フィブリノゲンについて正しいのはどれか。2つ選べ。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は1・3番
解説
フィブリノゲンは代表的な急性期反応物質であり、炎症時に血中濃度が上昇します。また、フィブリノゲンからフィブリンへの変換時間を測定するトロンビン時間 (TT) 法は、フィブリノゲンの機能や濃度を評価する上で重要な検査です。したがって、1と3が正しい記述です。
選択肢ごとの解説
- 1. 正解。フィブリノゲンは主要な急性期反応物質の一つであり、細菌感染症、外傷、手術、悪性腫瘍など、急性炎症を伴う病態で肝臓での合成が亢進し、血中濃度が上昇します。
- 2. 血漿中に最も高濃度で存在するタンパク質はアルブミンです。フィブリノゲンは血漿タンパク質の中ではアルブミン、グロブリンに次いで3番目に多く、凝固因子の中では最も高濃度ですが、全体で見ると最多ではありません。正しくは:血液中に最も高濃度で存在するタンパク質はアルブミンである。選びやすい理由:フィブリノゲンが凝固因子の中で最も量が多いことを知っていると、全体でも最も多いと誤解しやすいです。混同注意:アルブミン
- 3. 正解。トロンビン時間 (TT) は、検体にトロンビンを添加してフィブリノゲンがフィブリンに変換されるまでの時間を測定する検査です。この方法により、フィブリノゲンの量や機能異常を評価することができます。
- 4. フィブリノゲンは、α鎖、β鎖、γ鎖の3種類のポリペプチド鎖がそれぞれ2本ずつ、合計6本の鎖が結合してできた二量体構造 (AαBβγ)2 をしています。3量体ではありません。正しくは:3種類のポリペプチド鎖(α, β, γ)がそれぞれ2本ずつ、合計6本の鎖が結合した構造である。選びやすい理由:生体分子の構造は複雑で、鎖の数や重合度が混同されやすいため、数字の「3」に引きずられやすいです。混同注意:コラーゲンなど、他のタンパク質の三量体構造。
- 5. プラスミンによって直接分解されるのは、架橋されたフィブリンです。フィブリノゲンがプラスミンによって分解されると主にフィブリン分解産物 (FDP) が生成されますが、D-ダイマーは遊離しません。D-ダイマーは、トロンビンによって形成され、第XIIIa因子によって架橋されたフィブリンがプラスミンによって分解されたときに初めて遊離する特異的な分解産物です。正しくは:プラスミンで分解されるとFDPが遊離する。選びやすい理由:D-ダイマーが血栓・線溶系の重要なマーカーであることはよく知られているため、フィブリノゲンの分解産物と誤って関連付けやすいです。混同注意:フィブリノゲン分解産物 (FDP) と、架橋フィブリン分解産物であるD-ダイマーの生成機序の違い。
国試ポイント
フィブリノゲンに関する基礎的な知識(生理的役割、生化学的特徴、主要な測定法、および線溶系における位置づけ)が幅広く問われる問題です。特に、急性期反応物質としての性質と、トロンビン時間による測定原理は頻出事項です。
混同注意
アルブミンとの血中濃度比較、フィブリンとフィブリノゲンの分解産物の違い(FDPとD-ダイマー)、フィブリノゲンの正確な分子構造。
次に同じ論点が出たら
次回同じ論点が問われる場合、フィブリノゲン欠損症や異常フィブリノゲン血症の病態生理や検査所見、遺伝子異常との関連性が問われる可能性があります。また、フィブリンモノマーの重合過程や、抗凝固薬がフィブリノゲン測定に与える影響なども重要なポイントとなるでしょう。
関連知識
血液凝固・線溶系の全体像、各凝固因子の役割、急性期反応物質の種類とその臨床的意義、各種凝固検査(プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、トロンビン時間、フィブリノゲン定量、D-ダイマー)の原理と臨床的応用。