主要組織適合性遺伝子複合体〈MHC〉について正しいのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
CD4分子はヘルパーT細胞の表面に発現する補助受容体であり、T細胞受容体(TCR)がMHCクラスII分子に提示された抗原ペプチドを認識する際に、MHCクラスII分子のβ2ドメインに結合します。この結合はTCRとMHCクラスII分子の結合を安定化させ、T細胞の活性化に必要なシグナル伝達を助ける重要な役割を果たします。
選択肢ごとの解説
- 1. ヒトのMHC遺伝子複合体(HLA複合体)は、第6染色体短腕上に存在します。正しくは:MHCは第6染色体短腕に位置しています。選びやすい理由:染色体上の位置に関する知識を問うものであり、他の遺伝子複合体の位置と混同しやすいことから、誤って選んでしまう可能性があります。混同注意:血液型遺伝子や他の免疫関連遺伝子(例:TCR遺伝子)の染色体上の位置と混同されることがあります。
- 2. ヘルパーT細胞(CD4陽性T細胞)は、MHCクラスII分子に提示された抗原ペプチドを認識します。MHCクラスI分子と結合して反応するのは、細胞傷害性T細胞(CD8陽性T細胞)です。正しくは:ヘルパーT細胞はMHCクラスII分子と結合して反応します。選びやすい理由:T細胞がMHC分子と反応すること自体は正しい情報ですが、MHCクラスIとクラスIIの区別、およびそれぞれの分子と結合するT細胞の種類が曖昧だと誤解を招きやすいです。混同注意:CD4陽性T細胞(ヘルパーT細胞)とCD8陽性T細胞(細胞傷害性T細胞)の役割分担、およびMHCクラスIとMHCクラスIIの結合相手が混同されやすいです。
- 3. 正解。CD4分子はヘルパーT細胞表面の補助受容体であり、MHCクラスII分子に提示された抗原を認識する際に、MHCクラスII分子のβ2ドメインに結合します。これはT細胞受容体とMHCの結合を安定化させ、T細胞活性化に寄与します。
- 4. MHCクラスI分子は、赤血球を除くほとんど全ての有核細胞で発現しています。抗原提示細胞に限定して発現が見られるのは、MHCクラスII分子です。正しくは:MHCクラスII分子の発現は、抗原提示細胞にのみ見られます。選びやすい理由:抗原提示細胞がMHC分子と密接に関連していることは事実であるため、MHCクラスII分子の発現パターンと混同しやすく、誤って選択してしまう可能性があります。混同注意:MHCクラスI分子とMHCクラスII分子の発現パターン(分布)が混同されやすいです。
- 5. β2-ミクログロブリンはMHCクラスI分子の軽鎖を構成するサブユニットですが、その遺伝子には多型性がほとんどありません(非多型性です)。多型性に富むのはMHCクラスI分子の重鎖をコードする遺伝子(HLA-A, -B, -Cなど)です。正しくは:MHCクラスI分子の重鎖遺伝子は、多型性に富んでいます。選びやすい理由:MHC複合体全体が多型性に富むという知識から、その構成要素であるβ2-ミクログロブリンも多型性を持つと誤解しやすいです。混同注意:MHCクラスI分子の重鎖の多型性と、β2-ミクログロブリンの非多型性が混同されやすいです。
国試ポイント
本問題は、主要組織適合性複合体(MHC)に関する基本的な知識、特にMHCクラスIとMHCクラスIIの構造、機能、発現部位、そしてT細胞との相互作用(特にCD4/CD8補助受容体の結合部位)について正確に理解しているかを問うものです。各分子の特性を詳細に把握していることが重要となります。
混同注意
MHCクラスIとMHCクラスIIの機能、細胞での発現パターン、結合するT細胞の種類と補助受容体、さらに構成サブユニットの多型性の有無などが、特に混同されやすいポイントです。また、MHC遺伝子の染色体上の位置も誤りやすい知識です。
次に同じ論点が出たら
次に同様の論点が問われる場合、MHCクラスIとクラスIIの『どこに』(結合部位)、『何が』(T細胞受容体、CD4/CD8分子)、『どのように結合するか』(安定化、シグナル伝達)、『結果として何が起こるか』(T細胞の活性化、免疫応答の種類)をより詳細に確認する必要があります。特に、CD4とCD8の結合するMHC分子のドメイン(クラスIのα3とクラスIIのβ2)や、抗原提示細胞の種類とMHC分子の発現パターンは頻出事項です。
関連知識
MHCクラスI分子は主に細胞内のウイルス感染抗原や腫瘍抗原を細胞傷害性T細胞(CD8陽性)に提示し、MHCクラスII分子は主に細胞外由来の抗原をヘルパーT細胞(CD4陽性)に提示します。ヒトのMHCはヒト白血球抗原(HLA)と呼ばれ、臓器移植の拒絶反応に関与する重要な因子です。各ドメインの名称と、抗原結合溝の形成に関わるドメイン(クラスIではα1/α2、クラスIIではα1/β1)も関連知識として重要です。