甲状腺右葉の超音波Bモード像(a)及びパワードプラ像(b)(別冊No. 5)を別に示す。最も考えられるのはどれか。

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出典:厚生労働省ホームページ(第65回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1番
解説
画像bのパワードプラ像では、甲状腺全体に血流信号の著明な増加(vascularity increase)が認められます。これは甲状腺機能亢進状態において甲状腺組織の代謝が活発になり、血流が増加するバセドウ病に特徴的な所見です。甲状腺刺激抗体(TRAb)が甲状腺細胞を刺激し、甲状腺ホルモンが過剰産生されることで血流が亢進します。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。画像bのパワードプラ像において、甲状腺全体に著明な血流信号の増加が認められます。これは甲状腺機能亢進症であるバセドウ病に特徴的な「thyroid inferno sign」と呼ばれる所見です。選びやすい理由:特になし。正答であるため。混同注意:特になし。正答であるため。
- 2. 副甲状腺腫大は甲状腺の裏側に位置する副甲状腺の異常であり、甲状腺自体の血流増加とは直接関連しません。副甲状腺機能亢進症ではカルシウム代謝異常が主症状となります。正しくは:副甲状腺腫大の超音波像では、甲状腺とは独立した低エコー腫瘤として描出され、ドプラ血流も甲状腺全体に及ぶものではありません。選びやすい理由:甲状腺と隣接しているため、関連疾患として想起しやすいかもしれませんが、画像所見は異なります。混同注意:甲状腺腫瘍やリンパ節腫脹など、頚部の他の腫瘤性病変。
- 3. 亜急性甲状腺炎では、罹患部位に限局した炎症による血流増加が見られることがありますが、甲状腺全体に著明な血流増加が見られることは稀です。また、Bモード像では病変部に不均一な低エコー域を呈することが多いです。正しくは:亜急性甲状腺炎では、通常、疼痛を伴う甲状腺の限局性腫脹や圧痛が特徴的で、超音波では限局性の低エコー域とそれに伴う軽度〜中等度の血流増加がみられます。選びやすい理由:甲状腺の炎症性疾患であり、血流増加を伴うことがあるため。混同注意:バセドウ病の炎症所見や、慢性甲状腺炎の急性増悪。
- 4. 腺腫様甲状腺腫は甲状腺内に多発性の結節を形成する病態で、多くは機能正常または機能低下を伴います。血流増加が見られることもありますが、通常は結節内部に限局的であり、甲状腺全体に著明な血流増加を呈することはありません。正しくは:腺腫様甲状腺腫の超音波像では、多発性の結節性病変が特徴であり、ドプラ血流は結節内部や辺縁に軽度に認められる程度です。選びやすい理由:甲状腺腫大を呈する疾患の一つであり、鑑別疾患として挙がりやすいから。混同注意:他の甲状腺結節性疾患、特に濾胞腺腫や乳頭癌。
- 5. 慢性甲状腺炎(橋本病)は甲状腺機能低下症を呈することが多く、超音波Bモード像では甲状腺全体のびまん性腫大と不均一な内部エコー(粗大な線状、網状構造)が特徴的です。ドプラ像では、甲状腺機能低下時は血流はむしろ低下傾向にあり、甲状腺機能亢進を示す著明な血流増加は通常見られません。ただし、急性増悪期には血流増加が見られることもあります。正しくは:慢性甲状腺炎(橋本病)の超音波ドプラ所見では、一般に血流増加は軽度か正常であり、機能低下期ではむしろ低下します。バセドウ病のような著明な血流増加は通常認められません。選びやすい理由:甲状腺腫大を呈する自己免疫疾患であり、バセドウ病と混同しやすいから。混同注意:バセドウ病。特に、橋本病にバセドウ病が合併したHashitoxicosisの状態。しかし、典型的な橋本病の超音波ドプラ所見とは異なります。
国試ポイント
バセドウ病の超音波検査所見(特にドプラ所見)を正確に理解しているか。
混同注意
亜急性甲状腺炎や慢性甲状腺炎(橋本病)でも血流増加が見られることがあるが、バセドウ病ほど全体的かつ著明ではない点で区別する。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、超音波Bモード像でびまん性甲状腺腫大や内部エコーの不均一性を確認し、パワードプラ像で甲状腺全体に著明な血流増加(thyroid inferno sign)が見られるかどうかで判断する。
関連知識
バセドウ病は自己免疫疾患であり、甲状腺機能亢進症を呈します。臨床症状として頻脈、発汗過多、体重減少、眼球突出などがあります。診断には血中甲状腺ホルモン高値、TSH低値、TRAb陽性などが重要です。