子宮頸部擦過細胞診のPapanicolaou染色標本(別冊No. 6)を別に示す。細胞はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
提示された画像の子宮頸部擦過細胞診標本では、扁平で多角形、豊かな細胞質と小さな円形核を持つ細胞が多数観察されます。これらの特徴は、子宮頸部表層を構成する成熟した平上皮細胞に典型的です。悪性所見やウイルス感染に特有な細胞変性像は認められません。
選択肢ごとの解説
- 1. 頸管腺細胞は円柱状の形態を呈し、核は基底側に寄っています。画像に見られる細胞の形態とは異なります。正しくは:頸管腺細胞は通常、規則的な円柱状で、核は基底側に偏在し、細胞質には粘液空胞が見られることがあります。選びやすい理由:子宮頸部の細胞診であるため、腺細胞も検出される可能性がありますが、画像の特徴とは一致しません。混同注意:平上皮細胞と頸管腺細胞の形態的特徴の区別。
- 2. 正解。画像に示されている細胞は、扁平で多角形の形態をしており、比較的小さな核を持つ成熟した細胞質が豊富に見られます。これらは子宮頸部の表層を構成する平上皮細胞の一般的な特徴です。正しくは:正答のため修正不要。
- 3. 腺癌細胞は、核の大型化、核小体の明瞭化、核の不整形、クロマチンの増量・粗大化などの悪性所見を呈しますが、画像に見られる細胞はこれらの特徴を持っていません。正しくは:腺癌細胞では、核の多形性や重積、細胞質の分泌顆粒、核小体の顕著な突出など、癌細胞に特有の異型性が観察されます。選びやすい理由:子宮頸部癌の鑑別は重要ですが、画像は良性の平上皮細胞を示しています。混同注意:良性腺細胞と腺癌細胞、または正常平上皮細胞と腺癌細胞の形態学的違い。
- 4. 平上皮癌細胞は、核の拡大、核縁の不整、クロマチンの増量と凝集、核小体の突出、細胞質の角化(オレンジG陽性など)といった異型性を示しますが、画像はこれら悪性細胞の特徴を有していません。正しくは:平上皮癌細胞は、核/細胞質比の増大、核の多形性、クロマチンの不均一な分布、異常な有糸分裂像など、明らかな悪性所見を示します。選びやすい理由:子宮頸部の細胞診で最も頻繁に検出される癌が平上皮癌であるため、選択肢として考慮されやすいですが、画像は悪性所見を示していません。混同注意:正常平上皮細胞と平上皮癌細胞の形態学的違い。
- 5. ヘルペスウイルス感染細胞では、多核巨細胞、核のクロマチン辺縁化(マージネーション)、ground-glass appearance(磨りガラス状核)、核内封入体などの特徴的な細胞変性が観察されますが、画像にはこれらの所見はありません。正しくは:ヘルペス感染細胞では、特徴的な多核化、核のクロマチン辺縁化、磨りガラス状核が認められます。選びやすい理由:感染性病変も細胞診の対象ですが、画像の特徴とは一致しません。混同注意:正常細胞とウイルス感染による細胞変性(特にヘルペスやHPV感染細胞)の形態的違い。
国試ポイント
子宮頸部細胞診における正常細胞(特に平上皮細胞、頸管腺細胞)の形態的特徴を正確に識別できるか、および一般的な病変(癌、ウイルス感染)細胞との鑑別ができるかが問われています。
混同注意
正常の平上皮細胞と、異常な平上皮細胞(異型細胞、癌細胞)や他の種類の細胞(頸管腺細胞、炎症細胞、ウイルス感染細胞)との鑑別。特に、表層細胞と中層細胞、基底細胞の成熟度による形態の違いも重要。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、まず細胞全体の形状とサイズ、核の形状、サイズ、クロマチンパターン、核小体の有無、細胞質の量と染色性を確認し、それが正常な子宮頸部細胞のいずれに合致するかを判断します。特に、悪性所見(核の不整、N/C比の増大、クロマチンの異常など)や特異的な感染性変化(ウイルス封入体、多核化など)がないか注意深く観察することが重要です。
関連知識
子宮頸部の組織構造(扁平上皮と円柱上皮の境界である移行帯の重要性)、パパニコロウ染色の基本原理(核と細胞質の染色性)、各細胞種の形態学的特徴(核の大小、形状、クロマチンパターン、細胞質の量、形状、染色性)。また、代表的な悪性所見やウイルス性細胞変性(例:HPV感染によるコイロサイト、HSV感染による多核巨細胞と核内封入体)についても理解が必要です。