心筋の特殊染色標本(別冊No. 9)を別に示す。染色法はどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2番
解説
PTAH染色(リンタングステン酸ヘマトキシリン染色)は、筋線維、フィブリン、グリア線維を青紫色に、膠原線維や赤血球を黄褐色に染め分ける特殊染色です。心筋の病理組織学において、心筋細胞の横紋や核を鮮明に染め出すことで、筋線維の変性や壊死、線維素の析出などを評価するのに非常に有用です。特に心筋梗塞の診断で、壊死心筋の横紋消失や好酸性変性を評価するために使用されます。下図の標本が心筋の横紋を明瞭に示している場合、PTAH染色が正解となります。
選択肢ごとの解説
- 1. アザン染色は結合組織や膠原線維を青色に染め、筋線維を赤色に染めるため、心筋線維の横紋や核が明瞭に描出されるPTAH染色の特徴とは異なります。正しくは:心筋の横紋や核を鮮明に染め分ける特徴を持つのはPTAH染色です。選びやすい理由:特殊染色の一つであるため、知識が曖昧だと選びやすいかもしれません。混同注意:マッソントリクローム染色など、結合組織を染める別の染色法と混同することがあります。
- 2. 正解。PTAH染色(リンタングステン酸ヘマトキシリン染色)は、筋線維、膠原線維、フィブリン、グリア線維などを染め分ける特殊染色です。特に心筋組織においては、筋線維の横紋や核を青紫色に鮮明に染め出し、周囲の結合組織などを黄褐色に染め分ける特徴があります。これにより、心筋の病理変化、例えば心筋梗塞における壊死部位の線維素析出や横紋消失などを評価するのに非常に有用です。提示された画像が心筋の横紋や核を特徴的に染め出している場合、PTAH染色が最も適切です。
- 3. ベルリンブルー染色は、組織中の鉄(ヘモジデリンなど)を青色に染め出すための特殊染色です。心筋組織の構造自体を染め分ける目的では使用されません。正しくは:ベルリンブルー染色は鉄を検出するための染色法です。選びやすい理由:これも特殊染色の一つですが、その目的が鉄の検出であることを理解していれば選択肢から除外できます。混同注意:他の金属成分や色素を検出する染色法と混同することがあります。
- 4. ビクトリアブルー染色は弾性線維の染色によく用いられる染色法であり、心筋線維やその横紋を明確に染め分ける目的で一般的に使用されるものではありません。正しくは:ビクトリアブルー染色は主に弾性線維を染色するのに用いられます。選びやすい理由:「ブルー」という色名から、何らかの構造を青く染める染色と誤解する可能性があります。混同注意:エラスチカ・ワンギーソン染色など、弾性線維を染める別の染色法と混同することがあります。
- 5. クリューバー・バレラ染色は、主に神経組織においてミエリン鞘を青色に、神経細胞を紫色に染め分けるための特殊染色です。心筋組織の染色には適用されません。正しくは:クリューバー・バレラ染色は神経組織のミエリン鞘や神経細胞を染めるための染色法です。選びやすい理由:これも特殊染色の一つであり、その適用臓器が明確でない場合、選択してしまう可能性があります。混同注意:ニッスル染色など、神経組織を染める別の染色法と混同することがあります。
国試ポイント
本問は、心筋組織における主要な特殊染色であるPTAH染色(リンタングステン酸ヘマトキシリン染色)の適用とその特徴を理解しているかを問う問題です。各特殊染色の目的、染まる成分、代表的な適用組織を正確に覚えていることが重要です。画像問題として出題されるため、PTAH染色標本の典型的な見え方を視覚的に識別できる能力も求められます。
混同注意
PTAH染色とアザン染色、マッソントリクローム染色など、線維成分を染め分ける他の染色法との違いを混同しやすいです。また、ベルリンブルー染色(鉄)、ビクトリアブルー染色(弾性線維)、クリューバー・バレラ染色(神経ミエリン)など、全く異なる目的の染色法との区別も重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の論点が出題された場合、まず提示された組織がどの臓器か(心筋、神経、結合組織など)を特定します。次に、その臓器で評価したい病態や構造(横紋、鉄、弾性線維、ミエリンなど)を推測し、それらを特異的に染め出す染色法を選択します。特に、各染色の代表的な『色調』と『染まる対象』を関連付けて覚えることが重要です。
関連知識
組織染色法には、H-E染色のような一般染色と、特定の成分を可視化するための特殊染色があります。特殊染色の例として、グリコーゲンを染めるPAS染色、脂質を染めるズダンIII染色、線維を染めるマッソントリクローム染色、アミロイドを染めるコンゴーレッド染色などがあります。それぞれの染色法がどのような組織成分を、どのような色に染め出すかを理解しておく必要があります。