ウイルス感染が発症原因の血液疾患はどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第72回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は3番
解説
成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染が主要な原因となって発症する血液疾患です。HTLV-1ウイルスはレトロウイルスの一種で、Tリンパ球に感染し、その異常増殖を引き起こします。他の選択肢の疾患は、主に遺伝子変異や染色体異常、または原因不明で発症することが多く、ウイルス感染が直接の発症原因とされることは稀です。
選択肢ごとの解説
- 1. 急性骨髄性白血病は、造血幹細胞の遺伝子変異によって発生する骨髄系の悪性腫瘍であり、ウイルス感染が直接の発症原因となることは稀です。正しくは:急性骨髄性白血病は、多くの場合、遺伝子異常や染色体異常によって引き起こされます。選びやすい理由:白血病という名前から、ウイルス感染も原因となり得ると誤解する可能性がありますが、多くの白血病は遺伝子変異が主な原因です。混同注意:HTLV-1と混同しやすいかもしれませんが、HTLV-1はT細胞性白血病の原因であり、骨髄性白血病とは異なります。
- 2. 骨髄異形成症候群は、造血幹細胞の異常により、骨髄で血液細胞が正常に成熟せず、末梢血で血球減少をきたす疾患です。主な原因は遺伝子変異や染色体異常であり、ウイルス感染が直接の原因となることは一般的ではありません。正しくは:骨髄異形成症候群は、遺伝子の後天的な変異や環境因子(放射線、化学療法など)が原因となることが多いです。選びやすい理由:造血幹細胞の異常を伴うため、何らかの外的要因が関与するのではと推測しやすいかもしれませんが、ウイルス感染は主要な原因ではありません。混同注意:再生不良性貧血など、他の原因不明の血液疾患と混同する可能性があります。
- 3. 正解。成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって引き起こされるリンパ系腫瘍です。HTLV-1ウイルスがT細胞に感染し、異常な増殖を促すことで発症します。
- 4. 多発性骨髄腫は、形質細胞ががん化した疾患で、単一のクローン性形質細胞が骨髄で増殖し、M蛋白を産生します。原因は遺伝子変異や染色体異常が主であり、ウイルス感染が直接の発症原因とはされていません。正しくは:多発性骨髄腫の発生には、染色体異常や遺伝子変異が関与し、加齢とともにリスクが増加します。選びやすい理由:免疫系の細胞である形質細胞の異常であるため、ウイルスとの関連を想像しやすいかもしれませんが、直接の原因ではありません。混同注意:慢性リンパ性白血病やマクログロブリン血症など、他のB細胞性リンパ増殖性疾患と混同する可能性があります。
- 5. 慢性リンパ性白血病は、Bリンパ球が悪性化した疾患であり、主に高齢者に多く見られます。その発生には遺伝的要因や特定の染色体異常が関与しますが、ウイルス感染が直接の原因となることは確立されていません。正しくは:慢性リンパ性白血病は、特定の遺伝子変異や染色体異常、家族歴などが関連すると考えられています。選びやすい理由:リンパ球の悪性腫瘍であるため、ウイルスとの関連を考えるかもしれませんが、直接的な原因ではありません。混同注意:HTLV-1によって引き起こされるT細胞性白血病(ATLL)と混同する可能性がありますが、慢性リンパ性白血病はB細胞性であり、原因ウイルスも異なります。
国試ポイント
本問は、特定の血液疾患と、その原因となるウイルスとの関連性について知識を問う問題です。特に、ウイルス感染が発症に直接的に関与する代表的な血液疾患である成人T細胞性白血病/リンパ腫(ATLL)とその原因ウイルス(HTLV-1)を結びつけられるかがポイントとなります。
混同注意
白血病とウイルス感染というキーワードから、非特異的に白血病全般とウイルスを結びつけて考えてしまう可能性がありますが、ウイルスが直接的な発症原因となる血液疾患は限られています。特に、急性骨髄性白血病や慢性リンパ性白血病など、他の白血病とATLLの原因を混同しないことが重要です。
次に同じ論点が出たら
今後同様の問題が出題された場合、ウイルス感染が原因となる他の疾患(例:EBウイルスとバーキットリンパ腫、HIVとカポジ肉腫など)にも注意を払い、それぞれの疾患と原因ウイルスの組み合わせを正確に覚えているかを確認しましょう。特に、日本の地域性に特徴的なHTLV-1関連疾患は重要です。
関連知識
HTLV-1は日本の一部の地域(特に九州地方)に多く分布しており、母子感染(母乳)、性行為感染、輸血などによって伝播します。感染してもすべての人がATLLを発症するわけではなく、発症に至るまでに長い潜伏期間があります。HTLV-1関連脊髄症(HAM/TSP)などの非腫瘍性疾患の原因となることも知られています。また、B型肝炎ウイルス(HBV)やC型肝炎ウイルス(HCV)が肝細胞癌の原因となるように、特定のウイルスが特定の癌の発症に深く関与する例は他にも存在します。