新生児溶血性疾患を引き起こすのはどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第67回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・2番
解説
新生児溶血性疾患(HDN)は、母親が持つ胎児赤血球に対する抗体が胎盤を通過し、胎児の赤血球を破壊することで発症します。このため、原因となる抗体は主にIgGクラスであることが重要です。Rh式血液型抗体(抗D、抗C、抗c、抗E、抗eなど)は強力なIgG抗体であり、HDNの主要な原因となります。MNSs式の抗M抗体もIgGクラスのものが存在し、まれにHDNの原因となることがあります。一方、抗N抗体、抗Le(Lewis)抗体、抗JMH抗体は、主にIgMクラスであるか、胎盤通過性が低い、あるいは臨床的な意義が乏しいため、通常HDNの原因とはなりません。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。抗E抗体はRh式血液型抗体の一つで、IgGクラスに属し、胎盤を通過して新生児溶血性疾患を引き起こす可能性があります。
- 2. 正解。抗M抗体はMNSs式血液型抗体の一つで、IgMクラスが主ですが、IgGクラスも存在し、胎盤を通過して新生児溶血性疾患を引き起こす可能性があります。ただし、頻度はRhやABO式より低いとされています。
- 3. 抗N抗体は通常IgMクラスであり、胎盤を通過する能力がほとんどないため、新生児溶血性疾患の原因となることは極めて稀です。臨床的に問題となることは少ないです。正しくは:胎盤を通過しないIgM抗体が主であるため、HDNの原因とはなりにくいです。選びやすい理由:MNSs式血液型抗体であるため、一部の抗M抗体と同様にHDNの原因となる可能性を連想させるかもしれません。しかし、MとNではHDNへの関与が異なります。混同注意:抗M抗体と同じMNSs式血液型抗体であるため、同じようにHDNの原因となると誤解されやすいです。
- 4. 抗Le(Lewis)抗体は、通常IgMクラスであり、胎盤を通過しないため、新生児溶血性疾患の原因とはなりません。また、ルイス抗原は赤血球膜に吸着する形で存在し、新生児の赤血球には抗原がほとんど発現していないという特徴もあります。正しくは:IgM抗体であり胎盤を通過せず、新生児の赤血球にルイス抗原がほとんど存在しないため、HDNの原因とはなりません。選びやすい理由:他のABOやRh以外の血液型抗体と同様にHDNの原因となる可能性を連想させるかもしれません。混同注意:ABO式やRh式以外の血液型抗体と一括りに考えられ、その危険性が同様であると混同されやすいです。
- 5. 抗JMH抗体は高頻度抗原に対する抗体で、通常は臨床的な意義が低いとされています。HDNの原因となることは報告されていません。正しくは:通常、臨床的な意義が低い抗体であり、新生児溶血性疾患の原因とはなりません。選びやすい理由:珍しい抗体名であるため、知識の不足から誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:不規則抗体の一種ではありますが、その臨床的意義が低いことや、HDNとの関連がないことが見落とされやすいです。
国試ポイント
新生児溶血性疾患の原因となる抗体は、主にIgGクラスであり胎盤を通過する性質を持つことを理解しているかが問われる。特にRh式抗体が重要であるが、その他の血液型抗体でもIgG抗体が存在しうることを知っている必要がある。一方で、IgMが主体である抗体(Lewis抗体、一部のMNSs抗体など)や、臨床的意義が低い抗体はHDNの原因となりにくいことを区別できるかがポイントとなる。
混同注意
新生児溶血性疾患の原因となる抗体とそうでない抗体の区別。特に、IgM抗体とIgG抗体の胎盤通過性の違い、およびそれぞれの血液型抗体の臨床的意義。MNSs式血液型抗体の中でも抗Mは原因となりうるが、抗Nはほとんどならないといった詳細な知識が問われる場合がある。
次に同じ論点が出たら
HDNの原因となる抗体を聞かれた場合、まずIgGクラスであり胎盤通過性があるかを考える。次に、主要な原因であるRh式やABO式抗体を想起し、それ以外の血液型抗体については、それぞれの抗体の特徴(IgG/IgMの割合、臨床的意義)を個別に判断する。
関連知識
血液型抗体のクラス(IgG/IgM)、胎盤通過性、各血液型抗体(Rh、ABO、MNSs、Lewis、Kell、Duffyなど)の臨床的意義、不規則抗体スクリーニングの目的と解釈、Coombs試験(直接・間接)の原理と応用。