皮膚のH-E染色標本(別冊No. 9)を別に示す。組織内の褐色色素を証明する染色法はどれか。

選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第63回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢・図は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整え、図は冊子から切り出しています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
皮膚のH-E染色標本で褐色色素として認められるのは主にメラニン色素です。メラニン色素を特異的に検出する染色法としてMasson-Fontana染色が用いられます。この染色法では、メラニンは黒色に染出されます。他の選択肢は、PTAH染色(筋線維、フィブリンなど)、Grimelius染色(アルギロフィル細胞)、Congored染色(アミロイド)、Berlinblue染色(鉄/ヘモジデリン)と、それぞれ異なる目的の色素や成分を検出するものです。
選択肢ごとの解説
- 1. PTAH染色(リンタングステン酸ヘマトキシリン染色)は、筋線維、膠原線維、フィブリン、神経膠線維などを染め分けるために用いられる染色法であり、褐色色素の証明には適していません。正しくは:PTAH染色ではなく、メラニン色素を証明するにはMasson-Fontana染色が適切です。選びやすい理由:様々な組織構造を染め分ける染色法の一つとして知識があるため、他の特殊染色と混同して選んでしまう可能性があります。混同注意:他の特殊染色、例えばPAS染色(糖原など)、Grimelius染色(アルギロフィル細胞)、Congored染色(アミロイド)など。
- 2. Grimelius染色(グリメリウス染色)は、アルギロフィル細胞(好銀性細胞)内の顆粒を検出するために使用される特殊染色法であり、メラニンなどの褐色色素の証明には適していません。アルギロフィル細胞は特に消化管内分泌細胞などで見られます。正しくは:Grimelius染色ではなく、メラニン色素を証明するにはMasson-Fontana染色が適切です。選びやすい理由:銀染色の一種であるため、Masson-Fontana染色と同じ銀染色系統と混同しやすい可能性があります。混同注意:Fontana-Masson染色(メラニン)、DAB反応(ヘモジデリン)、ベルリンブルー染色(ヘモジデリン)など、他の色素を検出する銀染色や鉄染色と混同しやすいです。
- 3. Congored染色(コンゴーレッド染色)は、アミロイド(異常タンパク質の沈着)を検出するために用いられる染色法であり、偏光顕微鏡下で緑色の二重屈折を示すことで確認されます。褐色色素の証明には使用されません。正しくは:Congored染色ではなく、メラニン色素を証明するにはMasson-Fontana染色が適切です。選びやすい理由:病理組織学で重要な特殊染色の一つとして知られているため、他の特殊染色と混同して選んでしまう可能性があります。混同注意:他の特殊染色、特にPAS染色、アルシアンブルー染色、マッソン・トリクローム染色など。
- 4. Berlinblue染色(ベルリン青染色)は、ヘモジデリンなどの鉄沈着を検出するために用いられる特殊染色法です。ヘモジデリンは通常、青色に染まりますが、メラニンとは異なる色素であり、褐色色素(メラニン)の証明には適していません。正しくは:Berlinblue染色ではなく、メラニン色素を証明するにはMasson-Fontana染色が適切です。選びやすい理由:褐色色素としてヘモジデリンを連想しやすく、その染色法であるベルリン青染色を選んでしまう可能性があります。ヘモジデリンも肉眼的には褐色に見えることがあります。混同注意:Masson-Fontana染色(メラニン)、DAB反応(ヘモジデリンの検出も可能だがDAB自体が染色法ではない)、そしてヘモジデリンとメラニンの区別。
- 5. 正解。Masson-Fontana染色(マッソン・フォンタナ染色)は、メラニン色素やアルギロフィル細胞の顆粒を検出するために用いられる銀染色法です。メラニン色素は黒色に染まります。H-E染色で認められる皮膚の褐色色素は一般的にメラニンであるため、この染色法が適切です。正しくは:この選択肢は正しい。選びやすい理由:特になし。正答。混同注意:Grimelius染色(アルギロフィル細胞を染める銀染色)など、他の銀染色や色素関連の特殊染色と混同しやすい可能性があります。
国試ポイント
本問題は、病理組織学における主要な特殊染色とその適用(特に検出する成分)に関する基本的な知識を問うものです。H-E染色で観察される病変や色素に対して、どの特殊染色が適切かを判断する能力が求められます。特に、皮膚科病理ではメラニン色素の証明が重要となります。
混同注意
様々な特殊染色が提示されており、それぞれが検出する成分を正確に理解していないと混同しやすいです。特に、ヘモジデリン(ベルリン青染色)とメラニン(Masson-Fontana染色)は、H-E染色で両者とも褐色に見えることがあるため、区別して覚える必要があります。
次に同じ論点が出たら
同様の問題が出題された場合、H-E染色標本でどのような変化が見られるかをまず確認し、その変化(例:色素、線維、細胞内封入体など)に対してどの特殊染色が最も特異的かつ適切かを判断する必要があります。特に、色素に関する問題はヘモジデリンとメラニンの区別、脂肪染色、グリコーゲン染色なども関連知識として問われる可能性があります。
関連知識
メラニン色素は神経堤由来のメラノサイトで産生され、紫外線防御などの役割を担います。H-E染色では黄色から褐色、黒褐色の顆粒として観察されます。Masson-Fontana染色は、メラニンが還元性を持つことを利用した銀染色であり、銀イオンを還元して金属銀を沈着させることで黒色に染め出します。