中和処理が必要な脱灰液はどれか。2つ選べ。
選択肢をタップすると答えと解説が表示されます
出典:厚生労働省ホームページ(第70回臨床検査技師国家試験の問題および正答)。公共データ利用規約(第1.0版)に基づき利用。問題文・選択肢は公式の問題冊子のとおり掲載しています(文字の体裁を一部整えています)。解説は medimichi が作成したものです。
正解は2・4番
解説
組織の脱灰処理において、塩酸と硝酸は非常に強い酸性を示すため、使用後の廃液は環境規制および作業者の安全性の観点から、必ず中和処理を行う必要があります。これは、廃液のpHを適切な範囲に戻し、有害性を低減させるための重要な工程です。一方、EDTAはキレート剤であり弱酸性、ギ酸は比較的穏やかな有機酸であるため、強酸性脱灰液ほど厳密な中和処理は必須とされないことが一般的です。トリクロロ酢酸は主にタンパク質関連の処理に用いられ、一般的な脱灰液ではありません。
選択肢ごとの解説
- 1. EDTAはキレート作用によってカルシウムを除去する脱灰剤ですが、酸性が非常に弱く、他の強酸性脱灰液とは異なり、使用後に特別な中和処理が必須とされないことが一般的です。水で十分に洗い流すことで対応可能です。正しくは:EDTAは酸性度が低く、廃液処理時に必ずしも中和は要求されない。選びやすい理由:脱灰剤の一種であるため、他の強酸性の脱灰剤と同じように中和が必要だと誤解する可能性があります。混同注意:強酸性脱灰液(塩酸、硝酸)と、キレート剤や弱酸性脱灰液(ギ酸)の中和要否を混同しやすいです。
- 2. 正解。塩酸は非常に強い酸性を示すため、使用後の廃液は環境や人体への影響を考慮し、必ず中和処理を行う必要があります。これにより、酸性の液体が環境に放出されたり、作業者の皮膚に触れたりした場合の危険性が軽減されます。
- 3. ギ酸は塩酸や硝酸に比べて弱い有機酸であり、一般的には特別な中和処理が必須とはされません。水で十分に希釈・洗浄することで対応可能な場合が多いです。ただし、大量に排出する場合は中和を考慮することもあります。正しくは:ギ酸は比較的穏やかな酸であり、廃液処理時に中和が必ずしも必須ではない。選びやすい理由:「酸」の名称が付いているため、強酸性脱灰液と同様に中和が必要だと考えるかもしれません。混同注意:強酸性脱灰液(塩酸、硝酸)と、比較的弱酸性であるギ酸の中和要否を混同しやすいです。
- 4. 正解。硝酸は塩酸と同様に非常に強い酸であり、取り扱いには厳重な注意が必要です。使用後の廃液は環境保護と作業者の安全のため、必ず中和処理が求められます。
- 5. トリクロロ酢酸は脱灰液としては一般的ではありません。主にタンパク質の沈殿剤や固定液の一部として使用されることが多く、酸性度は高いものの、本問題の文脈である「組織の脱灰液としての中和処理」の対象からは外れます。正しくは:トリクロロ酢酸は一般的な脱灰液ではない。選びやすい理由:「酸」の名前が付いているため、脱灰液として用いられ、中和が必要だと誤解する可能性があります。混同注意:脱灰液として一般的に用いられる酸と、それ以外の目的で用いられる酸を混同しやすいです。
国試ポイント
この問題は、臨床検査技師が日常業務で取り扱う脱灰液の種類と、それぞれの液が持つ特性(特に酸の強さ)に基づいた適切な廃液処理方法に関する知識が問われています。強酸性の脱灰液がどれであり、中和処理が必須であるかを正確に把握しているかを確認するものです。
混同注意
強酸性脱灰液(塩酸、硝酸)と弱酸性脱灰液(ギ酸、EDTA)の中和処理の要否を混同しやすいです。また、脱灰液として一般的に用いられる酸と、他の目的で用いられる酸(トリクロロ酢酸)を区別できない場合があります。
次に同じ論点が出たら
次にこの論点が出題される場合、各脱灰液の「脱灰速度の比較」「組織形態への影響」「特殊染色や免疫染色への影響」などが問われる可能性があります。また、具体的な中和に使用する薬剤(例:炭酸カルシウム、水酸化ナトリウム)や、廃液処理の具体的な基準に関する知識も確認されるかもしれません。
関連知識
脱灰処理は、骨や歯などの硬組織からカルシウムを除去し、薄切可能な状態にするための病理組織検査の重要な工程です。脱灰液には、その脱灰速度や組織形態への影響、酵素活性への影響などを考慮して適切なものが選択されます。強酸性脱灰液は脱灰速度が速い反面、組織への損傷が大きいことがあります。EDTAは脱灰速度が遅いですが、酵素活性や核酸を保持しやすい利点があります。廃液処理は、環境法規遵守と作業者の安全確保のために不可欠な知識です。