38歳の女性。発熱を主訴に来院した。間接蛍光抗体法による抗核抗体検査所見(別冊No. 19)を別に示す。 この所見を示す自己抗体はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第68回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
問79の所見は辺縁型(peripheral pattern)です。辺縁型は抗DNA抗体(抗dsDNA抗体)で認められ、全身性エリテマトーデス(SLE)に特異性が高いパターンです(公式正答1)。抗核小体抗体は核小体型、抗ヒストン抗体は均質型、抗ミトコンドリア抗体は細胞質型、抗ENA抗体は斑紋型を示すことが多いです。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。ループス腎炎は全身性エリテマトーデス(SLE)に特徴的な病変であり、wire loop lesionはその組織学的特徴の一つです。抗DNA抗体(特に抗dsDNA抗体)はSLEの診断マーカーとして重要であり、免疫複合体形成を通じて腎臓病変(ループス腎炎)の病態形成に深く関与しています。
- 2. 抗核小体抗体は主に全身性強皮症(SSc)や多発性筋炎/皮膚筋炎(PM/DM)などの結合組織病で検出されることがありますが、wire loop lesionを伴うループス腎炎の主要な原因抗体ではありません。正しくは:この抗体は主に全身性強皮症や多発性筋炎/皮膚筋炎で検出され、特に線維化に関連する病態と関連が深いです。選びやすい理由:「核」という言葉が含まれるため、抗核抗体関連の疾患であるSLEと関連があるように錯覚するかもしれませんが、特異性が異なります。混同注意:抗核抗体(ANA)のパターンの一つと混同しやすいが、核小体パターンはSLEの主要な腎病変とは直接関連が薄いです。
- 3. 抗ヒストン抗体は主に薬剤誘発性ループスの特徴的な自己抗体ですが、wire loop lesionが典型的にみられる自然発症型SLEのループス腎炎の主要な原因抗体ではありません。正しくは:この抗体は薬剤誘発性ループスで高頻度に検出されますが、wire loop lesionは通常、自然発症型SLEのループス腎炎の所見です。選びやすい理由:「ループス」という名称から関連があるように思えますが、薬剤誘発性と自然発症型では主要な自己抗体が異なります。混同注意:SLEと薬剤誘発性ループスの違い、およびそれぞれの特徴的な自己抗体と混同しやすいです。
- 4. 抗ミトコンドリア抗体は主に原発性胆汁性胆管炎(PBC)に特異的な自己抗体であり、ループス腎炎とは全く異なる疾患で検出されます。正しくは:この抗体は原発性胆汁性胆管炎(PBC)の主要な診断マーカーであり、肝臓の胆管細胞に対する自己免疫反応に関連します。選びやすい理由:他の選択肢が核関連である中で、全く異なる臓器特異的な抗体であるため、知識が曖昧だと選びにくいかもしれません。混同注意:核内抗体と細胞質内抗体の違い、およびそれぞれの関連疾患と混同しやすいです。
- 5. 抗ENA可溶性核抗原抗体はSm抗体、RNP抗体、SS-A抗体、SS-B抗体など複数の抗体の総称ですが、wire loop lesionの形成に直接関与する最も特異的な抗体は抗DNA抗体です。Sm抗体はSLEに特異的ですが、腎炎の病態形成への直接的な関与は抗DNA抗体がより大きいとされています。正しくは:抗ENA抗体はいくつかの核抗原に対する抗体の総称であり、Sm抗体はSLEに特異的ですが、ループス腎炎の病態形成においては抗DNA抗体がより中心的役割を担います。選びやすい理由:Sm抗体もSLEに特異的なため、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:抗ENA抗体が多くのSLE患者で陽性になることと、腎炎の病態形成の主役である抗DNA抗体との役割を混同しやすいです。
国試ポイント
抗核抗体の染色パターンと、それを示す主な自己抗体の対応を理解しているかが問われています。
混同注意
均質型と辺縁型はどちらも抗DNA抗体と関連しますが、辺縁型は特に抗dsDNA抗体と関連し、SLEに特異性が高いとされます。
次に同じ論点が出たら
wire loop lesion以外のループス腎炎の病理組織学的所見、または抗dsDNA抗体以外のSLE関連自己抗体とその臨床的意義(例:抗Sm抗体はSLE特異的だが腎炎との直接の関連は抗dsDNA抗体ほどではない、抗SS-A/B抗体はシェーグレン症候群との関連が強いなど)について問われる可能性があります。
関連知識
全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準(改訂版)、ループス腎炎の分類(ISN/RPS分類)、蛍光抗体法による抗核抗体のパターン、特異的自己抗体(抗dsDNA抗体、抗Sm抗体、抗RNP抗体、抗SS-A/B抗体など)の臨床的意義。