人獣共通感染症をきたすのはどれか。
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出典:厚生労働省ホームページ(第69回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は5番
解説
エキノコックス(多包条虫)は、キツネやイヌなどの肉食動物を終宿主とする寄生虫であり、これらの動物の糞便に含まれる虫卵をヒトが摂取することで感染します。ヒトは中間宿主となり、肝臓を中心に重篤な多包虫症を引き起こす人獣共通感染症です。他の選択肢は、ヒトに特異的な感染経路を持つか、あるいは主にヒトを貯蔵宿主とする寄生虫であり、人獣共通感染症ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. 蟯虫(Enterobius vermicularis)はヒトにのみ寄生し、主に肛門周囲から経口感染することでヒトからヒトへ伝播します。動物を介した感染は一般的ではなく、人獣共通感染症には分類されません。正しくは:ヒトからヒトへの感染が主である寄生虫選びやすい理由:寄生虫の代表的な例として知られているため、一般的な寄生虫疾患として選択しやすいかもしれませんが、人獣共通感染症としての特徴はありません。混同注意:他の土壌媒介性寄生虫(例:回虫)も、ヒト特異的な感染様式を持つことが多いため、まとめて人獣共通感染症ではないと理解する必要があります。
- 2. ズビニ鉤虫(Ancylostoma duodenale)は主にヒトの小腸に寄生し、ヒトからヒトへの経口感染や経皮感染が中心です。動物を主要な感染源としないため、人獣共通感染症ではありません。正しくは:ヒトに特異的に寄生する鉤虫選びやすい理由:鉤虫の中には犬鉤虫(Ancylostoma caninum)やブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense)のように動物からヒトへ感染する「皮膚幼虫移行症」の原因となる人獣共通感染症がありますが、ズビニ鉤虫はヒト特異的であるため誤りです。鉤虫全般を人獣共通と誤解する可能性があります。混同注意:犬鉤虫やブラジル鉤虫が人獣共通感染症の原因となるため、鉤虫という大きな分類で混同しやすいです。種ごとの宿主特異性を区別する必要があります。
- 3. 三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax)は、ヒトを唯一の終宿主とするマラリア原虫であり、蚊を介してヒトからヒトへ感染します。動物が自然宿主や感染源となることはなく、人獣共通感染症には該当しません。正しくは:ヒトからヒトへ蚊を介して感染するマラリア原虫選びやすい理由:マラリアの感染サイクルに蚊が関与するため、動物との関連性を連想しやすいですが、ヒトマラリア原虫は基本的にヒトにのみ感染します。サルマラリアが人獣共通感染症として知られているため、その知識と混同する可能性もあります。混同注意:サルマラリア原虫(例: Plasmodium knowlesi)は人獣共通感染症ですが、三日熱マラリア原虫とは異なる種であり、宿主特異性も異なります。
- 4. ガンビアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei gambiense)は、アフリカ睡眠病の原因原虫であり、主にヒトを貯蔵宿主とし、ツェツェバエを介してヒトからヒトへ感染が伝播します。動物は感染源として主要な役割を果たさないため、人獣共通感染症とは異なります。正しくは:ヒトを主な貯蔵宿主とするアフリカ睡眠病の原因原虫選びやすい理由:アフリカ睡眠病の原因となるトリパノソーマには、家畜も貯蔵宿主となるローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodesiense)も存在するため、ガンビアトリパノソーマも同様に人獣共通感染症だと誤解しやすいです。貯蔵宿主の違いがポイントです。混同注意:ローデシアトリパノソーマはウシなどの家畜を貯蔵宿主とする人獣共通感染症であるため、ガンビアトリパノソーマと混同しやすいです。両者の疫学的特徴を区別することが重要です。
- 5. 正解。エキノコックス(多包条虫、Echinococcus multilocularis)は、主にキツネやイヌなどの肉食動物を終宿主とし、その糞便中に排出される虫卵をヒトが摂取することで感染します。ヒトは中間宿主となり、肝臓などに重篤な多包虫症を引き起こす、代表的な人獣共通感染症です。
国試ポイント
寄生虫学における人獣共通感染症の知識は頻出です。特にエキノコックスは代表例として非常に重要です。マラリア原虫やトリパノソーマなどの原虫の感染経路や宿主特異性、鉤虫の種類による人獣共通性の有無など、細かい知識まで問われる傾向があります。
混同注意
鉤虫:ズビニ鉤虫はヒト特異的ですが、犬鉤虫(Ancylostoma caninum)やブラジル鉤虫(Ancylostoma braziliense)は人獣共通感染症である皮膚幼虫移行症の原因となります。トリパノソーマ:ガンビアトリパノソーマはヒトが主な貯蔵宿主ですが、ローデシアトリパノソーマ(Trypanosoma brucei rhodesiense)はウシなどの家畜が貯蔵宿主となる人獣共通感染症です。マラリア:三日熱マラリア原虫はヒトに特異的ですが、サルマラリア原虫(Plasmodium knowlesiなど)は人獣共通感染症です。
次に同じ論点が出たら
人獣共通感染症に関する問題が出題された場合、まず各病原体(寄生虫、細菌、ウイルスなど)の「主な宿主」「感染経路」「病原体の分類(終宿主、中間宿主)」を正確に把握しているかを確認する。特に、似た名称でも宿主特異性が異なるもの(例: 鉤虫の種類、トリパノソーマの種類、マラリア原虫の種類)に注意を払う必要があります。
関連知識
人獣共通感染症の概念とその重要性、各寄生虫の生活環、終宿主、中間宿主、感染経路、主要な人獣共通感染症(トキソプラズマ症、日本住血吸虫症、旋毛虫症、肝吸虫症など)、寄生虫病の診断法と予防法。