシドーシス/アルカローシス、呼吸性/代謝性のどちらを示すのかを正確に理解しておく必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、まずpHからアシドーシスかアルカローシスかを判断し、次にPaCO₂とHCO₃⁻のどちらがprimaryな変動であるかを確認することで、呼吸性か代謝性か、急性か慢性かを判断します。そして、そのパターンに合致する疾患を選択します。
関連知識
血液ガス分析の基準値(pH 7.35-7.45, PaCO₂ 35-45 Torr, PaO₂ 80-100 Torr, HCO₃⁻ 22-26 mmol/L)。呼吸性アシドーシス/アルカローシスと代謝性アシドーシス/アルカローシスの定義、原因、そしてそれぞれに対する代償反応。過換気症候群の病態生理と症状(テタニー、しびれなど)。