BNPについて誤っているのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
BNPは生体内での半減期が短く、非常に不安定なペプチドです。採血後は速やかに処理し、検体としてEDTA加血漿を使用することが推奨されています。血清中では凝固過程でプロテアーゼによる分解が進みやすく、正確な測定値が得られないため、「血清で測定する」という記述は誤りとなります。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。BNPは不安定なペプチドホルモンであり、血液凝固過程や血清中の酵素によって分解されやすいため、血清ではなく、より安定したEDTA加血漿を用いて測定されるのが一般的です。血清で測定すると、実際の濃度よりも低く検出される可能性があります。
- 2. この記述は正しいです。BNPは心臓の心室筋細胞で主に産生・貯蔵され、心室に過度な負荷(容量負荷や圧負荷)がかかることで分泌が促進されます。選びやすい理由:ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)が主に心房で産生されるため、BNPも心房で産生されると誤解しやすいですが、BNPは心室由来です。混同注意:ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)の主な産生部位である心房と混同しやすいです。
- 3. この記述は正しいです。BNPは主に腎臓で代謝・排泄されるため、腎機能が低下すると排泄効率が落ち、血中濃度が上昇します。心不全以外の要因として、腎不全によるBNP高値は臨床上考慮すべき点です。選びやすい理由:BNPが心不全のマーカーであるという知識が先行し、腎不全による影響を見落とすことがあります。混同注意:心不全による心臓負荷増大に伴うBNP上昇と、腎機能低下によるクリアランス低下に伴うBNP上昇の機序を混同しやすいです。
- 4. この記述は正しいです。BNPは、分子内にジスルフィド結合によって形成される特徴的な環状構造を持っています。この環状構造は、その生理活性の発現に重要な役割を果たします。選びやすい理由:ペプチドホルモンの詳細な分子構造に関する知識がない場合、この記述の正誤判断が難しいことがあります。混同注意:ペプチドホルモンの一次構造(アミノ酸配列)だけでなく、二次・三次構造(立体構造)の重要性について理解が不十分だと迷う可能性があります。
- 5. この記述は正しいです。BNPは、腎臓の集合管などでナトリウムイオンの再吸収を抑制し、尿中へのナトリウム排泄を促進する作用(ナトリウム利尿作用)を持ちます。これにより、体液量の減少と血圧低下に寄与します。選びやすい理由:BNPが利尿作用を持つことは広く知られていますが、その具体的なメカニズム(ナトリウム再吸収抑制)まで詳細に理解していないと、他の選択肢との比較で迷うことがあります。混同注意:ADH(抗利尿ホルモン)やアルドステロンといった、ナトリウムや水の再吸収を促進するホルモンと作用が逆であるため、混同しやすいです。
国試ポイント
BNPの測定における検体処理の注意点(特に血清と血漿の使い分けと、その理由)が問われています。また、BNPの基本的な生理学的特性(産生部位、構造、生理作用、代謝・排泄経路)に関する知識も問われることが多いです。
混同注意
ANP(心房性ナトリウム利尿ペプチド)とBNPの産生部位、血清と血漿の適切な検体選択と安定性の違い、心不全と腎不全によるBNP値上昇のメカニズムなどが混同しやすいポイントです。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が出た場合は、BNPの検体処理(採血管の種類、保存条件)、BNPとNT-proBNPの比較(測定対象、安定性、半減期、診断上の特性)、BNP上昇の原因(心不全以外に腎不全、年齢、貧血、心房細動など)に注目して判断しましょう。
関連知識
BNPは心不全の診断や重症度評価に用いられる重要なバイオマーカーです。BNPの前駆体であるNT-proBNPも同様に心不全の指標として用いられますが、安定性や半減期、腎機能への影響など、BNPとは異なる特性も持ちます。BNPの作用は、血管拡張、利尿(ナトリウム・水排泄促進)、レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系抑制など、多岐にわたります。