肝硬変において血中で増加するのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第71回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
肝硬変では、肝細胞の広範な線維化と機能不全により、様々な肝機能が障害されます。特に免疫系の調節異常が生じ、肝臓での異物(細菌由来成分など)の処理能力が低下することで、免疫系が慢性的に刺激されます。これにより、免疫グロブリンを産生する形質細胞が活性化され、結果として血中のγ-グロブリン(主にIgG)濃度が上昇します。これは肝硬変における特徴的な所見の一つです。
選択肢ごとの解説
- 1. 肝硬変では、脾機能亢進による血小板の脾臓での破壊促進や、肝臓でのトロンボポエチン産生低下により、血小板数は一般的に減少します。正しくは:減少する選びやすい理由:肝疾患では出血傾向が見られることがありますが、これは主に凝固因子の異常によるものであり、血小板数自体は減少します。混同注意:凝固因子の低下による出血傾向と血小板数の変動を混同しやすいです。
- 2. アルブミンは肝臓で合成される主要なタンパク質です。肝硬変が進行すると肝臓の合成能力が低下するため、血中アルブミン濃度は減少します。正しくは:減少する選びやすい理由:アルブミンが肝臓で作られるため、肝臓に異常があると変化することは正しいですが、肝臓の「合成能力の低下」という点が盲点になりやすいです。混同注意:肝臓が機能障害を起こしても、合成量が維持されると誤解しやすいです。
- 3. 正解。肝硬変では、肝臓の異物処理機能が低下し、腸管由来の抗原などが門脈を介して全身循環に流入しやすくなります。これにより免疫系が慢性的に刺激され、形質細胞からの免疫グロブリン(γ-グロブリン)の産生が増加するため、血中濃度が上昇します。
- 4. コレステロールは肝臓で合成・代謝されます。肝硬変が進行し肝合成能が低下すると、総コレステロール値は一般的に減少する傾向にあります。正しくは:減少する選びやすい理由:肝臓は脂質代謝の中心であるため、肝疾患で脂質関連の検査項目が変化することは認識しやすいですが、合成能低下による減少という方向性を間違えやすいです。混同注意:閉塞性黄疸など、特定の肝疾患でコレステロール値が上昇するケースと混同しやすいですが、肝硬変では合成能低下が優位となります。
- 5. コリンエステラーゼ(血清コリンエステラーゼ)は主に肝臓で合成される酵素です。肝硬変による肝合成能の低下に伴い、血中濃度は減少します。肝機能低下の指標として用いられます。正しくは:減少する選びやすい理由:ASTやALTといった肝逸脱酵素は肝細胞障害で上昇するため、他の肝関連酵素も一律に上昇すると思いやすいです。混同注意:肝細胞が破壊されて血液中に逸脱する酵素(AST, ALT)と、肝臓で合成され、その合成能が低下することで血中濃度が減少する酵素(コリンエステラーゼ)の区別を混同しやすいです。
国試ポイント
肝硬変における肝機能障害の病態生理学的変化、特に肝合成能の低下と免疫機能の異常に関連する検査項目について問われています。各検査項目が肝臓のどのような機能と関連し、肝硬変でどのように変動するかを正確に理解しているかが重要です。
混同注意
肝合成能が低下する項目(アルブミン、コリンエステラーゼ、コレステロール、凝固因子など)と、肝細胞障害で上昇する酵素(AST, ALT, ALP, γ-GTPなど)、さらに免疫反応として上昇する項目(γ-グロブリン)を混同しやすいです。それぞれの検査項目が肝臓のどの機能(合成、代謝、排出、細胞障害など)を反映しているかを区別することが重要です。
次に同じ論点が出たら
次に同じ論点が出た場合、肝合成能低下に伴う凝固因子の変動や、ビリルビン代謝、アンモニア代謝の異常など、他の肝機能検査項目がどのように変化するかを問われる可能性があります。また、肝臓の病態進行度に応じた検査値の変化(例:初期と末期での変化)も重要な学習ポイントとなります。
関連知識
肝硬変では、本問題で問われた項目以外にも、プロトロンビン時間延長(凝固因子合成能低下)、総ビリルビン上昇(胆汁排泄障害)、血中アンモニア上昇(尿素サイクル機能低下)、AST/ALT上昇(肝細胞破壊)などの異常が見られます。これらの検査値の変動を総合的に理解することが、肝機能評価には不可欠です。